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自分ファーストに生きると決めた日

私には困った癖がある。それは、すぐ相手に遠慮してしまうこと。

例えば種類が違うケーキが1つずつあったら、食べたいケーキがあっても先に相手に選んでもらって自分は最後に残ったものを取る。見たいテレビ番組があっても、時間がかぶってしまったら相手に譲る。行きたい場所があっても、他に行きたい場所があると言われればそちらを優先する。

これを有り難がってくれる人もいるけど、その一方で「自己がない」と評価されてしまうこともある。「何でそんなに我慢ばかりしてるの?」と言われたこともあった。

私がここまで相手に遠慮してしまう理由。それは多分「嫌われたくない」という気持ちが人一倍強いんだと思う。

嫌われたくない。弾かれたくない。一人になりたくない。だから常に周囲に気を遣っている。相手の顔色を窺って、言葉一つにも気をつける。

そんな生活をずっと続けていたせいか、いつの間にか相手ファーストが定着してしまっていた。自分のことは二の次で考え、行動する。それが私の中で普通なことになっていた。

意識しているつもりはなくても、気づけば相手を優先している自分がいる。

その最たる出来事が就職活動だった。当時、私がいいなと思っていた企業の一つが同期と被った。問題は定員数。その年、その企業の新卒枠は一つだけだった。一つの椅子に二人の希望者。どうしたものかと悩んでいると、相手の子から

「ここ、私が受けるから。受けないでね。」

とはっきり言われてしまった。当時の私には反論する勇気もなく、そのままその子はその企業に、私は別の企業に就職することが決まった。

今考えれば、どうしてあの時素直に従ってしまったのだろう?相手とギスギスした関係になりたくなくて選んだ道だけど、卒業後はその子と関わることは一切なくなった。どうせ卒業後は離れるような関係なら、あの時多少ギスギスしてでも受けたかった企業に挑戦すればよかったと後悔している。

この出来事が引き金になって、少しずつだけど自分自身について考える機会が増えていった。特に相手ファーストな自分について。

自分を大事にするって、どういうことだろう?

相手のことを考えず、自己中心的に生きるってこと?

自分さえよければ、それで幸せ?

確かに自己中に生きられたら楽なんだろうけど、それが幸せかと問われたら違う気がする。ただ自分を大事にしたいだけなのに、それがひどく難しいことのように感じて、私はしばらく頭を悩ませることになった。

そうして辿り着いた答えが「自分ファースト」だった。これは自己中になるということではない。いつも二の次だった自分のことを一番に考え、周りに合わせて行動するということ。

食べたいケーキがあるなら空気を読みつつ、でも遠慮せず希望を述べる。見たいテレビ番組の時間が被ったら、無言で譲るんじゃなくて話し合いで決める。行きたい場所がバラバラなら、どうすればいいか一緒に考える。

そんな風にして少しずつ自分の意見を言えるようになってくると、不思議なことに嫌われるどころか好感を持ってもらえるようになった。嫌われたくない一心で相手ファーストに徹していたのに、自分を大事にしようと始めた自分ファーストの方が好感を持ってもらえるなんて…。興味本位で理由を尋ねてみると

「前は遠慮されてるのが伝わってきてこっちも変に気を遣うこともあったけど、今は控えめにでも自分の意見を言ってもらえるのが嬉しい。だからじゃないかな?」

そっか。遠慮してるの伝わっちゃってたのか、と内心苦笑しつつも今の私を肯定してもらえて心が温かくなった。

もし相手ファースト道まっしぐらだった当時の自分に何か伝えられるなら、私はこの言葉を贈りたい。

「いつまでも嫌われるのを怖がってちゃダメだよ。相手ファーストじゃなくても大丈夫。自分で自分を大事にしてあげてね。」


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