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国宝 雪松図と明治天皇への献茶 展

国宝 雪松図と明治天皇への献茶 展
三井記念美術館



昨年秋に「新美の巨人たち」で、島根の足立美術館にある横山大観の『紅葉』が特集されてたんです。足立美術館って17年連続日本庭園ランキング1位というもうほんとびっくりするくらい美しいお庭があるのですが、紅葉の季節限定で美しいお庭と一緒に横山大観の『紅葉』が見れるということを番組を見て初めて知りました。

「四季に合わせて名画を観賞するなんて、な、な、なんて粋、贅沢、美しい日本人の感性…!!♡」と遠藤のロマンチック浮かれモードバロメーターが100点をはじきだしたので、もう絶対2020年は見に行こうと心に決めたのと同時に、と?いうことは?他にも?季節限定の?作品が?ある?のでは???と思い、調べたらあった~☺️

日本画について興味を持ち始めたのがここ3年ぐらいで知識が無さすぎるので、知ることが全部NEWなことばかりなのでいちいち楽しい。


というわけで、新年一発目は三井記念美術館にある国宝、円山応挙の「雪松図屏風」を見に行くことにしました。

《長寿や吉祥を象徴するお祝の意味を持つ松》、《新しさの象徴である雪》。

新年のはじまりにふさわしい屏風絵です。わくわく。



一目見た途端、わたしは美術館から楽園雪国へワープしてしまいました。楽園と言えば南国を指すことが多いですが、この景色は間違いなく楽園でした。なんて美しい雪景色なんだろう。金泥と墨だけで描かれているのに、様々な光の色が見える。ふんわりと積もった新雪に太陽の光が反射して世界が煌めいている。多幸感しかない。こんな景色が広がる朝なら喜んで目覚める。


写真や画像で見てただけだと、なんか応挙ぽくないなと思ってたのですが、実際近くで見てみるとそこには応挙の叡智が結集された見事な筆づかいで、「わぁ、すばらしい…」と思わずつぶやいてしまいました。

応挙は自然を見たままに忠実に描くべきと写生に勤しんだことで有名ですが、自然には輪郭線はないだろということで輪郭線を描かずにベースの紙の白をそのまま生かして雪を表現したり、応挙オリジナルの「付立(つけたて)」という技法で幹や枝の輪郭を表現されました。(墨を徐々にぼかし、グラデーションになるようなかんじ)



そしてなにより「金砂子(きんすなご)」という金箔を細かくパウダー状にしたものが、雪への光を反射を表すために地面に舞い散っているのですが、これがもう美しいのなんの…。応挙まじでセンス良すぎ。感性豊かすぎ。感嘆のため息しか出てこない。


ところでこの屏風絵、右が【老松】、左が【若い松】の対比でできてるのですが、幹や枝や葉の力強さ、繊細さ、荒々しさ、みずみずしさとその違いを人生の縮図みたいなものと重ね合わせて考えてたらあまりの壮大さになんだか泣けてきてしまいました。


また、《佇まい》《構図》《余白》《屏風の山折谷折による奥行き》と見れば見るほどなにもかもがとっておきに美しくて、もうあっという間に大好きな作品にランクイン。



この屏風の前にソファーがあるので、閉館時間までそこに座ってゆっくり作品と向き合っていたのですが、こうやって季節を感じながら作品を通していろんなことに思いを馳せる時間、とてつもなく尊いなと。

四季を作品と共に楽しむということの良さを十二分に感じることができた機会でした。

また来年もこの絵で新しい年を迎えたい。来年はどんな気持ちでこの絵を見ることになるんだろうなぁ。わくわく。

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