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40歳におけるPoint of no return(騎士団長殺し②)

こんばんは、あずき(夫)です。

多少忙しくても毎日更新できるように、とたまにネタストックを作るのですが、たいていネタストックを作った翌日にストックを消費していまい、ストックとしての役目をほぼ果たしていません。悲しい。

さて先日、騎士団長殺しを読み返し始めたということを書きました。読み終わったので少しだけ感じたことを書いてみようと思います。

「point of no return」

村上春樹は、遠い太鼓というエッセイの中で、40歳についてこのように延べています。

"四十歳というのはひとつの大きな転換点であって、それは何かを取り、何かをあとに置いていくことなのだ、と。"

騎士団長殺しの中で、免色のセリフや、”地底の世界”での主人公の試練は、こうした作者の考え方が反映されているように感じました。

50代の免色は「私にはあなたのような生き方はできない」と主人公に対して言うし、地底の世界で「もはや後戻りはできない」言うのは、そういうことのメタファーなのかなと思います。

村上春樹は多面的な読み方が可能な作品を書くことを好むので、あくまでこれは「ある側面から見ると」という話なのですが。ただ、少なくとも、村上春樹本人が、40歳ごろに人生における何らかのPoint of no returnを迎える、と考えている(ないし経験した)ことは間違いないと思うし、僕自身が、そう遠くない未来に40歳を迎える上で、何を捨て、何を残すのか、という点にイマイチまだ自信を持てていないということからくる感想なのかなとも思います。

前奏の長い曲のよう

騎士団長殺し、やっぱり僕にはめちゃくちゃ前奏の長い曲のように感じられるんですよね。イデアの登場は第一部の後半だし、地底の世界、まりえの”冒険”はほとんどラストの章で語られて、一気にラップアップして物語が終わる感じがします。

静かに始まり、最後盛り上がるというのも、ポートフォリオの1つとしてはアリと思いますが、個人的には、たまーに読むくらいの位置づけなんだろうなーと思います。アルバムの中の、シングル曲ではない、アルバムの少し長いゆったりと聴かせる曲のような感じというか。

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