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ショートショート『ゴーストレストラン?』

ポストの中に近所にできた新しい飲食店の広告が入っていた。広告にはなにやら気になる注意書きがしてあり、興味を惹かれた。
『※店舗での飲食はできません。電話注文だけできます』
なるほど、このところ電話やネットで注文を受けて調理だけして配達してくれる実店舗を持たないゴーストレストランが流行っているから、きっとその類なのだろう。そういうサービスはまだ使ったことがないし、是非使ってみようと思い、早速電話をかけてみる。

「はい、こちら電話注文専門店です。ご注文をどうぞ」
「えっと、唐揚げとチャーハンお願いします」
「わかりました。またのご利用お待ちして――」
「あれ、ちょっと待ってください」
注文を聞くだけ聞いてうちの住所も聞いてくれていないのに、どうやってデリバリーするつもりなのかと思い、慌てて電話を遮った。

「どうしましたか?」
「注文聞くだけ聞いて、配達はしてくれないんですか?」
「配達?」
「あ、それともお店まで料理を取りに行けばいいんですか?」
「いえ、どっちも違いますけど……」
なんとも要領の得ない曖昧な返事をされて困ってしまう。

「じゃあ一体どうすれば良いんですか?」
「いえ、うちは電話注文専門店ですので、電話で注文を聞いてそれで終わりですよ? 料理なんて取り扱ってないです。じゃあそういうわけで、ご利用いただきありがとうございました」
そのまま電話を切られてしまう。ただ電話でやり取りをするだけで料理を作らない飲食店の存在意義が分からないし、そもそもそれはもう飲食店ではないだろう。ただただ不毛なやり取りをさせられただけで、空腹感だけが強くなってしまった。

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