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「個」を育てるということ 〜読書レビュー『信じる子育て』〜

3歳の息子と過ごす日々は慌ただしく、厄介で、愛おしい。

可愛い、楽しい、面白いという感情が大半を占める日もあれば、知恵がつき手強くなった3歳 vs. 大人気ない34歳児のバトルが勃発し、朝、保育園に送り届けるだけで一日の体力を消耗してしまう日も。

日に日に成長し、目まぐるしく進化していく息子に対する接し方に悩むことが増えた今日この頃。モンテッソーリ教師あきえ先生の著書『信じる子育て』を手に取りました。

特に0〜6歳の乳幼児期に特化した内容で、子どもが自ら育つ力を発揮するために、発達段階に応じてどのような接し方が有効か、丁寧かつシンプルに解説されている本です。

記憶に留めておきたい気づきがとても多く、自分自身の体験と紐づけることで学びが深まりました。同じく育児に奮闘中のパパママのお役に立てるならばと思い、特に印象に残った大切な心構えをnoteに書き記すことにしました。

【心構え1】子どもは「自ら育つ力」をもっている

子どもは自らの力で「自立」「自律」に向かう。大人の役割は、「子どもを育てる」ことではなく、「個が育つ」サポートをすること。

0歳児の頃とは比べものにならないほど、「生命維持のためのお世話」がほとんど必要なくなった3歳息子。自分でトイレに行き、手を洗い、ごはんを食べ、洋服を準備し、着替えて靴を履く。(もちろん「てつだって〜」と甘えることも多々ありますし、トイレに行きそびれることもありますが。)

そして3歳にして、保育園や習い事などの社会のコミュニティを通じて「自分(個)」を形成していく。その様子を見て、「子どもを育てるなんておこがましい…」という感覚が芽生え、大人の役割は「個が育つ」サポートをすること」という言葉がストンと腑に落ちました。

具体的にどうサポートするか。

・子どもの様子をよく見て(観察)、子どもの話に耳を傾ける(傾聴)。
・子どもが力を発揮するために必要な環境(人的・物的)と時間を整える。
・子どもの発達に応じて、言語化や対話のアドバイスを行う。

例えば、我が家では積極的な読み書きの練習はしていませんでしたが、ある日を境に、「ひらがなに興味があるのかも?」と明確にわかるようになりました。絵本の文字や街中の看板を指差し、「これは◯◯くんの◯!」と、自分の名前にあるひらがなを見つけるようになったのです。

「どうしてわかるの?」と話を聞いてみると、どうやら保育園でアンパンマンかるたが流行っているとのこと。本人が興味があるのだったら、と思い、お風呂に貼るひらがな表を購入してみたところ、あっという間に覚えてしまった3歳。

どうやってこんな短期間で文字を覚えるのか…大人にはない吸収力に驚くとともに、日々観察する大切さ、環境を整える大切さに気づきました。

また、「楽しい」「悲しい」「悔しい」などの感情を言語化し、相手に伝えることも、幼児期に身につけたいスキルの一つ。

家でパパママと喧嘩になってしまった時、保育園でうまくいかないことがあったと話してくれた時。「その時、◯◯くんはどう思ったの?」「本当はどうして欲しかったの?」「次は何て言ってみようか?」などと大人が助け舟を出してあげることで、自分の感情に素直に向き合う大切さを伝え、他者とコミュニケーションをとる練習をサポートできたらと思っています。

そういえば、息子が通う英語教室で、ある日こんな本を借りてきました。感情の言語化をサポートしてくれるツールとして、絵本を使うのは良さそうです!

観察と傾聴、適切なタイミング・レベルのアドバイス。自身のキャリア形成のために学んだコーチング・メンタリングと共通するところが多く、大人との対話のために学んだスキルは、子どもとの対話にも活かせそうだと実感しています。

【心構え2】子どもと大人は「対等」である

かかわりの前提には「尊重(リスペクト)」がある。子どもも一人の「個」として尊重し、コミュニケーションをとること。

子育てをしていると、大人の都合で守りたい時間やルーチンがどうしてもあります。「早く靴履いて!」「こっち来てって言ってるでしょ!!」「ごはん食べて!!!」と一日に何回「早く!」と言っていることか…。涙

