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【名画をプロップスタイリングしてみる Vol.4】フランシスコ・デ・ゴヤ「裸のマハ」「着衣のマハ」

今日は2枚の作品を見比べてみましょう。


フランシスコ・デ・ゴヤの「裸のマハ」と「着衣のマハ」

どちらもスペインのプラド美術館に並べて展示されています。


同じ構図が2枚あるなんて、事件の匂いしかしませんね…!わくわく(不謹慎)

ですが現時点でも真実が解明されているわけではないそうです。


さて、ゴヤと言えばスペインを代表する宮廷画家であり、晩年の「黒い絵」(なんかきもいやばいやつが子供食べてるやばい絵とか)でお馴染みですが、波乱万丈な人生をおくっており、女狂い、躁鬱病、そして激しい頭痛を伴う病によって46歳で聴覚を失っていたと言われています。


そんな中で描かれたこちらの2作。

「裸のマハ」のあとすぐに「着衣のマハ」が描かれています。


スペインは当時敬虔なカトリック教徒の国だったので、神話画ではなく実在する女性の裸が描かれた「裸のマハ」はあまりにも過激すぎたようで、「これは誰からの注文で描いたんや~!💢」とゴヤは裁判にまでかけられてしまいました。しかしゴヤは口を割ることなく、証拠不十分で無罪になっています。


ではこの絵は誰が注文したのでしょう…?


じつはこの2作品、当時のスペインの首相マヌエル・デ・ゴドイの邸宅から発見されています。首相~!

描かれた女性はゴドイの愛人がモデルと言われています。(諸説あり)


そしてなぜ「着衣のマハ」があるのか?


実はゴドイの自宅の玄関前に「裸のマハ」を隠すように「着衣のマハ」が前に吊り下げられてて、なんと滑車式の吊り下げ機械を使うといつでも「裸のマハ」が秘密に公開できるようになっていたそうなんです…!ひえ~!きもい~!


ちなみに「マハ」とはだれか女性の名前ではなく、スペインのアンダルシア地方の民族衣装を着た女性のことだそうです。「着衣のマハ」で着ている衣装がまさにそれです。綺麗だね。


わたしはおととしプラド美術館に行ったときは残念ながら貸出中で着マハ(略してごめん)しかみれなかったのですが(20年前ぐらいに行ったときは両方見れたが、記憶があまりない…)、着マハ見ただけでもその妖艶さやオリエンタリズム感じるポージングに不思議な魔力すら感じてよくわからん場所へ引きずり込まれてしまいそうだったので、これ2枚並べてあるの見たらもう現世に帰ってこれなくなるパターンだと思いました。すごい力を放ってた。確かに着マハ滑車で上げたら下から裸マハ出てきたら興奮するだろな。


そして以前裸マハを探求したことがあるのですが、めちゃくちゃいい枕とシーツなんですよね。このダブルレースなフリル、めっちゃ高級品やと思います。

それから2つのソファー、色も形も違うけど母体は同じじゃないでしょうか。裸マハではひじ掛けがありますが、着マハにはありません。これ、例えば裸マハでこの豊かなひじ掛けがなかったら、裸が貧相に見えてしまってたと思うし、着マハでひじ掛けがあったらスペインの民族衣装の繊細な魅力が伝わりづらくなってたと思う。ゴヤのバランス感覚、やはりすごい。

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