イラストとわたし
こんにちは、あゆみです。
イラストとわたしの微妙な関係のはなし。
わたしはいちおう「イラストレーター」と名乗っていて、前田デザイン室でもよく、「あ、あの絵の人。」と認識していただくことが多いです(ありがてえ)。そうなると、「絵を描くことが大好きで、絵を描く仕事をしたいと思ってきた人」かのように思われることが多いのだけど、実はちょっと違っていたりします。
絵を描くことは、幼少の頃から一番身近で簡単な遊びでした。子どもの頃は、漫画家になりたいと思っていましたが、それも自然と考えなくなり‥。特に絵の勉強をすることもなく、大学はなんとなく文学部へ進学。さらに言うと、じつは「イラストレーターになりたい」と思ったことはないんです。
それがなんでいまこうしているのか、という話です。
前田デザイン室に入るまでの、ある実験
わたしが前田デザイン室に入ったのは2018年の10月ごろ。そのころは、企業の総務部でゴリッゴリの事務仕事をしていました。でも前職でデザイン経験があったので、ぶっちゃけ物足りないしこのままでいるつもりはない。いわゆるクリエイターストレスが、前田デザイン室の入会へとわたしを駆り立てたのでした。
入会する少し前、週末には「フリーランスデザイナーです」と名乗って交流イベントに参加して、名刺を配るような活動をしていました。簡単なことじゃないのはわかってるけど、活動してみたらどれくらい変化が起こるのか試してみたかったからです。
まあ…、名刺配ったって、そうそう仕事なんて入るもんじゃないです(笑)
だけどそのときに気づいたことがありました。制作物を見せたりするときに、自分で描いた挿絵に興味を持たれるんです。
「これ、イラストレーターさんに頼んだんですか?」
「いえ、自分で描きました。」
「え、絵も描けるんですか!かわいい。」
「はあ…、いや、でも、ボールペンとかシャーペンで、ざかっと描くくらいのもんですけど…。」
わたしはデザイナーだよ、デザインができるんだよ!それ見てよね!!!と言いたいのだけど、どうも引きが強いのはイラストのほう。変な気分でした。
(たとえばこんなの。必ず絵の話になるんです)
一番のファンでいてくれた人の助言を聞いてみた
そんなできごとが続いたころ、「イラストレーターって名乗ってみなよ。」と言ってくれた人がいます。夫です。夫は付き合っていたころから、あゆみは絵を出したほうがいいと何度も言ってくれていました。しかしわたしは、「いや、でも、この程度の絵、わざわざアピールするほどのもんでもないでしょ。本場の人に失礼だし。」と思っていました。でも、そうぐずぐず言ってても何も変わらない。じっさい、交流の場ではイラストに興味を持たれるという実感もあったし、試しにそういうことにしてみるか。それが、わたしが「イラストレーター」になった最初のきっかけです。(なんかあまり絵に対する情熱のある話じゃなくてスイマセン)
そういう流れがあって、前田デザイン室に入会したときは、「総務のお姉さんをしています。フリーでイラストレーターをやっています。まあデザインもやります。」みたいな、煮え切らない自己紹介の仕方をしたと思います(笑)
体力が足りないので、仕方なく絵を描いた
前田デザイン室に入ったわたしは、やる気マンマン!せっかくだからデザインをやりたいと思って、いろんなプロジェクトやスレッドを覗くようになったのですが、ある壁が立ちはだかる。「業務外でなんかすんの、きつい。」笑!!!
当時のわたしはフルタイムの事務員です。平日の昼間はイラレを触ることなんてなく、エクストリーム出張手配、写経のように押印記録簿の記帳、スカイプと内線と外線が一度にかかってきて聖徳太子チャレンジしたかと思えば、若手社員のお世話焼き、これまたエクストリームお茶出し(たぶん社内で一番速かった)などをしてるんです。いや、普通に疲れるよ、そりゃ。ワチャワチャした日々は楽しかったけど、帰宅してからPCを立ち上げてイラレを起動してなんやかんややる元気なんてありませんでした。
やりたいけど、できない…。そして、その間にも、デザイナーさん達は、スキルを磨いている…。焦りばかりが、募りました。
そういうわけで手を出したのが、落書きです。紙にささっと描くだけなら負担を感じずできるし、気分転換になるからです。たぶん最初のころ、夫との日常を四コマにしたりして、落書きスレッドによく投稿していたと思います。何の気なしに投稿していたのだけど、それがけっこうリアクションをいただけたんですよね。「かわいい」「癒される」ていうコメントが多くて、驚きました。本場のクリエイターの人には、デッサンもくそもないヘロヘロな線のイラストは怒られると思ってたから(笑)
グラレコというコンテンツがもたらした衝撃
もうひとつ、やってみたことがあります。それがグラレコや図解イラスト的なやつです。これも、紙に描くだけだから負担が少なくて取り組みやすかった。また、あの種のドローイングは、受験勉強でノートまとめなんかをよくやっていたから、勝手がすぐにつかめた。やってみた理由はそれだけで、「グラレコがしたい!」と思ったわけではないし、何か本を読んで特訓したわけでもないのです、よく誤解されるのですが。
で、このグラレコのパワーにまた驚いた。ミーティングに出てグラレコを描いて出すと、すごく喜ばれるし、覚えてもらえるんです。わたしとしては、なんかこんなものをグラレコとか名前つけて出しちゃったりしてすいませんね、みたいな気持ちだったんですけど。ミーティングの60分とかその程度の時間だけで生み出したものが、そんなに喜ばれるっていうことが衝撃でしかなかった。
だって、普通に生きてたら、「すごくがんばったのに報われない」みたいなことって多いでしょ。もしくは、評価されるには、ものすごく死ぬほど頑張らなきゃいけないとか。そういう思い込みの真逆をいく現象が起きたので、正直面食らってしまいました。
(最初の頃やったのはウラサン。嬉しかったな〜)
オフラインで初めてグラレコをしたときは、それは爽快でした。終わった後に、みんなが写真を撮りにくるんです。どうやって勉強したんですか?コツはなんですか?ツイッター教えてください。って話しかけてもらえるんです。わたしは正直社交の場は苦手です、いつも、うまくしゃべれなくて、帰り道はシュンとするのがデフォルトです。それが、それがよ、一言もしゃべらないで紙に絵と字を描いてたら人が集まってくるんです。こんなことがあるのかしら、と思いました。
出会いをつれてきてくれてありがとう
そんな流れがあっての、イラストやグラレコへの思い。「アンタ大したことないんだから引っ込んでなさい」と人前には積極的に出してこなかったものですが、想像以上にいろんな出会いを連れてきてくれるので、「今までごめんな〜〜ありがとな〜〜オラきみたちのこと大切にするよ」という愛着を持てるようになりました。
わたしと人をつないでくれる、イラストとグラレコ。それが好きで好きでしかたがないというより、他のことができないので消去法でやってみた、というのが正直な経緯です。もちろんグラフィックデザインも好きだし、もっとできるようになりたい。もっというと、リーダー的な才能を持った人とか、コミュニティで慕われる人、本当にうらやましい、そうなりたいって思っています。でも、できないんです!
ただ「あゆみさんの絵が好き」と言ってくれる人がいます、お金を出してくれる人も、少しずつ現れてきています。そういう人たちのために、絵を描き続けることが、自分を大切にすることでもある、と思っています。大した画力ではないけれど、顔がほころぶようなイラストを描き続けると、わたしは決めました。
おしまい
読んでくれてありがとうございます☆