この本には、伝え方の工夫もたくさん書いてあります。命令するのではなくお願いする、前もって伝えておく、選択肢を与えるなど。もちろんこれらのTipsは対話をする上でとても有効なのですが、全ての前提にあるのは

子どもには子どもの都合がある。

ということ。大人に都合があるように、子どもにも都合がある。今すぐに靴を履けない理由、食卓につけない理由があるのです。

この心構えで息子を観察してみると、大体の時はそもそも大人の声が耳に届いないことがわかります。なぜかというと、全く別のことに集中しているから。ブロックを熱心に組み立てていたり、おしゃべりをしている時には、彼の脳内CPUは100%稼働しているのです。

そして、3歳児にはCPUは1つしか搭載されていないし、メモリ容量も小さい。すなわち、同時にたくさんのことを処理できない。このことを前提に、私の都合と彼の都合の折り合いがつくポイントを探るようになりました。

例えば、今ブロックで組み立てている作品が完成するまで声をかけるのを待つ。まずは彼が全て話したいことを話し終えてから、こちらの話をする。

もちろん、切羽詰まっていてできない時もありますが、理想としては大人が時間的・精神的な余裕をもち、行動を指示命令するのではなく、彼の都合を尊重する姿勢を持ちたいと考えています。

【心構え3】子どもは「今」を生きている

子どもは「今ここ」を活きている。ほんの数秒、数分の出来事であっても、子どもが見ている「今」を一緒に共有し、感じることで、気づきを得る。大人も「心と身体を合わせる」ことで、余白・余裕を持つ。

マインドフルネスの概念は、ヨガや瞑想などに限られたものだと思っていましたが、子育てにも通じるとは目から鱗でした。

いつも目の前のことに集中し向き合っている子どもに対し、私たち大人は、「過去」もしくは「未来」に思いを巡らせていることがほとんどなのだそうです。まさに「心ここに在らず」。そして、脳のすべての疲れやストレスは、過去や未来から生まれるのだそうです。

「パパ見て!」「ママ見て!」と子どもが話しかけてくれている時。私たちの脳内は、無意識に過去や未来に流れてしまいがちです。

(今日の夜ごはん何にしよう、明日の朝のために卵を買い足さなきゃ)
(そういえばあの仕事どうなったかな、月曜日に確認しよう)
(保育園のお散歩靴を洗わなきゃ、明日の天気はどうなるかな)

大人も「今」を楽しむポイントの一つとして、私自身は、大人にとっても新鮮なアクティビティであるかを意識しています。

公園で季節の草花を観察してみる。
図書館で新しい絵本を借りて一緒に読む。
粘土や絵の具で工作を思いっきり楽しむ。

一日のうち5分でも10分でも、スマホを手放し、思考を休め、子どもとの「今」を大切にする。子どもと過ごすマインドフルネスの時間を上手に取り入れていきたいと思います。

【最後に】夫とともにバージョンアップするために

子育ての方針や子どもへの接し方を自分一人でアップデートするのではなく、パートナーとどのように共有するか。私自身、その方法をまだ模索中です。

前提となるマインドセットとして、私と夫は他人であり、性格も違えばこれまでの経験や知識が違うので、認識が違うのは当たり前、すり合わせには時間も労力も必要と心の中で唱えるようにしてます(もちろん衝突すると疲れるしイライラしますが!)。なので、まずは自分自身が実践すること。

その上で、すり合わせのタイミングと環境づくりが大切だと感じています。他人の考えや行動を変えることはできないので、本人が「悩んでいる」「変わりたい」と思っているサインをキャッチした時に、学びを共有するという方法を試しています。

具体的には、

・夫と息子が大喧嘩をした後、「あれは良くなかったかな…」と夫がポロッと弱音を吐いたタイミングで、より良い方法があったかを話し合ってみる。
・自分が良いと思った育児本はKindleではなく紙の書籍で購入。「はい、読んで!」と突然手渡すのではなく、リビングの本棚に置いておき、さりげなく手に取れるようにしておく。
・キッチンやリビングで家事をしながらあきえ先生のVoicyを聴く際は、イヤホンをせずにスマホのスピーカーで聴く。夫も一緒に耳を傾けられるようにしておく。

育児のパートナーである夫とはともに歩み、親として、人間として成長したい。「子どもの成長には敵わないけれど、大人も成長できるんだよ」と、一番身近な大人である私たち夫婦が、子どもに見せてあげられたらと思う次第です。


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