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"DIVIN" Vol.15

『DIVIN』(ダイヴィン)は、国内外の様々な記事や読んだ本、面白いinstagramアカウントなど、生活している中で得た「誰かに教えたい情報」をお伝えするニュースレターです。


"GO Near" 身近にある、特別な旅へ


パンデミックは世界中の「ホームシェアリング」の風景を大きく変えた。

Airbnbに代表される短期のバケーションレンタルサービスは、ホテルのみであった旧来の選択肢に新しいオプションを加えた。

市街地のある特定なエリアに乱立し、過ごしやすさはあるもののそれまでとは異なる非日常感や体験を求めていた層に旅行本来の意味と楽しみをもたらした。

”誰かの家に住む”という、シンプルだがどこかワクワク・ドキドキする体験は若いカップルからファミリー、ビジネスマンまで多くの人々を魅了した。

自分も様々な国でAirbnbを使ったことがあるユーザーの1人である。ある時はアメリカで、ある時はトルコで、ある時は東京で、ある時はケニアで。

ポートランドの家を売り払い、ドイツ・ベルリンに移住予定だったワシントンポスト紙のJD氏は以前からAirbnbユーザーであり、その使い方を変え今も利用を続けている。

JDはほとんどの家具を売り、いくつかの骨董品と大切なものをレンタルスペースに収めていた。彼女とオレゴン州ポートランドのアパートを出るほんの4日前、EUは非居住者に国境を閉鎖することを発表。

彼らは移住計画をそのものを変えざるを得なくなり、残った現実は”住む場所のないカップル”という状況であった。

彼らはAirbnbを使い、様々なスペースで過ごすようになった。

サイトを見ていると、パンデミックの影響により需要が大きく減ったため、価格は以前に比べて手頃になっていることにすぐに気付いた。

Airbnbが発表するデータによると、アメリカ内で新型コロナウイルスが猛威を振るう3月はニューヨーク市、サンフランシスコ、シアトルなどのアメリカの都市で売上が50%以上落ちた。

4月までにAirbnbのバリュエーションは180億ドルとなったが、これは以前の高値である310億ドルのほぼ半分となってしまった。

そして5月にはブライアン・チェスキーCEOは、同社の従業員の25%を解雇すると発表し、公開レターを従業員向けに伝えた。

※公開レターについてはこちらの記事をご参照


このように今まで絶好調であったAirbnbがこの春以降、苦境に立たせされている。

ただ、同じように大打撃を受けているホテル業界に比べるとAIrbnbの方が、見通しはやや明るいとする意見も多い。

提供するエリアはホテルよりもはるかに広がっており、人々が”環境を変えたい”と思う時に最適なオプションを提供できるからだ。

Airbnbは「Go Near」というキャンペーンを始めた。今までは(遠く離れた)「地元民との交流」が大きなテーマであったが、今は「郊外での生活(隔離)」というものとなっている。

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先述したように大都市の都市部では悲惨なパフォーマンスとなっているが、郊外の場所ではブームとなりつつある。予約は5月下旬までに回復し、前年比で20%増加した。

車で予約したスペースまで移動し、自然に囲まれた場所でゆっくりと自粛生活を送る。データによると、Airbnbのゲストが7月8日に予約した100万泊のうち、3分の2以上が都市外の目的地だった。

ホテルよりも他の人々との交流が少なく、ホームレンタルはより安全とされているため、衛生面や環境、消毒グッズの充実さをアピールするホストたちの物件は人気になりつつある。

ロビーやエレベーター、ダイニング等で他の人に会う可能性も少なく、それどころかクロークさえないので人に会うタイミングがない。

ウエストバージニア、サウスダコタ、オクラホマ、アーカンソー、ワイオミング、デラウェアなどの州が特に人気となっており、ビーチサイド、山あいの町、湖畔などがアメリカ内の目的地ではホットな場所となっている。

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今日、Airbnbホストの60%以上が2つ以上の物件を持っているとするデータもある。このようなホストは「プロホスト」と呼ばれ、バケーションレンタル用の不動産を購入し、収益をまわしている。

春からの”大不況”でピンチになっているのはこの人々だ。苦労するホストを支援するために、Airbnbは予約の払い戻しや支援金を配り、彼らを手助けしているが、全く足りないという声が大きい。

プロホストたちは少しでも空き状況を減らし、収益を確保するために長期の滞在をおすすめしている。1ヶ月の滞在の場合は「1泊あたり50%オフ」のようなプロモーションだ。

オレゴン州ポートランドなどの都市では、通常のアパートメントよりもAirbnbのスペースで暮らすほうが安く住むという物件も多く出てきた。

冒頭で紹介したJD氏もそんなことを体験したユーザーの一人。チェックアウト近づくと更に1か月延長して滞在するか、オーナーに尋ねられたと言う。

長期での滞在がさらにしやすくなったことで、バケーションレンタルの目的はより”旅”というよりも日常に近い使い方が可能になっている。まさに自宅以外の拠点を、遠くではなく近くに作るという考え方だ。

