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「リマインド」という仕事について考えてみる

こんにちは、渡辺です。
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズという会社で、経理や人事の仕事をしています。

この記事は「リマインド」という仕事に対して、私が思考を巡らせる記録です。
ここで言うリマインドとは、「主にバックオフィスの社員が、社内に対してToDoを周知し、対象者全員が完了するまで追いかける行為」を指します。

例えば、

  • 経費申請を期限内に申請・承認する

  • 勤怠を期限内に申請・承認する

  • 年末調整を期限内に提出する

  • 健康診断の日程を各自で予約する

といった行為の数々。ありますよね。

リマインドは完全にはなくせない

社外のバックオフィスの方々とお会いし、お互いの業務の悩みを相談し合う場になると、リマインドが話題によく挙がります。
世の中のバックオフィス社員は、多かれ少なかれリマインド業務に時間を費やしている印象です。私も同様です。

「リマインドを前提とした業務プロセスがいまいちではないか」という意見も確かにあります。
しかし、どれだけ業務プロセスを整え、最先端のシステムを導入したとしても、リマインドが完全にゼロになる世界の実現はだいぶ先になりそうです。

ですから私たちバックオフィス社員は、リマインド業務を減らす工夫を重ねる一方で、この仕事に向き合い続ける必要があります。

社員の注意力は有限リソース。ゆえにリマインドは社内マーケティング活動。

一方で、情報が溢れる時代です。
メール・チャット・システムからの通知が飛び交う中、社員は優先順位をつけ情報を処理していかなければなりません。

言い換えると、社員の注意力は有限リソースです。
リマインドするバックオフィス社員は、この有限リソースを奪い合う競争に身を投じていると言えます。

「リマインドしても誰も対応してくれない」と嘆きたくなる気持ちは分かりますが、それは注意力の獲得競争に負けてしまっているのです。
その観点で、SmartHR・副島さんのnoteは示唆に富んでいます。

リマインドは、単なるお知らせ行為ではありません。
「社員の可処分注意力」という市場で勝ち抜き、行動変化を起こすマーケティング活動なのです。

私もこれまでいろいろな工夫をしてきました(過去記事参照)。


今回も文字ばかりの記事なので、私がGW旅行先で食べた海鮮丼を見て目を休めてください

人格なきリマインドはスルーされる

自動投稿は読まれない

SlackにはワークフローやBotを使って、メッセージを自動投稿する機能が備わっています。以前、この機能を使って定期的にリマインド投稿が流れるように設定してみたことがあります。

しかし、まぁ、自動投稿はスルーされてしまう
私自身もBotのアイコンを見るだけで、読み飛ばす習慣がついてしまいました。

ワークフローやBotによるリマインドは、発信者と受信者がそのタスクに対して同じ優先順位・感度を持っていない限り、効果がありません。
(例えば、自分自身に対するリマインドを設定するのは有意義です)

全員メンションも読まれない

同様に全員メンション(@hereとか@channelの全員へ通知を送る行為)もスルーされがちです。
「自分も対象なのかな?」→「よく分からないから後で読もう」→読まない、という流れがあるように感じます。

さらに全員メンションの連発は、「また何かメンション来てるけど、関係ないだろうな」とオオカミ少年状態を誘発するリスクもあります。

リマインドには人間関係が影響する

そう考えると、このリマインドという行為には、地味に人間関係の影響があるのではないか。

私がリマインドを受けるとき、
「あー、〇〇さん、今月も頑張ってるな。リマインドさせてしまって申し訳ないな。今からやるよー」
とか、
「この前の飲み会で、スケジュールがタイトだって嘆いてたな。ここは期日を守らんと」
とか思ってしまう。

言い換えると、リマインドしている人の業務や性格、関係性を読み取って、注意力を向けるか向けないかを判断している。
決して「人によって態度を変えている」なんてつもりはありません。しかし先述の自動投稿や一斉メンションに対する冷めた感情に目を向けると、やはりリマインドには人間関係が影響するのだと思わざるを得ません。

リマインドには人間関係が影響するのだとすると、
「リマインド業務をアウトソースする」「リマインド業務を新入社員にお任せする」という発想は、あまりスジが良くないのでしょう。
人間関係が未構築のアウトソース先や新入社員がリマインドを担っても、なかなか人の行動変化を起こせず、工数対効果が悪くなる・リマインドを担う社員が徒労感を覚えるなどの悪影響がありそう。

最近取り組んだリマインドの工夫

今年の4月・5月の勤怠申請のリマインド担当に手を挙げました。
年度決算や月次決算のスケジュールとカレンダーを見比べると、かなりタイトになりそうだったので。
その際に私が取り組んだ工夫は、以下です。

  • 過去6カ月の勤怠申請時間を集計し、申請期限から遅れる傾向のある要注意社員リストをつくる

  • 要注意リストの社員に対して、事前にDMで期限をお知らせする。DM文面も「一斉送信ではなく、あなた個人に言っています」感を出す

  • 要注意リストの上長に「あなたの部下が遅れがちです。目をかけてください」とDMする

  • 期限を守ると後続タスクにどんな影響があるかを全員向けチャンネルで解説する

  • 最後はSMSを送ったり電話したりする

地道。
地道すぎる。
自分でやっていながら「決して楽しい仕事ではないな・・」と感じます。
でも、代案がない以上はやるしかない。

業務プロセスを見直したりシステムを切り替えたりして、リマインドが最小限で済む未来を妄想しながら、今日もリマインドする日々です。

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