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麻婆那須兄弟

中学生の頃、古文の教科書に平家物語が載っていたことを思い出しました。
掲載されていたのは、扇の的の場面。
屋島の戦いに於いて、ここにだけ登場する那須与一が活躍する場面。
ヴィーガン向けに茄子を料理しながら、それを思い出した記録。


材料

茄子 3本
葱  1本
粒状大豆ミート 大匙3
大蒜 1欠け
生姜 1欠け
豆板醬 大匙1
味噌  大匙2
醤油  大匙2
蜂蜜  大匙1
胡麻油 大匙2
片栗粉 大匙1

下準備をしていきます。

大豆ミートを水で戻す。


茄子は細切り。


葱は微塵切り。


生姜と大蒜も微塵切り。

元暦二年/寿永四年 (1185)
源氏に一の谷の戦で敗れた平家は下関の彦島と四国の屋島に拠点を設け、瀬戸内の物流を押さえて、いまだに力を発揮。
源氏の大将、源義経は摂津国渡辺から嵐をついて船出、通常なら三日かかる海路をわずか四時間で阿波国に到着。陸路を突っ走て屋島の拠点を背後から急襲する。
平家側は当然、源氏は海から来るだろうと海側ばかりを警戒。それを陸側から予想外の攻撃。義経お得意の奇襲戦法が見事に当たり、崩れたった平家軍は船で沖へと逃れていく。これが屋島の合戦の概略。


生姜と大蒜を香が立つまで油で炒める。

勝負あった。という後に、沖に浮かぶ船に女官が立ち、傍らに扇が置かれた板を持ち、何やら陸の源氏方に手招き。
それを見た義経、
「あれはどういう意味か」
と尋ねると、
「恐らくは、あの扇を射抜いてみよとの挑発かと」
その挑戦、受けて立たねばなるまいと、義経は奮起。しかし残念ながら義経自らがそれをやる訳にはいきません。総大将が前面に出て、軽々しく矢を射る訳にはいかず。万一、罠だったら身に危険が及ぶ。大将に万一のことあれば、戦局が大逆転になりかねない。
それに義経自身も小柄で非力、使っている弓矢も小さく、とても沖まで矢が届きそうもなし。
「誰か、あれを射ることが出来る者はいないのか」
あの男ならばと何人かに推挙された弓の名人。

主役の茄子登場。

那須与一。
とても恐れ多いとして固辞したものの、大勢からの推挙と大将からの頼みとあり、覚悟を決めた与一。馬を海へと乗り入れる。
氏神様や地元の神、八幡大菩薩と様々な神々へと与一は祈りを捧げます。
私がたまに見る某真実系ユーチューバーによると、祈りという行為をすることにより、同じことを考えている高次元の存在と繋がることが出来るとか。その祈りが大きな力を与えてくれるとか。


葱投入。茄子が油を吸っていくので、油を追加。

鏑矢を番えた与一、祈りを捧げた後、矢を放つ。
鏑矢というのは、蕪のような形状の鏃が付いていて、中が空洞になっていて射ると空気が入り、笛のように音が鳴る。開戦の合図に使われることもある矢。
空を切り飛んだ鏑矢、祈りが通じたのか見事に扇の的を射落としました。

昔、屋島を訪れた時、那須与一が馬の脚を止めた岩、祈りを捧げた岩という物が保存されているのを見たことがあります。
干拓が進んだということで、当時は本当に島だった屋島も地続きとなり、岩も陸上にありました。それらの岩が本物かはよくわかりませんが、何等かのモニュメントを遺しておきたいという地元の人々の心というか、歴史を語り継ぐ姿勢を感じたことを思い出します。

戻した大豆ミートを水ごと投入。更に1/4カップの水を追加。

この妙技に海上の平家、陸の源氏も共にどよめき、やんやの喝采。
中でも、船に乗っていた平家方の老武者が興に乗って踊り始めました。
「あの武者を射よ」
誰かが命じ、それを耳にした与一、ほぼ反射的に矢を射る。その矢も見事に老武者を射貫きました。
途端に、正に水を打ったように静まり返る。
誰かが呟く。
「情けなし」
既に勝敗は着いた後の余興めいたことだったのに、殺すこともない。一気に白けてしまったということです。興覚めとはこういうことか。

混ぜておいた調味料を投入。炒め合わせていく。

那須与一には弟がいたそうです。那須大八郎。平家滅亡後、大八郎は平家の残党討伐を命じられて九州へ。
日向国、つまり今の宮崎県まで来た大八郎。ついに平家の落人部落を発見。
椎葉村というその地にて、平家の生き残り達はもはや戦う気もなく、平和に暮らしていました。それを目の当たりにした大八郎。残党は討滅したと鎌倉には報告。やがて村の娘、鶴富姫と恋に落ちて、村に居付くことに。
やがて三年程経過。鎌倉から召喚命令。
その頃、鶴富姫は妊娠していました。
「男ならば、家を継がせるから知らせよ。女ならば村でそのまま暮らせ」と言い残して、大八郎は帰還。
鶴富姫が生んだ子は女子でした。
二人のロマンス、椎葉村の民謡、ひえつき節として歌われて現在まで伝わっています。
女子の子孫は那須氏を名乗り、その地の国人領主となったとか。

麻婆那須兄弟。

甘い九州味噌の中に時折、感じる豆板醬の辛みが茄子によく絡む。
茄子のポリフェノール、ナスニンは免疫力向上、抗酸化作用。
カリウムは高血圧予防にも効果。
大豆ミートで良質なタンパク質も摂取。
一本使いの葱にも抗酸化作用。ビタミンCも。
栄養価も味も申し分なし。

妙技を披露しながらも、やらずともよいことをしてしまった那須与一。報告すべきことを曲げてでも、恋人やその周囲の人々を守った那須大八郎。そんな兄弟のことを思いながら、麻婆那須兄弟をご馳走様でした。

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