見出し画像

コーヒー温度論

しっぽにちは。BBです。
今日はコーヒーと温度の関係について書いてみます。コーヒーは、豆(コーヒーノキ)の成長から、焙煎、抽出、提供にいたるまで全てのプロセスにおいて温度と密接に関係していそうです。理解したことを絵にまとめると以下の感じです。

コーヒーと温度

コーヒーに関係する4つの工程での温度についてまとめてみました。個々の内容について以下で少し書いてみます。

1. 生産 production
コーヒーノキの成長に適した気温は 18℃〜21℃。冷え性で高温耐性の特徴がある。マイナス温度では葉が死滅、17℃ 以下では光合成に影響し成長抑制になる。アラビカは 30℃、ロブスタだと 35℃ までは耐えられるとされていたが、最近の研究により 22℃ より高いと欠点豆が増えることが示唆されている。

2. 焙煎 roasting
焙煎時の温度の分布(範囲)は 140℃〜210℃。RoR(Rate of Rise):温度上昇率を時系列上にプロットしたローストカーブで温度をコントール。焙煎における各フェーズ (投入→水分抜きdrying→加熱 yellowing→1ハゼ crack→2ハゼ crack)に応じて調整。

3. 抽出 brewing
ドリップで抽出する時の適温は 80℃〜96℃。温度が高いと成分の抽出速度が早く苦味がでやすい、低いと速度が遅く酸味がでやすい。ただし、エスプレッソだと 80℃ と 93℃ では味に違いなしとする研究もある。
※ ちなみに、自分でコーヒーを入れるときはいつも 93℃(と教わったので)で入れています。

4. 提供 serving
飲む時の適温は 48℃〜85℃。好きな味わいに応じて決める。熱いのが好き(80℃以上)、甘味と苦味が好きな(70-80℃)、酸味が好き(50-60℃)、など。火傷の危険性を考慮して58℃ を最適とする研究もある。アメリカでは熱すぎるコーヒーで訴訟問題(マクドナルド・コーヒー事件)になったこともある。アイスコーヒーの場合は 4〜6℃、インスタントの場合は 80℃ 前後、などレギュラーコーヒー(ドリップ)以外の飲み方の場合は適温は異なる。

今回も前回に続き、勉強がてら、知識系の記事を書いてみました。コーヒーは調べるほど奥が深い印象を受けます。理解するにはまだまだ・・・。引き続き、最初に立てた目標項目(以下の記事)に沿って、成長しながら書き進めようと思います。

以下、詳しい理解のために参考になる文献をつけておきます。

[References]

学術研究
[1] Impacts of drought and temperature stress on coffee physiology and production: a review
コーヒー豆(アラビカ、カネフォラ)と環境影響の生理学的研究。被引用数500超。
ポイント:コーヒー(の木)は冷え性で高い温度への耐性がある。
致死限界(葉)は-3〜-5ºCの間、3〜4ºCは有害、13〜17ºCで成長抑制、15ºC での長時間の栽培はかなり有害(ロブスタは7ºC 以下の温度に耐えることもある)。アラビカは30ºC付近までは24ºCで観察されたのと同じ効率。ロブスタはアラビカよりも比較的高い温度に耐えることができ34~35℃
[2] Temperature and rainfall impacts on robusta coffee bean characteristics
ロブスタ種の成長と環境の関係を研究(2021年発行)。
ポイント:平均最低気温が高い(22℃以上)と平均以上のコーヒー豆の欠点が発生するリスク(75%以上の確率)が高まる
[3] Influence of the Brewing Temperature on the Taste of Espresso
エスプレッソコーヒーの抽出温度の影響に関する研究。
ポイント:抽出温度が80℃と93℃では味の弁別に有意な違いはない(80℃と128℃では有意さ有)
[4] Calculating the optimum temperature for serving hot beverages
温かい飲み物の最適温度をやけどの危険性などから研究。
ポイント:最適な飲用温度は約136 °F(57.8 °C)

温度との関係(国内)
[5] スペシャルティコーヒー焙煎(ロースト)の基本知識 
 適温(焙煎):投入190〜210℃、終了205℃前後
[6] ローストステージと焙煎のポイント
 適温(焙煎):
  ・投入:140~200℃
  ・水分抜き:120~130℃
  ・カラメル化:150〜165℃
  ・ハゼ:193℃
  ・終了:209℃
[7] コーヒーの味は温度で変わる!淹れるのに適した温度や飲み頃を紹介
 適温(抽出):90~95℃
 適温(提供):68~70℃
[8] “お湯の温度”ひとつで、コーヒーの味は劇的に変化する!?
 適温(抽出):80℃〜95℃
  ・「高め」:90℃〜95℃
  ・「中間」:85℃〜90℃
  ・「低め」:80℃〜85℃
[9] コーヒーに適した温度とは?飲み頃の温度、抽出温度や温度管理のポイントなどを解説
 適温(抽出):95℃前後
 適温(提供):68~70℃
 適温(提供、アイス):4~6℃
[10] コーヒーを淹れるのに最適なお湯の温度
 適温(抽出):約92〜93度(淹れた後調整)
[11] 良い抽出
温度の関係を3段階で説明
 適温(抽出):82~83℃
[12] コーヒーの温度は何度が美味しい?味の違いからおすすめの温度計まで | コーヒー豆研究所
 適温(インスタント):80℃前後
[13] コーヒーの温度は何度が美味しい?飲む温度で変わるコーヒーの味検証(カッピング編)
温度の変化をカッピングで検証。リアルなコメント
[14] コーヒードリップお湯の温度は何度がおいしい?プロのおすすめ10選
コーヒーの濃度との対比、コーヒー店毎の温度、などあり
[15] サードウェーブコーヒー/低温焙煎メソッド
焙煎の歴史など

温度との関係(海外)
[16] Climate & Coffee
アメリカ海洋大気庁(NOAA)の説明。気候との関係を記述
 適温(生産):18℃~21℃
[17] THE DEFINITIVE GUIDE TO ROASTING COFFEE AT HOME
 適温(焙煎):370 〜 540°F(約187〜282℃)
[18] ROAST PROFILE & DEGREES OF ROAST
 適温(焙煎):180~250℃
[19] A Guide to Bean Temperature & The Coffee Roasting Curve
Roast Curveについて説明
[20] How to Brew Coffee
NCA(National Coffee Association)のガイド
 適温(抽出):195~205 °F (約 90〜96℃)
 適温(カッピング):200˚F(約 93℃)
[21] Wondering How Hot Coffee Should Be? Here’s The Ideal Temperature
組織などによって適温がばらばらであることを言及。まとめとして対象別に3段階の範囲を提案
適温(提供):
 ・甘味と苦味が好きな人:155〜175°F(約 68〜79℃)
 ・より明るくシャープで酸味が好きな人:120〜140°F(約 48℃〜60℃)
 ・温かさを重視する人:180~185°F(約 82〜85℃)
[22] THE PERFECT COFFEE BREWING TEMPERATURE
 適温(抽出):205 °F (約 96℃)
 適温(コールドブリュー):室温 70°F前後(約 21℃)or
              冷蔵庫温度 35°F前後(約 1℃)
[23] The Ideal Temperature to Drink Coffee
 適温(抽出):195 〜 205°F(約 90〜91℃)
 適温(提供):120 〜 140°F(約 48〜60℃)

その他
[24] マクドナルド・コーヒー事件
「熱いコーヒーをこぼしただけで、裁判で3億円(16万ドル+270万ドルの当時の為替レートによる円換算額)もの賠償金を得た」
※実際には60万ドル未満





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?