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映画感想#19 「旅人は夢を奏でる」(2013年)

原題 Tie pohjoiseen(英題 ROAD NORTH)
監督 ミカ・カウリスマキ
脚本 サミケスキ・バハラ、ミカ・カウリスマキ
出演 ヴェサ・マッティ・ロイリ、サムリ・エデルマン、マリ・ペランコスキ、ピーター・フランゼン、レア・マウラネン、イーリナ・ビョルクルンド 他
2013年 フィンランド 113分


突然、音信不通だった父親が現れて「旅に出よう」だなんて。
最高のシチュエーションじゃないですか。
ロードムービー好きなので、迷わず見ました。フィンランドってのいうもまた良いんですよね。

幼い頃に父親・レオと別れたピアニストのティモは、長らくぶりに再会した父親とともに、半強制的に旅に出ることになります。道中で腹違いの姉に会い、祖母に会い、最後には実母にも会うことに。
ティモとしては、もう、何が何だか混乱しているはず。今までの人生、何だったんだろうって。突然「こちらがあなたの親族です」と言われても、「ああ、そうなんですね」っていう感想しかないんじゃないでしょうか。
でも、そんな旅の中でティモは自分の人生を見つめ直していくのです。

旅の道中で色々と事故(事件?)を起こしますが、ホテルの罰金とか、ガソリンスタンドでお金払わないのとか、追いかけてくる人いないの?って思ったけど、そこはストーリーと関係ないのでバッサリでよかったですね。

レオは自分の命がもう長くないことを知り、最後にティモに会いに来たのかもしれない。
そんなタイミングではあったにしろ、ティモの人生は、父親が会いに来てくれたことで、180度変わったんじゃないでしょうか。ストイックな人だったのに、少しは笑顔にもなって。ティモの周りを固めていた殻のようなものが、レオの出現によって、少しずつ壊されていくようでした。
レオは、息子に対して、父親だからこそできる役割を果たせたのかもしれません。

家族ときちんと向き合うことって、意外と難しいし、なんだか小っ恥ずかしいこともある。でも、家族の存在は、確かに自分を形成する一つの要素なんだと思います。
実際、ティモは家族に会うことで確かに「自分」という存在を再認識していくわけだし。良くも悪くも、素直に自分を受け入れることが、家族を前にして、やっとできるようになったのかもしれません。

家族って何なんだろうか。血のつながりって何なんだろうか。
切っても切れない関係・・・それだけ?
そんな漠然とした問いを、今後もこういう映画を見たり、ふとした瞬間に思い出して、考えていこうと思います。

☆観賞日 2014年1月24日


投稿に際しての余談

・タイトルについて。原題・英題ともに、意味は「北への道」。ロードムービーっぽい良い感じのタイトル!でも邦題は・・・!?間違ってはないけど、謎すぎる。
さて、最近見たロードムービー、「君は行く先を知らない」(2021年/パナー・パナヒ)。舞台はイラン。ある理由のために家族で旅をするのですが…いや〜良かったんですよねこれも。ロードムービーというジャンルに凝縮している哀愁がたまらない。移りゆく景色と共に、自分の中の何かが変わっていく感じ。最高です。

・大好きなフィンランド映画監督、ミカ・カウリスマキの作品。弟のアキ・カウリスマキも大好きなのですが、アキよりミカの方が先に見ていたのか。同じ2014年冬にアキの映画も見ることになるのですが、衝撃的に良かった。また後々。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。


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