若干の後ろめたさとショートステイ
92歳の義母は認知症が進んでいる。進んではいるがなんとかなっており、なんとかなっているので介護施設へ入居という程でもなく、まあ、なるべく家で過ごした方が本人的にはよかろうという事で私達夫婦と暮らしている。
ディサービスへ行くのがいいのか行かなくてもよいのか、これもホントのところ
よくわからない。でも、すごい拒否するのでしばらく行かなくなり、二年近く経った。そのかわりに、訪問入浴サービスを週2回導入したが、これも全く上手くいかず、私達が疲弊し断念した。要介護2なので、使えるサービスは使って家族の負担を減らしたいと思ったけど、本人は自分はなんでも出来ているので全く必要ないという。
お正月明けに、夫婦でスキーに行くためにおばあちゃんにショートステイをしてもらった。すごく嫌がるかと思ったけど帰ってくると、他の人とおしゃべりしたりして意外と嫌ではなかったらしく私たちは拍子抜けし、ショートステイありかもと思った。
入浴サービスも嫌、ディサービスも行ってくれないので、夫は、じゃあもう毎月ショートステイしてもらおうと言い出した。家族が旅行に行くとか抜き差しならない用事があってという訳ではなくても、ずっと一緒じゃ大変なのでレスパイトに使おうというのだ。ショートステイが悪い事ではないと思うけど、私的には、なんとなくそれはやり過ぎなのでは?と思い、うーん、どうだろう。しかも、素直に行くとは思えないし、それで揉めるくらいなら、家にいればいいじゃん。
でも、家でずっと炬燵に潜り込んで寝ているばかりは良くなさそうだし、ダメ元でディサービスもう一件体験してもらおうよ。と言って、近所の良さげなデイサービスを見つけてきていってもらう事にした。今のところ、なんとか毎週行っている。朝はイヤイヤ行き、帰りは結構楽しそうに帰ってくる。
夫は、ディサービスは行かせるのが大変な割にすぐ帰ってくるし、またいつ行かなくなるかわからないからと言い、ショートステイも決行することに。
今の所、5月と6月と二回お泊まりに行った。「私達旅行にちょっと行くけど、一人は心配だから、悪いけどショートステイしてくださいね」という事で、本人はだいぶ不満だったがなんとか行ってもらった。
さすがに二ヶ月連続だと、文句タラタラかとヒヤヒヤしたが、先月行った事はもう記憶にないらしかった。「旅行ばっかり行って!」と文句を言われはしなかったが、本人的には新たな気持ちで文句をたれまくっていた。この分だと毎月毎回新たな気持ちで怒るだけの様である。「全く、自分の家なのになんで一人でいちゃいけないんだ。なんでそんなとこに行かなきゃいけないんだ。」まあ、ごもっともではある。しかし実際は私達がいなければ、半日と生き延びられないと思う。
そして、私達はおばあちゃんのショートステイ2泊3日の間、旅行に行ったりした訳ではなく、ただ普通に家にいた。家にいて、普段おばあちゃんがずっと寝ていて全然掃除させてくれない一階のあちこちを大掃除した。窓拭いてカーテンも洗った。ソファの裏から大量の埃が出てきた。シーツや枕カバーを洗った。その後のんびりしたり、夫婦でご飯食べに出かけたりした。
二度目のショートステイに行った後は、おばあちゃんのテリトリーである一階部分の押し入れやら納戸を開けて、溜まりに溜まった紙袋、布、空き瓶等の普段は絶対触らせてくれないが明らかにゴミとおもわれるものを大量処分した。
普段のゴミだしでは追いつかないので、ゴミ捨て場まで車で運んだ。あんまり派手に捨てるとまた揉めそうなので、絶対気づかなそうな所だけにした。そして、またのんびりした。
のんびりしたと言っても普段の私達ものんびりはしている。でも、おばあちゃん大丈夫かな?しょっちゅう気にかけたり、声かけに行ったり、なんかしてあげても気に入らなかったりして揉める事がないのは、悪いけど、すごく気が休まるのだった。実際、ショートステイの施設は、車で3分、自転車でも5分のところなのだが、家にいないでスタッフさんが見てくれてるというだけで、だいぶ気分的にのんびり出来るのだった。
そして、人に預けてノビノビしている自分をちょっと後ろめたく思うのだった。夫が後ろめたい思いを持っているかどうかはわからない。けど、だいぶ気が楽のようだ。
ショートステイが終わるとおばあちゃんは帰ってきて、私達が旅行に行くといっていたことなどすっかり忘れている。本当は行っていない事にも当然気づかない。なんで自分がショートステイしてたかはもう別にどうでもいいらしい。そんなに嫌でもなかったらしい。というか、殆ど部屋で寝てたらしい。という訳で、私達も安心する。
ショートステイの利用の仕方は、これで合っているのかどうかも自信ない。後ろめたく思わなくていい気もするけど、やはり若干後ろめたい。でも、大変助かるので、また利用させてもらおうと思う。
認知症は、長生きすれば誰でも可能性があるらしい。病気なので仕方がないとはいえ、初めて経験するこの事態に家族は精神的に疲れる。でも、誰もがなるとすれば、認知症とどんな風に付き合っていけばなんとかなるのか、みんなで知恵を出しあって行くしかない。
新米パパママが育児情報を集めるように、認知症の家族との付き合い方情報が必要だ。ケースバイケースだと思うけど、我が家の場合は今こんな感じです。