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もやしまるさんの読書感想文「おおきな木」2023年7月10日放送

「安曇平夕風」7/10放送の読書感想文

Kジローさんこんにちは。初回の放送楽しく拝聴しました。
番組の随所でKジローさんの福岡愛が感じられ、中洲川端で飲み歩きたくなりました。

さて、私が今日感想文を送りたい本は『おおきな木』という絵本です。
作者はアメリカ人のシェル・シルヴァスタイン、日本語訳は本多錦一郎バージョンと村上春樹バージョンがありますが、個人的には本多錦一郎さんの訳が好きです。
3才頃から理解できるシンプルなお話ながら、大人が読んでも深く考えさせられる内容になっているのが、この絵本のすごいところ。

物語の主人公は、一本のりんごの木とちびっこ。ちびっこもりんごの木も、お互いのことが大好きで、毎日あそぶ仲だったのですが、時は流れ、だんだんと大人になっていくちびっこは、徐々にりんごの木のもとから離れ、恋人と遊ぶようになり、やがて働きに出て、最後はくたびれた老人になっていきます。大きくなったちびっこは、要所要所でぶらりとりんごの木のところへやって来るのですが、昔のように木と遊ぶことはなく、自分の人生を歩むためにはこんなものが必要だということや、人生のままならなさに対する愚痴をこぼします。
すると、その話を聞いたりんごの木は、自らの木に成る果実や枝、しまいには幹すらもすすんでちびっこに与えようとするのです。大好きなちびっこが満足するのなら、自分の身の犠牲などまるでいとわずに。作者のシルヴァスタインは、そのことを「きは それで うれしかった」と表現するのですが、物語の終盤で一度だけ「きは それで うれしかった・・・だけど それは ほんとかな」と、りんごの木の見返りを求めぬ愛に疑問を投げかけます。この問いに対しては、様々な解釈ができますが、私は個人的に、りんごの木は本当にそれだけでうれしかったのだと思っています。
自分の愛する人のために、どのような形であれ、役に立つことができる、あるいは何かを与えられるということは、このうえなく純粋な愛の表現であり、このうえなく尊い行為だと思えるのです。そして、一見とても自分勝手に見える大きくなったちびっこにも、どこか共感できるところもあったりして、だからこそ余計に、りんごの木の祈りのような純粋な愛に心を打たれるのでしょう。

余談ですが、私はひとから「寛容だね」と言われることがあるのですが、それはまさにこの絵本の影響なのではないかと思っています。
小さなお子さんにも理解できるストーリーなので、是非親子で読んでみてほしいです。

安曇野市三郷 もやしまる


ラジオ番組「安曇平夕風」(あづみ野FMで毎週月曜日17時~18時)。インターネットでも聴けます⬇
https://azuminofm.co.jp/

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