池井戸潤『ロスジェネの逆襲』読了

 『ロスジェネの逆襲』を読了。

 前2作と同じく、スカッとした読後感。

 舞台は、左遷先の証券会社で、仕事を横取りした親会社たる銀行に喧嘩を売る、というなかなか無い展開だが、熱くなれた。

 銀行、というだけでややこしいイメージを抱いていたが、このシリーズは読みやすい。

 キャラクターも、ロスジェネ世代代表の森山も、バブル世代の半沢と対照的な存在として、書きたかった一人なんだろうな、と考えつつ読んだ。

 キャラクター作りは、並べた時にコントラスト(違い)が出るように意識すると良いのだろう。バディ物にせよ、群像劇にせよ。

 互いに異なる部分―――趣味嗜好や立場、そして反発し合う部分―――性格であったり、考え方であったり、時には偏見が原因だったり。

 様々な要因でぶつかり合っている二人が、協力するとすれば、同じように目指す「目的(ゴール)」がいる。

 歴史でも、共通の敵を倒すために手を組む例はゴロゴロ転がっている。幕末の薩長同盟とか、あとは18世紀にマリー・アントワネットがフランスに嫁ぐきっかけになった「外交革命」とか。

 バブル世代や銀行から出向してきた人材を嫌っていた森山も、半沢のサポーターとして、「目的」に向けて共に仕事をするうちに、彼を認めるのみならず、仕事に対する姿勢なども変化していく。

 就職活動に悩む人や、実際に就職しながらも、一人でひねくれている私のような人間のための本でもある気がした。

 この半沢シリーズの名言集、そのうち出ないだろうか?就活生に推薦したい本として。

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