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読書感想文 「ジジイの片付け」「イン・マイ・ライフ」

毎月1日を目指して、読書感想文をあげている。ちょっと遅れましたが。

今月は、沢野ひとし「ジジイの片付け」と吉本由美「イン・マイ・ライフ」の2冊について。これらは2冊とも、要するに、老後の暮らし本というジャンルだ。

沢野ひとしさんも吉本由美さんも、もうそんなお年なんだと驚く。沢野ひとしさんは、本の雑誌、イラスト、エッセイなどでご活躍されていたし、吉本由美さんはスタイリストでいらっしゃったと思うので、さずが、老後本といえど、洒脱な感じで全く年寄りくさくなかった。私も、こんな感じに年取って行きたい。

「ジジイの片付け」は、まあ、断捨離みたいなことで、溢れた持ち物をスッキリさせたい。少しずつ片付けよう。でも、奥さんはそうでもない、捨てたくない、家を出た子供達の荷物もあるというような話しで、うんうん、そうなんだろうなぁという話しだった。片付けようの他に、とにかく窓を磨こうという所がとても良かった。私も物を減らして片付けよう、窓を磨こう。

そして「インマイライフ」

前半は作者の東京でスタイリストとして活躍されていたころのあれこれ。後半は、ご実家の熊本にUターンされてからのあれこれ。私が興味津々だったのは、東京を離れて40年ぶりに熊本に戻り、ご両親の亡くなった後の実家にひとりで住む事を決心されてからの事。東京でそんな華やかな生活をされていた方が、故郷とはいえずっと離れていた熊本に戻る。長いこと離れていたので、故郷とはいえ知り合いも友達もいない。そこから、少しずつ熊本に新たに馴染んでゆく様子がとてもバイタリティに溢れていてよかった。全く新しい土地で一からは高齢者にはハードル高いけど、子供の頃住んでいた町ならなんとかなるかも。

私も、高校卒業後に実家を出てから埼玉とはいえ関東圏にずっと暮らし、多分こっちで死ぬんだろうなと思っていたのだが、おや?それもありかもと思い始めた。今は年に一度はひとり暮らしの父を訪ね、母や祖父母の墓参りをする。これから父の介護がひつようになってくれば、もっと頻繁に帰るだろう。でも、父が亡くなったら、故郷とは縁が切れることになる。お墓問題も残るが、行く頻度は激減する。先日故郷の父を訪ねたばかりなのだが、ずっと先、私が夫に先立たれて没イチになったら、吉本由美さんみたいに故郷に帰り、また一から始めるのもいいかもと思った。実際、故郷ののんびりした町にいるとたいして緊張感のない私でも、ゆるゆるネジが緩んでいく感覚があった。もう都会はいいや〜、インターネットもAmazonもあるから、地方でいいじゃない、これからは、のんびりやろうよ〜。などと思いながら、夫と義母の待つ東京に戻ったのだった。東京っていうか、埼玉なんだけど。実家の辺りでは埼玉、神奈川、千葉の事はいまでも東京と呼ばれている。地名というより、概念としての東京なのだ。

まあ、老後どこに住むか問題は引き続き妄想して楽しむ事として、日々片付けと窓拭き頑張ってみよう。


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