見出し画像

おから以蔵

最近、政府やマスコミがやたらと昆虫食、特にコオロギを食えとゴリ押し。補助金目当てに食品を扱っていない企業まで養殖ビジネス参入。
おかしいだろ。食糧難になるというなら、捨てられている食品を減らす努力をまずすべき。所謂フードロスも問題だが、全国規模で見ると、まだ工夫次第で食べられるのに捨てられている物におからがあります。
豆腐を作った後の廃棄物とはいえ、まだ十分なタンパク質等が残っている。これを活用してはどうか?ということから、自家製豆腐を作った後のおからを料理した記録。
うの花サラダに続く、おからシリーズとして御覧下さい。


材料

牛蒡    2本
人参    1/3
白摺り胡麻 適量
酒     小匙1
醤油    大匙1
味醂    大匙2
蜂蜜    小匙1
胡麻油   適量
唐辛子   1本

あれ?おからは?まずは下準備なので、お待ち下さい。

細切りにして水に晒して灰汁抜きした牛蒡、人参、細切り唐辛子を調味料で炒める。

つまり、きんぴらを作っています。
きんぴらという料理、坂田金平という豪傑の名前から付けられたとか。牛蒡や人参の歯ごたえから、強くて丈夫という意味合い。誰?と言いたくなりますが、実は坂田金時、つまり金太郎の息子だそうです。


材料2

出来上がったきんぴら
葱   1本
塩   小匙1
鰹節  1パック
おから 適量
醤油  大匙1
味醂  大匙1
蜂蜜  小匙半分
胡麻油 適量

満を持しておからの登場。ということで、おから、岡田以蔵を妄想。
外圧と内乱に揺れた激動期、幕末。天保九年(1838)土佐に生まれた以蔵。
父は元々、足軽でしたが株を買い、郷士に。
跡継ぎが絶えた家の名跡を金銭で売買したり、娘しかいない家に婿入りして武士身分になることが、株を買うという行為。
士分とはいえ貧しく、鼠がちょろちょろする家で育った以蔵、幼少から鼠を棒で叩いて退治していたとか。それが動体視力や素早い身のこなしを鍛えた?
武市半平太が剣術道場を開くと、そこに出入り。武市半平太についてはこちら。↓

剣術の腕を認められて、武市が江戸に剣術修行に出る時には従者として同行。鏡心明智流を学ぶ。
武市が剣術修行の名目で九州に向かった時にも傍にいました。行動を共にする内に、武市に心酔するようになったと思われます。


小口切りにした葱を胡麻油で炒める。

ゴリゴリな尊皇攘夷派だった武市半平太、土佐勤王党を結成。以蔵もこれに署名。
しかし、この名簿を山内容堂に提出するに当たって、武市は以蔵の名を削ってしまいました。他にも何人か削られた人がいるようですが、無学で元足軽という身分の以蔵は勤王党に相応しくないと思ったような節。つまり同志というよりは自分の従者であり、爪牙のように扱う意図。
邪魔になる人間を排除するために使うことにしたと思われる。


おからときんぴらを混ぜて炒める。

以蔵が最初に殺したのは土佐藩の横目付、井上佐市郎。土佐勤王党が不穏な動きをしていないかを見張る役割を担っていました。当然、武市達にとっては目障り。
酒席に誘い、酔わせて殺す算段。しかし、いざその時になると刀が抜けず、まだ人殺しに躊躇する所があったようです。しかし仲間達にせかされ、以蔵は持っていた手拭いで絞殺。
一度、踏み外してしまうと、人間ってタガが外れてしまうものかもしれません。その後は武市に命じられるままに次々に殺人。
本間誠一郎、多田帯刀、猿の文吉、池内大学等々。
現代でも連続殺人犯が次々に犯行を重ねるのも、一人殺すも二人殺すも同じという心理になるのか。
快楽のための殺人とは異なり、以蔵は師である武市の掲げる正義のためという違いはありますが、殺人という一点に限って考えると、そうかもしれない。


調味料と鰹節を混ぜて、更に炒める。

そんな以蔵を案じたのが坂本龍馬。
「おまんも人殺しの道具じゃなか。志士じゃろが」と言って、自分の師である勝海舟の護衛に就かせて、武市から離そうと試みました。
或る日、勝の前に刺客。
「弱虫どもが、何をするか」
大喝と共に以蔵は二人の刺客を切り払う。
それを目の当たりにした勝海舟、
「やたらに人を斬るもんじゃねえよ」と窘める。
「私が斬らなければ、先生の首は転がっていましたよ」
この返答には、勝も返す言葉なし。
それもそうだと思ったか、この男は人斬りしか能がないと思ったのか?


おから以蔵1st

彩りに青海苔を散らしてみました。
タンパク質たっぷりなおから、牛蒡で食物繊維、人参からベータカロチンと栄養も申し分なし。炒めたので香ばしい。

尊皇攘夷派が失速し、公武合体派が主流になってくると、山内容堂は土佐勤王党の弾圧を開始。多くの者が捕縛や切腹。武市も捕まりましたが、以蔵は逃亡。
無宿人鉄蔵と名乗って、博徒の用心棒などをして糊口を凌ぐ日々。
元治元年(1864)商家に押し借りしたという容疑で逮捕。京都追放に。すぐ後に土佐藩役人に捕まり、送還。獄に繋がれました。連日、拷問。

おから以蔵1st、炒めたので水分がなく、パラパラ。これはこれでいいのですが、もう一変化。


1stに出汁つゆと水を混ぜて煮る。

2倍濃縮のつゆを3倍に薄める比率で投入。つゆをそのままの比率で入れると味が濃くなるし、水だけでは薄くなってしまうからです。


おから以蔵最終形態

仕上げに黒摺り胡麻を掛けて、彩りのアクセント。味もよく栄養価も向上。
胡麻の抗酸化物質、ゴマグリナンが加わり、栄養価は最強に。
しっとり食感も素晴らしい。

土佐勤王党が行ったこと、邪魔になる人物の暗殺や藩政の壟断等を断罪する自白を得るために以蔵は激しく拷問されました。
なかなか口を割らない以蔵でしたが、武市は気が気でなかった。以蔵が関与した暗殺のことを白状すれば、勤王党の面々や自分も只ではすまない。そこで、以蔵に毒入りの差し入れをして殺そうと図る。
以蔵は食べたものの腹痛だけで済んだとも、毒入りと見抜いて食べなかったとも言われます。武市に信用されていないことを悟り、知っていることや人斬りについてすべて自白。それにより武市も切腹に追い込まれました。

君が為、尽くす心は水の泡。消えにしのちぞ、澄み渡るべき。
岡田以蔵の辞世。

信じている者のために手を血に染めながらも、まったく信じられてはいなかった。悲しき人斬り以蔵を思いながら、きんぴら、炒り煮、そしてしっとり煮と三変化したおから以蔵をご馳走様でした。

この記事が参加している募集

今日のおうちごはん

SDGsへの向き合い方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?