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映画感想文

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2012年から続けている手書きの映画ノートの内容を、一部編集・アップデートして載せています。当時見た新作〜旧作まで様々。洋画が多め。レビューや批評というよりは、感想です。出演して…
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2023年12月の記事一覧

1ページに満たない映画感想<2014年⑤〜モノクロ怪作編〜>

ボリシェヴィキの国におけるウェスト氏の異常な冒険(1924年/レフ・クレショフ) 初めてのサイレント映画。劇場が静かすぎて、ものすごく気を使ってしまう。 ウェスト氏の冒険っていうか、ただ騙されただけの話?(笑)それより、みなさん顔芸が半端なかったです。悪い人はもうまさに”ワルモノ”の顔をしていました。そうでもしないと、サイレントだし、印象に残らないのでしょうね…。 映画を見たというよりは、歴史資料を見ているかのような感覚でした。さすがフィルムセンター、貴重な体験をありがと

1ページに満たない映画感想<2014年④〜ドキュメンタリー編〜>

夢は牛のお医者さん(2014年/時田美昭) 小学校で牛を育てた経験から、獣医師を目指す少女の夢を追ったドキュメンタリー。牛の卒業式で児童全員が泣いている姿、そして送られていく牛たち。家畜として育てた牛との別れは何を意味するのか。この貴重な経験から、子供たちは「命」について、とても大切なことを学んだことでしょう。 この少女は獣医師になるべく、岩手大学の入試に臨みます。合格した瞬間は、自分のことのように嬉しくなりました。そして、ついに獣医師の国家試験にも合格。 子供の時から持

1ページに満たない映画感想<2014年③〜北欧映画編〜>

ベンヤミンの夏(1995年/ギスリ・スナイル・エリンソン) アイスランドのとある街、ローランド、ベンヤミン、バルド、アンドレスの4人の少年は、火事で家を失ったおばあさんのために騎士団を結成し、募金を集めて家を建てることに。しかし仲間内のいざこざで、バルドをいじめるアンドレスは脱会するが・・・と、ただの北欧系ほっこり映画ではないので要注意です。 子供たちはすごく可愛かったけれど、子供の純粋さの代償を見た気がしました。純粋すぎるために罪を犯してしまうというか。その結果、命を

1ページに満たない映画感想<2014年②〜この人ありきの映画編〜>

この人が出てるから見た、もしくはこの人の存在によって成り立っていると思う映画です。 小さいおうち(2014年/山田洋次) <松たか子> 「奥様」の貫禄 戦争が迫る昭和初期の時代に、ある家庭で起きた密かな事件を描いた良作。 女中奉公をするタキという女性の回想の中で物語が進んでいくので、昭和と現在で時間軸が行ったり来たりします。そのため話がブツ切りになるような感じがあり、集中していないと感情が追いつかない可能性が…。 奉公先の奥様である時子(松たか子)と関係を持ってしまう板倉

1ページに満たない映画感想<2014年①〜有名な監督編〜>

鑑定士と顔のない依頼人(2013年/ジュゼッペ・トルナトーレ) この映画評価高いんですけど、私には何がなんだかさっぱり… ミステリー?とはいえ途中からヴァージル(主人公:鑑定士)とクレア(謎の依頼人)のラブストーリーっぽくなってきて、個人的には飽きてしまいました。とにかく私の理解の及ばない展開だったみたい…。 クレアは結局何者なの?査定してどうしたかったの?ヴァージルのこと「泥棒」とか言っといて、結局家具売らんのかい。 画面の美しさはあって、確かに中盤あたりまでは楽しめた

映画感想#35 「華氏451」(1966年)

原題 Fahrenheit 451 監督 フランソワ・トリュフォー 脚本 フランソワ・トリュフォー、ジャン=ルイ・リシャール 出演 オスカー・ウェルナー、ジュリー・クリスティ、シリル・キューザック、アントン・ディフリング、ジェレミー・スペンサー 他 1966年 イギリス 113分 思考は人を不幸にするのか 紙が自然発火する温度、それが華氏451度(摂氏233度)。タイトルからイメージされるのは、紙で作られた本が燃えていく様子でしょうか。 「消防士って前は火を消すのが仕事

映画感想#34 「浮き雲」(1996年)

原題 Kauas pilvet karkaavat 英題 Drifting Clouds 監督・脚本 アキ・カウリスマキ 出演 カリ・ヴァーナネン、カティ・オウティネン、サカリ・クオスマネン、エリナ・サロ 他 1996年 フィンランド 96分 無表情な登場人物の表情を読む 失業した中年の夫婦が、再び職を得るまでの紆余曲折を描いています。 特徴は2人のなんとも無表情な会話。最初は、「仲が悪いのか?」とも思ったけれど、決してそんなことではありませんでした。そこには言葉に出さ