何となく良い、は確実にイイ
ジャンケンで勝負する時、“あ、ここでチョキ出せば絶対勝てる”っていう感覚を持つことがある。
そして勝つ。
友達と外食すると、“あ、この人、親子丼注文するんだな”と確信めいた予測を感じることがある。
そして彼は親子丼を注文する。
特に時間に追われることなく過ごしていて「あれ、そろそろ4時かもしれない」と思って時計を見る。
時計の針はピッタリ4時を差していた。
別にスピリチュアルな体験談として語ろうとしているわけではなく、自分に超能力があることを自慢する文章でもありません。
ただ、生きていて“根拠のない確信めいたもの”があるんだな、とうっすら思ってたけど、最近、糸井重里さんと脳研究者の池谷裕二さんの対談を読んで、「あー!あるある!」と膝を打ちまくりまくってしまった。
対談の論点とはズレてしまうかもしれないけど、感想を書きまくりたいと思う。
昨今、意識、ロジックがとりわけ大事にされがちだけど、実は“身体が感じていること”の方が正確で“正しい”のではないか、という内容だった。
脳みそを研究している方がおっしゃるのだら説得力がある。
報酬の違いによってゲームをする被験者の脳や身体にどういう違いが出るか、という実験の話が面白かった。
実験はゲームのスコアに応じて報酬が出される。画面には事前に1円と100円のコインがランダムで映し出される。
1円の報酬と100円の報酬とでは、被験者のやる気が違う。“やる気”と関連がある脳の淡蒼球という部分が反応するんだとか。その反応をMRIかなんかで観察したらしい。
それは、まぁなんとなくわかりますよね。でも、その次の実験が面白かった。
1円とか、100円とかのコインの映像をサブリミナル的に映し出し、被験者が“報酬額を意識できない”状態でゲームをしてもらう。
するとどうなったか。
被験者はやっぱり“100円の報酬”の時に淡蒼球が反応したんだと。
また面白いのが、淡蒼球を測定しなくても、“やる気”を測定できる方法があって、コントローラーを握る力(握力)でもわかるんだって。
被験者にその事実を知らせると、サブリミナル的に出された報酬額が“何となく”わかるようになったらしい。
自分がどれくらいコントローラーを強く握っているかを意識しただけで「あ、今の100円だったな」ってわかるようになった。
とても興味深いなぁと思ったんだけど、コレって実験とかゲームとか、限られた状況だけに当てはまることではなくて、生きていく中でたくさんあることだと思う。
我々人間は、朝起きて寝るまで、たくさんの判断をしている。
今日着る服、朝食に何を食べるか、通勤路はどこを通るか、途中のコンビニで何の飲み物を買うか…そんな特に意識を向けないような判断から、どこの高校・大学を選ぶか、どこの職場を選ぶか、誰と付き合うか、結婚するか、離婚するか…などライフステージにおいて大変重要な判断まで様々。
重要な判断であればあるほど、世間様は“何を根拠にそれを選ぶのだ?”と執拗に聞いてくる。
「いえ、何となく…」
そう答えただけで、矢のような糾弾が飛んできそうな世の中だ。
自分に対してだって、“何となく”で選んでイイのだろうか…と不安になり、大事な直感を信じられなくなる。
誰にだって将来はわからない。でも物事のほとんどは結果論で語られる。
結果を担保したいがために“選んだ根拠”ばかりに目を向ける。
失敗のような結果が出ると「ほら見ろ」と顔の見えない世間様がニタニタ笑ってくるのか。
ちょっと待て。“世間様”って具体的に誰よ?
あなたの親族?恋人?近所の人?友達か?ネットの中?
多分、そんな人はいないんだ。あるのは“それっぽい時代の空気感”
先ほど紹介した対談は約10年前のものだけど、その時点で「(社会において)ロジックが大事にされ過ぎている」と糸井さんが言っていた。先に私が“時代の匂い”にでも書いたけど“時代の空気感をつかむ嗅覚”において糸井さんは鋭すぎるなぁ、と思う。だって、10年後の今、まさにロジカルシンキングがクローズアップされているもの。
誰が作ったかわからない“時代の空気感”や根拠のないチンチクリンな“常識”に惑わされるより、自分の肌感覚を大事にしていこう。
言葉や論理を持つよりも、些細な自分の身体の変化に目を向けて生きて行った方が、もしかしたら幸せになれるんじゃないかな、そんな気がしました。
“何となく良い”と思っていることは続けるべきだし、迷ったら“何となく良い方”を選ぼう。おそらくそれは正しい。
寝たい時に寝る。
食べたいものを食べたい時に食べる。
見たいものを見たいときに見る。
やりたいことをやりたい時にやる。
反対に、何となく嫌だったら近づかない。
何となくやりたくなかったら誰かに任せる。
何となく危なそうだったら、逃げる。
自分の感覚に目向けて生きていくと、案外、こんな簡単なことが幸せに繋がるのかもしれませんね。
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