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2022年6月の記事一覧

【読書】半藤 一利『昭和史 1926-1945』

この国は、失敗から学ぶということをしない国なのだと、つくづく思う。終戦において、多くの公文書を焼き捨てたと聞いたことがある。学ぶつもりがあれば捨てはしないだろう。自分達が可能な限り善意を尽くしたのであっても捨てはしないだろう。失敗から学ばないのは政府や官僚ばかりではない。国全体がそうなのだろうと思う。公文書館があることをどれほどの人が知っていようか。公開を請求しても得られるものは真っ黒に塗りつぶさ

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【読書】北村巌『大逆罪』

「大逆事件」と言うとき、この国には四つの事件がある。「幸徳事件」「朴烈事件」「虎ノ門事件」「桜田門事件」。本書はこのうち「幸徳事件」「朴烈事件」について語ったものである。表紙の人物は朴烈と金子文子。第Ⅰ部が朴烈事件。第Ⅱ部が幸徳事件。朴烈事件のみならず、幸徳事件についてもいろいろと知れた。

朴烈が連行されたのは関東大震災の二日後である大正十二年九月三日。朝鮮人に対する虐殺が横行する混乱の中で名目

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