新人たるもの「プロ」であれ
これは、会社の後輩から聞いた仕事のポリシーのお話。
新人取材ライターの不安
私はいま、広告代理店で働きつつ、ここ1年くらい副業ライターとして執筆の仕事をしている。書いているのは基本的に、調べたり体験したり、自己完結で作れる記事ばかり。
しかし直近、生まれて初めての「取材記事」の仕事が舞い込んできた。自己完結では作れない、やったことがないジャンルの仕事だ。
「やったことがない仕事」に対して、見事に私はアワアワした。
そりゃそうだ。本業の仕事は会社員なので、初めての仕事をするとき、ありがたいことに誰かが教えてくれていた。
しかし、個人でやってるライターという仕事は明らかにワケ違う。
「取材する」「記事を書く」というプロの仕事に対して報酬が発生する。研修期間はない。最初から本番だ。どうしよう。
アワアワしたあげく、とりあえず形から入るしかないなと、「取材ライターに必要な道具○選」といった記事を眺めてはモノを買い漁った。
ちなみにこの時点で「初めて取材記事のお仕事をもらいました!やったー⭐︎」みたいなツイート(エックセズ?)はしてない。私は臆病でずるいやつだから。
「きっと失敗するだろう、失敗したら恥ずかしい、誰にも言えない」
そんなネガティブな思いを抱えて、最悪な状況をいっぱい想定して、本番を迎えた。
結果、なんとかなった。最悪をたくさん想像しすぎたせいで、本番になったらまるで緊張しなかった。単純に取材のお相手が喋り慣れていただけかもしれない。
一個だけ、守り抜いたことがあった。
「azumiさん取材初めてだと思いますけど、当日はそれ言わない方向でお願いします」
編集部から言われていた言葉。
「はい!それはもちろん」
咄嗟に即答しちゃったけど、自分のなかに重たい責任と覚悟がどすんと打ち込まれた感じがした。
プレッシャーで吐きそうになったこともあったけど、なんとか言わずに覚悟をキメて立ち向かえたのは、会社の後輩の言葉があったからだ。
後輩の意外なプロ意識
その後輩も私と同じく、副業をしている。DJだ。
きっと、DJもお金をもらいながらゆっくり研修させてもらえるような世界ではない。いつだって本番だ。
後輩は最近、いわゆる「クラブのDJ」以外にも、「スポーツ大会でのDJ」をやり始めたらしい。私が初めて取材記事の仕事を受けたのと同じように、彼にとっても「やったことない仕事」が舞い込んできたわけだ。
そんな彼が会社の研修で話していた「仕事のポリシー」は、今も私の心に刺さり続けている。
首がもげるほどうなずいてしまった。この話が聞けただけで、この研修に掛けた時間の元がとれると思った。
そして、本業の仕事ではいつも淡々とした「低温」な彼が、こんなにも熱いポリシーをもってDJしてるのかと、正直ちょっとびっくりした。
ほんとうに、「おっしゃる通り」でしかない。
自分が初めての仕事だろうと、お客さんは、一緒に仕事する仲間は、そんなこと知ったこっちゃない。むしろ、その情報は出さないほうがいいかもしれない。
なんたって、集められたメンバーのなかでは、彼はDJとして、私はライターとして、一番の専門家だ。当然のように、「プロならどう思うか」を聞かれる立場にある。
その点をいち早く理解し、覚悟し、チームで最大限の仕事を発揮するために、実行に移している彼は、職種が違えど、後輩だろうと、とてつもなくカッコよかった。
いま、できる範囲で最大限の「プロ」であること
誤解してほしくないのは、「嘘やハッタリでプロっぽく見せる」というわけではないこと。
よくSNSでは、実績も見せずに収入自慢とオンラインサロンの勧誘ばかりするライターが揶揄されるが、見栄や虚勢を張ればいいわけではない。
いや、まあ、最初は実績がゼロなので、多少「いつもこの仕事やってますが???」みたいなハッタリは必要かもしれない。
でも、それはあくまでスタンスの話。たぶん、仕事を任せられた時点で、心持ちだけはプロでなくてはならない。後輩の話を聞いて、そう思った。
私はというと、なんとか、初めての取材にその心持ちで臨むことはできた。しかし、後輩のような「意見する」「チームに貢献する」みたいな部分はほんとうにまだまだだ。
いくつか取材の仕事をしてみて実感した。取材チームはアベンジャーズみたいなものだ。ライター、編集、カメラマン、営業、メーカー担当……会社もバラバラ、職種もバラバラなメンバーが当日いきなり会って、取材を組み立てていく(媒体によるのだろうけど)。
シチュエーションは後輩のDJの仕事によく似ている。しかし、私はチームにどれだけ貢献できているだろうか……?
まだ、目の前の「取材ライター」という仕事にいっぱいいっぱいで、チームを良くするという俯瞰視点では見ることができてないのかもしれない。
これから何百件も経験していくなかで、チームで成果を出すために、ライター視点から何ができるかは、ちょっとずつ考えていかなければいけない。
覚悟とスタンスはできてきた。たぶんこれが、まだ取材をたった2件しかやったことのない、私の最大限だ。(たった2件で取材を語るなと怒られてしまうかもしれないけど)
「新人でもプロであること」、これを忘れないようにしながら、少しずつ素敵な取材経験を重ねていきたい。
エピローグ↓
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