旅館で締め切り原稿に追われていた。ライフワークだった作品の結末が決まらないのだ。ふと視線を感じて振り返ると押入が僅かに開いている。開けた記憶はない。閉め直して執筆に取り掛かる。が、気づくとまた押入が開いていた。さすがに怖くなって中を確かめた。瞬間、「シメナイデ」背後から声がした。

水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。