文章構成ってどうやるん? 過去の仕事にヒントみっけ!(思考の整理)
いいか悪いかは別として。方法論が正しいかどうかのツッコミも別として。文章の構成を考えることを、あまり意識していなかった。noteを書きはじめたときも、「『思考の整理』が目的で、特定の誰かではなく、自分に向けてなのだ」と軌道修正をかけた。
もちろん、読みものを書いている限りにおいては、読みやすいものを目指すが、自分のために書く文章であることは、「誰かに伝えたい何か」という性格の文章とは異なることになる。個人的にだれかに読ませる文章を書く経験は、あまりなかった。
ただ、文章づくりに携わった経験がないという訳ではなく、むしろ、ライターさんに仕事を依頼したことが多々ある。そのときは、明らかに「読者目線」だ。今回、昔のことをふり返ってみたら、いくつかの条件を経て、自ずと文章の構成が決まっていた事情に気づくことができた。
20年くらい前にさかのぼる。
そのころ、東京で雑誌やカード会員誌の広告営業を仕事にしていた。
2002年、第二新卒ですべりこんだ小さな出版社の広告部。新卒の学生に混じって、なぜか私だけが採用された会社。小さいと書いてしまったが、創刊した雑誌の売上部数は、中高年男性ジャンルの情報誌カテゴリーで第2位。まわりが大手出版社の名のある雑誌だから、純粋に編集の力が大きい。
ちなみに書店営業も、いつのまにか新人の私1人がやっていた。だから、編集者の力、特集の企画力で、販売部数を伸ばしてたことがわかる。
取材先や文筆をお願いしたその道のプロに、「ここまで調べ上げてきたのか!?」と唸らせるほど、事前準備を怠らない。1冊発行すれば、特集を担当した編集者も、知識に限っては、その道のプロになっていた。
出版不況下での創刊も珍しいことだったのだが、販売部数が順調で、季刊誌が隔月刊誌となったころに入社した。全社的に試行錯誤をしながらも、活気のある中で仕事を学べたことは、いま振り返ると得難い経験であったと思う。そして、ここで学んだことや考え方が、後に身を助けてくれることになったとも思っている。
約4年勤めた後、他の出版社を間に挟んで、AカードやDカード会員誌の広告レップ(広告枠を広告代理店に売る会社)に2010年ころまで勤務した。
どの会社も媒体社の立場だったので、直取引のほか広告代理店に純広告(広告主が用意した原稿)の枠を販売し、タイアップ広告(編集部または外注先が作る記事広告)では、企画・ラフの作成、取材から校了までの一連の作業に携わった。
リーマンショックのあった2008年
9月のことだったと思うが、その月に発行の雑誌は、広告主から出稿のキャンセルを一斉にくらう大打撃を受ける。それまでも出版不況という名の、実のところは雑誌不況で自転車操業の編集部が多かったから、青色吐息どころではない。
予算が紙からインターネットにうつり、書店やキオスクで売上が減少していた折のリーマンショック。広告料金を割引するだけでなく、タダ原稿で対応した雑誌も多かったはず。「あのBRUTUSも広告が相当減ったのだからしかたない」と、中小広告代理店に行けば、傷を舐め合う話を聞いたものだ。
私たちは大手広告代理店の腕力に頼ることができたので、広告枠を埋めてもらえた。しかし一方で、ナショナルブランドに絞った直営業を開始する。たとえ不況下であっても、お金をつかう、本物の富裕層がいるはずだ、と考えたからだ。
担当したカード会員誌でも、広告が売上目標額の50%に減っていた。そこで、編集部にかけ合い、タイアップ広告のページ枠と台割の決定をギリギリまで待ってもらい、売上を立てようとねばった。その甲斐もあり、目標額の85%まで挽回することができた。
ちなみに、私の営業力が高いという自慢話じゃぁ、ない。ゴールドカードやブラックカード保持者向けのカード会員誌だったから、他から引き上げた広告予算がこっちにまわってきただけのこと。もちろん出稿の動機づけに力を注いだし、駆け引きありの割引もあった。
制作費については、編プロに外注せず、わたし自身が編集者兼ディレクターとなったことで圧縮できた。校了までの時間が限られた中、親交のあったライターやカメラマン、デザイナーに頭を下げた。すべてを一元管理して制作期間を短縮できたことも、受注にひと役買ったと思っている。
当時、文章の構成をどうやっていたのか?
クライアントの広告展開について、広告代理店からのレクチャーがあったり、広告代理店がクライアントに提案やすい企画書をこちらで作ったり、媒体社ならではの企画を作成して単身で提案しに行く。その際に、ラフを作成しておくと、私の代わりに営業をしてくれた。
手書きのラフは割と簡単に作れるうえ、口下手のわたしにとっては、説明するよりも想像力や企画の熱を伝えることが上手かった。「編集部にラフを作ってもらいました〜」と言って受注できたこともある。営業先の担当者の立場になれば、誌面のでき映えや構成を、上司に話しやすくなるからだ。
過去のラフを確認してみると、本文がどう展開するかの記載がなされていた。そこで、どういう手順でラフが完成に至ったのか、考えてみることにする。
誌面の構成要素をツメることで
本文の文章構成が決まった。
タイアップ広告を制作において、誌面上で広告主の意向を反映させることは絶対条件だ。商品やサービスを消費者に訴求できるよう、誌面の構成を考える。メイン写真は横向きで4段組の3段分を使い、商品写真や説明のキャプションはここに配置して、出演タレントの感想はここで・・・と、編集部の方針にも考慮をしながら。
「なぜこの場所に写真とキャプションを配置するのか?」
「商品写真がここにある必要があるのか」
など、時間をかけてツメていた。
(そうか!)
ラフで誌面の構成要素をあぶり出すことで、商品やサービスが訴求できる本文(=文章)の構成を考えていたんだ!
当時は意識していたのかしていなかったのか。とにかく、この手順に気づけたのは、我が事ながら「目から鱗」に思える。
とくに伝えたいことは、写真やキャプションとを本文に連動させる。誌面が限られるから、情報の強弱の塩梅を考えたり、余計な情報は削ぎ落としていたはずだ。
ライターさんに依頼する際に、「書いて欲しいことをちゃんと指定してもらえるから、助かります」と何度か言ってもらえたことがある。「広告は書くことがはっきりしているからなぁ」と思っていたが、ラフを書くことで頭が整理でき、伝えたい事を明確にする効果があったようだ。
本文には、媒体社として雑誌に込める思いや、読者に伝えたいことなどの「裏テーマ」を織り込んでいた。これは編集長に教わったことで、媒体社だからこそ、大切にしている主張のようなことだった。必要なときがあったら、振り返ってみたい。
今回、過去の仕事の手順を振り返ることで、自分なりの文章の構成方法を考えるヒントが得られた。当初noteに書いた「思考の整理」という目的を実行できたようだ。
せっかく自分なりの経験値があったので、文章を書くときには、構成を考える手順をよく吟味してみたい。