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構造化面接に対するモヤモヤした感情

こんにちは、渡辺です。
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズというコンサルティング会社で人事の仕事をしています。

採用界隈でよく話題に挙がる「構造化面接」。
構造化面接とは、採用面接で投げかける質問を定型化し、同じ尺度で回答を評価し、評価者によるブレを最小化するものです。

Googleのre:Workの記述が最も有名です。「構造化面接」で検索してヒットするWeb上の記事は、大抵re:Workを引用しています。

ただし、個人的には構造化面接の考え方がイマイチ好きになれません。
「理屈は分かるが、なんかイヤ」というのが率直な感想なんですよね。
このモヤモヤした感情を少し書き連ねてみます。

モヤモヤ①多くの社員が採用面接を担当するなら、バラツキは許容していいのでは

極端な表現かもしれませんが、私は採用面接手法に画一性を持たせ、再現性を高めようと考えていません。
面接担当者による手法・評価のバラツキは、複数の人間で実施する以上、ある程度許容すべきものだと考えています。

ケンブリッジでは採用面接は人事だけでなく多くのコンサルタント社員も担当しています。
もちろん採用ターゲット・ペルソナ・採用基準・最低限守ってほしいことは言語化し、面接を担当する社員に周知しています。

ただ、具体的に面接をどう進めるか、どのような質問をするかは、社員を信頼して任せています。

その結果、
「あの社員はこういうタイプの応募者を高く評価する傾向にあるよね」
「この社員は、こういう観点を重視する人だね」
という結果があってもいい。
(もちろん、事前に周知した採用基準に関する問いかけには答えてもらっています)

モヤモヤ②構造化された面接は、楽しくないのでは?

もうひとつ、採用面接を担当する社員にとって面接が楽しいものであってほしいと考えています。

面接における楽しさとは、何か。
自分の工夫によって、面接相手との相互作用を産むこと」」にあるのではないかと私は思っています。

・最初は見えづらかった相手の魅力が、質問の順序を変えることで、後半になって見えるようになった
・相手の反応に合わせて質問の繰り出し方を少しずつ変えることで、場の雰囲気が明らかによくなった

そういう工夫が面接の楽しさだと思っています。

もし私が現場の社員だとして、人事担当者から
「採用面接へのご協力をお願いします。質問はここに記載されている内容を、この順番通りに投げかけてください」
と依頼されたら、「その面接、私がやる意義ってあります?」と思うんですよね‥。

意義を見いだせない採用面接は、すぐに飽きが来ます。
その飽きは面接担当者の態度に現れ、応募者に伝わってしまうでしょう。
その点を私は最も回避したいと考えています。

仕事に対する飽きって、意外に軽視できないものです。

最低限の品質を担保し、自由度を残す

とはいえ、全くの野放図で「あなたの感性にすべてお任せします!」と丸投げするのはよくありません。

・採用基準、最低限守ってほしいこと、標準質問例を人事が示す
・「採用基準を満たしていること」をどのように立証するかは、社員を信頼して任せる

という方法が、私たちケンブリッジには向いているのではないかなと今のところは考えています。

絶対評価/相対評価によって構造化の必要性が変わるかも

もう少し考えを深めて書いてみます。

その採用選考が絶対評価か、相対評価かによって、構造化の必要性は大きく変わるのかもしれません。

募集人数が1名のみの場合、複数の応募者を相対評価し、最も高く評価した1名を採用することになります。
このケースは、apple to appleでの比較ができるように質問を固定化する必要があります。実際にケンブリッジでもバックオフィスの採用はこのようにしています。

募集人数が複数名であり、採用基準を満たした人はすべて採用してよいケース。
このケースは絶対評価で判断すればよいため、質問を固定化・構造化する必要性は低いでしょう。

おわりに

なんだか、うまくまとまらず散文になってしまいました。

「流行っているから構造化面接しよう!」と飛びつくのではなく、
「本当に構造化するメリットが自社にあるか?」「その面接は担当者が楽しいと思えるか?」
の観点でじっくり考えてから取り組んだ方がいいのではないか、ということが言いたかったです。

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