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食べることはつながること

鯖が美味しい。
スーパーで買った冷凍の鯖なのに。特に鮮度とか何も気にしないで買った鯖なのに。
美味しい・・・。束の間の幸せをありがとうございます。
わたしはあまり魚を食べないので、久しぶりで体が踊ったんでしょうか。
こんなに美味しいものを気軽に買えるなんて、便利な世の中になったものです。

わたしはやっぱり、食べている時が一番幸せです。

以前、北海道に旅行に行った時、北海道生まれの友達がとても美味しいお寿司屋さんに連れて行ってくれました。
回らないお寿司屋さんに入ったのも初めてで、カウンターに座ってドがつくほどの緊張感。
おまかせでいろいろ握ってくれたのですが、どれも美味しくて、特にウニなんて最高。いまだ、これを超えるウニに出会ったことがありません。

でもそれよりも思い出深かったのが、
「はい、次はキンキの握りね!KinKi Kids!」
って出してくれたことです。わたしが東京から来たということで、人気のあるアイドルの名前を出しつつ、冗談を言ってくれた少しはにかんだ笑顔と優しい人柄で、ますますお寿司が美味しくなりました。おっちゃん素敵な思い出と幸せな戸惑いをありがとう。

誰と食べたか、どこで食べたかで美味しさって変わってくると思うんです。
小さい頃、母と一緒に公園で食べたチリトマトのカップヌードルがとても美味しかったのは、その時が楽しかったから。
もちろん素材の味も大事だけど、そこに人のつながりを感じると、ますます美味しく感じます。

とは言え、わたしは一人で食べることが多いです。
一人暮らしですし、自分で作って自分で食べます。だから適当な料理にもなります。醤油と酒とみりんが最強ってな具合に。

そこに人とのつながりは感じないけど、でも自分で作ることで、自分とつながるんですよね。
・・・なんか怪しい宗教みたいな文句ですが、わたしはそう思っています。

スーパーで買い物する時も、明日の自分は何を食べようか、明後日は?そのあとは?
少し先の自分を考えながら、食材を選びます(安いから買う時もあるけどね)。

そしてわたしは調子が悪くなった途端、買ってきた食材を無駄にしてしまうのです。
作る気力がない、食べる気にならない、食べることが楽しくない。
冷凍に回せばいいのですが、キッチンに立つことすらできなくなります。
気がついた頃にはすっかり賞味期限が切れていたり、野菜が痛んでいたりして、とてももったいないのです。

そういう時って、自分を閉じているんですよね。だから自分とつながれない。
無気力になり、自分のことが大切にできなくなります。
すっかり閉じているので、美味しかった思い出も、楽しかった味も、全く思い出せない。
わたしは食べることが一番大好きなのに。

今日は鯖が美味しかった。自分とつながった。
友達と食べた唐揚げが美味しかった。友達とつながった。
美味しいものを作って、美味しいものを食べるのは、そこに誰かがいることでもあり、自分がいることでもあります。

たまには栄養がない食事でもいいよね。美味しくて、そこに楽しさがあって、自分を大切にできるなら。

そういうこと全部ひっくるめて、食べることが大好きです。