バケーションレンタルに見る、人々の過ごし方や過ごす場所の変化。そして、それにまつわる人々の経済活動。「Go Near」という過ごし方も今後、日本で人気になってくるだろう。

https://www.washingtonpost.com/travel/2020/07/16/airbnb-can-survive-pandemic-can-airbnb-hosts/


ドライブスルーの盛況と見えない朝食市場


マクドナルドの米国内の売り上げは、6月まで徐々に回復を続け、その後ドライブスルーが人気となったことで、7月にようやくプラスに転じた。

しかし、朝食の時間帯は依然として弱いままだ。

アメリカの同店売上高は、6月は2.3%減となり、5月の5.1%減を上回る改善となった。第2四半期で見ると店舗売上高は8.7%の減少となっており、ここ数十年間でチェーン店にとって最悪の結果となる可能性がある。

3月下旬から4月上旬に売上が急落した際、マクドナルド社はキャッシュを使い、フランチャイズ店を救済する措置を講じた。

それは今までのビジネスモデルが破壊するのを防ぐためであった。

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消費者が想定よりも早く”ファーストフードのある生活”に戻したため、回復も予想よりは速くなっている。

マクドナルドの Chris Kempczinski CEOは声明で「強力なドライブスループレゼンスと、長年のデリバリーとデジタルへの投資がいま役立っている。」と述べた。

アメリカ内のチェーンの約14,000店舗のうち、なんと95%にドライブスルー設備がある。この”準備”がパンデミック時のチェーンの売り上げに貢献しているのだ。

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朝食メニューを廃止した限定メニューの提供により、ドライブスルー時間が改善され、15〜20秒短縮されたとマクドナルド幹部は語る。

そのせいもあってか、パンデミックの期間中に顧客満足度スコアが向上し、米国では過去最高を達成した。

マクドナルド社の持つドライブスルーの提供数・インフラが、競合他社との強力な優位性となっていると話す。

他社が店を閉めるか、ほぼ閑散とした店内でお客さんを待っている間に、このファーストフードの巨人は客が車から降りずに商品をピックアップすることができる。

しかしアメリカ中で”通勤者”が大幅に減ったことで、「朝食市場」は苦境のままだ。Work from Homeの生活が一般になっていくにつれ、午前中の時間帯の売上は急速に下がった。

ドライブスルーの人気により売上は回復傾向を見せているが、やはり朝食市場とダインイン(店内飲食)が今後重要となると話す。

ダインインを再オープンしなければ、やはりトラフィックを増やすことは出来ず、キャップは見えているとCEOは語る。

マクドナルドの第2四半期の収益は30%減少し、38億ドルになった。純利益は68%減の1億8500万ドルとなり、1株あたり1.97ドルから、1株あたり65セントとなった。


クラフトジンメーカーがつくるコミュニティ


ロンドン発のクラフトジンSIPSMITHが提案する、日本独自のコミュニティ「Swan Lab」がローンチ。

「Cocktails don’t need to be complicated.」(カクテルは複雑である必要はない)というある言葉を、カクテルやジンに対してのものだけではなく、人生哲学としても捉えたコミュニティ。

「シンプルでこだわりのある生き方」を追求する人たちが、SIPSMITHを通して繋がるコミュニティの形成を目指している。

現在はメンバー登録が始まっており、今後はバーテンダーたちによるオレジナルレシピブックの制作やニュースレターを予定しているという。

クラフトジンはクラフトビールのように、お酒全般でなく「そのブランドが好きだ」という趣味・嗜好が同一の”偏愛者”が集まる。

この味って美味しいよね、このブランドって素敵だよね。だったら、このブランドも好きだよね、こういう場所も好きだよね。

というように、パイが狭いからこそ好みは近くなり、そして愛好者の間で信頼関係が自然と出来上がってくる。

自分しか知らないような別にメジャーではないブランドやメーカーを自分と同じように愛している人に会った時、その人と一瞬で打ち解けられ、仲良くなる体験をしたことがある人は多いだろう。

ビールでも、アーティストでも、バンドでも。

SIPSMITHはクラフトジンの中ではかなりメジャーなメーカーではあるものの、彼らがつくるコミュニティがどのようなものになるか楽しみだ。


今週見つけたブランド


ローンチしたばかりのチューイングガムのD2CブランドPYM。

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コンセプトはFeel like your best self everyday. だ。

サイトはshopifyで作られ、アニメーションがなんともゆるくて可愛らしい。

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プロダクトのストーリーが何とも良い。

創業者のZakは、父を2014年8月に亡くした後、ひどく落ち込み、不安とトラウマを抱えて生活していた。日常生活もままならなくなり、アルコールと大麻に頼った。

これらの”絆創膏”は麻痺させ、不安を切断したのはよかったものの、中毒にした。

その後、自分自身を取り戻すために研究をすると、植物アダプトゲンとアミノ酸複合体が重要であることに気付いたと言う。

2年間を栄養素や科学の研究に費やし、安全なナチュラルな素材を用いて、美味しく、そしてストレスを軽減するプロダクト、PYMを作った。

プレオーダーは始まっており、今月から発送が始まる。

どんな味なのか一度試してみたい。



今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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edited by Ayumu Kurashima

IG : @micronheads


twitter: @micronheads_new

illustration : @mihirayuta






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