病名のつかない万年体調不良を抱えて

俗にいう、不定愁訴というやつなのだろうか。

私は精神&身体の、常にどこかしら具合が微妙に悪いことが多い。
100%具合が良い日が続くことは稀で、かといって倒れて医者の厄介になるほど具合が悪くなることはそこまでない。

この厄介な「なんとなく辛い」のが日常でなかったのがいつ頃か、もう思い出せない。

あるいは、初めからそうだったのかもしれない。
私は子供の頃、扁桃腺の肥大だか、元から大きかっただかで、しょっちゅう熱を出していたそうだ。
骨と皮と呼称されるくらいガリガリだったらしく、幼稚園より医者に行く日の方が多かったと母が言っていた。

その後扁桃腺がらみの不調は手術をしてすっかりよくなったものの、今に至るまで「なんかだるい」は私を蝕み続けている。
(余談だが骨と皮の痩せた状態は、扁桃腺を取ったら食欲の増進と共にすっかりむくむくの肉団子になってしまった)

メンタルクリニックでは新型うつかもねといろいろな薬を処方され、飲んでみたけれど、よく聞くうつ改善の薬はどれも副作用が酷すぎて飲めたものじゃなかった。
一度ブログのほうでもぼかして書いたが、ひどい性欲減退と脳を直接いじられてぼーっとするような感覚がするのだ。

「本物のうつの人」は性欲減退が嫌だとかなんとか言うことすらできないほど辛いのかもしれないが、性欲は数少ない縋れるものの一つなので、奪われるとかえって死にたくなる。
(縋るといってもセックス依存とかではなく、健全にポルノを見たり自慰行為をしているだけだが)

まあ薬を飲まなくていい程度の症状だというのは受け入れるとしてもだ。
それで悩みが消えるわけではない。

しんどくなって、よくあるうつ系の自己診断をやってみても、毎回「お医者さんに相談してみましょう」と出る始末。
一体この辛さはなんなんだ?

月経前症候群(PMS)は漢方飲んだら少し良くなったけど完治はしていない。
なのできっちり毎月その時期になるとイライラ・不安・何も手につかなさが現れるし、過眠・不眠を繰り返して睡眠サイクルがおかしくなる。

気圧が下がったり天気が悪くなると頭痛やめまいがしてひどい時は起き上がれなくなる。
この症状は二十代後半になってから出始めたのだが、母も同じことを言っていたので、うちは家系的に気圧に敏感なのかもしれない。

週に4日、たった2時間、バスで30分くらいのところにある就労移行支援事業所に通って訓練するのすら、やっとの思いでこなしている。
休まず行ける週のほうが珍しいくらいだ。
訓練でこのザマなのだから、仕事となるとおそらく耐えられるだけの体力も精神力もないだろう。

ああそういえば、ボードレールの詩に、しっくり来るフレーズがあった。

眠りたい、生きてゐるより 眠りたい。
( 悪の華 (岩波文庫 赤 537-1) ボオドレール [106ページ] より)

私の心境は、いつもだいたいこんな感じだ。

でも、こんなに体力がなく、辛くても、なんの病名もつかないから、どこからも助けては貰えない。
発達障害の傾向も持っているのだが、そっちも同じくグレーゾーン扱いなので厳密な支援対象からは外れている。

つまり私は、いわゆる一般的な「会社員」の世界ではまるで使い物にならない人材なうえ、福祉サービスを受ける資格すらないということなのだ。

そういう人間が、生きることに意欲を見出せるほうが逆に不思議だと思う。

「体力がないから、普通の働き方が辛すぎる人」がネットの掲示板で「体力がなくてもなんとかなる仕事はありませんか」と相談して、「みんな辛い中やってんだから頑張れ」みたいな説教を食らっているのを見て、相談者に同情するとともに、私たちはなんてディストピアに生まれてしまったんだ、と嘆かわしくなった。

まったくクソッタレすぎる。
滅べ、勤労マッチョイズム。

ささやかでいいから、乞食のように誰かの収入に縋らずに生きていきたいだけなんだけどな。

そんな望みは到底叶わない気がすると悩む時、いつも私の後ろにはぴっとりと「消えたい」「生きているのが面倒だ」という"黒い犬"が寄り添っているのだ。

「黒い犬(black dog)」というのは、鬱の人が症状を生き物に見立てたもの。「I had a black dog」という絵本が発祥で、犬以外のキャラクターに置き換わっている動画も見たことがある。

いまはパートナーがいるから、早まったりはしないけれど、生きる術を見つけない限り、きっと黒い犬は何処までもついてくるんだろう。


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