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1ページに満たない映画感想<2014年④〜ドキュメンタリー編〜>


夢は牛のお医者さん(2014年/時田美昭)

小学校で牛を育てた経験から、獣医師を目指す少女の夢を追ったドキュメンタリー。牛の卒業式で児童全員が泣いている姿、そして送られていく牛たち。家畜として育てた牛との別れは何を意味するのか。この貴重な経験から、子供たちは「命」について、とても大切なことを学んだことでしょう。
この少女は獣医師になるべく、岩手大学の入試に臨みます。合格した瞬間は、自分のことのように嬉しくなりました。そして、ついに獣医師の国家試験にも合格。
子供の時から持っていた夢を追いかけられるってすごいこと。私には出来なかったことです。彼女の夢を応援する家族の姿にも感動しました。
「夢を追いかける」という言葉は時に陳腐に聞こえるけれど、夢に向かって努力する彼女の姿から、"諦めずに頑張ること"の純粋な素晴しさを感じられる映画です。

☆2014年4月9日鑑賞


シバ 縄文犬のゆめ(2013年/伊勢真一)

ただ犬が好きで見たくて、本当にそれだけだったので、何の予備知識もありませんでした。柴犬保存会がどういう活動をしていて、どんな目標を持っているのか、映画の途中でやっと理解できたくらいです。柴犬の種類や顔の特徴など色々学びました。
縄文時代から受け継がれている、縄文犬という種類の柴犬たち。どうにか後世に残していきたい、と犬に愛情を注ぐ柴犬保存会会長の照井さんをはじめ、保存会の人々の活動に感動しました。犬を見つめる人々の表情が、本当に穏やかで。犬は可愛いだけでなく、賢く、人々とともに生きてきたんだなあと。
これからも、犬と人が幸せに共存していける世の中が続くと良いですね。

☆2014年4月16日鑑賞


おばあちゃんが伝えたかったこと カンボジア・トゥノル・ロ村の物語(2011年/エラ・プリーセ、ヌ・バ)

カンボジアのかつての独裁政権時代についてのドキュメンタリー。
ポル・ポトという名前やクメール・ルージュの詳しいことはほとんど何も知らず、世界史で少し名前を聞いたことがある程度でした。この映画では、独裁政権下を生きた人々の証言や体験談を中心に、当時を振り返ります。
一番心に残ったのは、「ポル・ポト側を復讐したい気持ちはあるが、それをすると孫の代まで続いてしまう。だからここで終わらせる」というおじさんの言葉。世界中の人々がこういう考え方をすれば、きっと良い世界になるのに…。
「争いはもういらない、ましてや戦争なんて」
今の世の中にも響くドキュメンタリーだと思います。

※投稿に際しての余談
この年の9月、旅行でカンボジアに行きました。せっかく行くのならカンボジアの歴史を少しでも知っておいた方が良いだろうと思い、この映画を見ました。実際現地では、映画で見たような戦争の爪痕を感じることはありませんでしたが、その国の歴史を知ることができて良かったです。
4日ほどの滞在でアンコールワット周辺の遺跡群を巡り、それぞれの遺跡で表情が全く違うことを体感し、忘れられない旅になりました。

アンコール・トム遺跡の入口
アンコールワットにて、女神アプサラ像

☆2014年8月8日鑑賞


大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院(2005年/フィリップ・グレーニング)

いま生きているこの社会は、やっぱりうるさすぎるんだろうな。
この映画が始まったとき、最初は静かすぎて息が詰まるような感覚がありました。音楽は一切なし、フランスの山間にあるグランド・シャルトルーズ修道院から聞こえるのは風の音や人が歩く音だけ。でも、見ているうちにこの静寂が心地良くなっていきました。

修道士の暮らし

修道士たち(かわいいおじいちゃん)の祈りの風景を見ていたら、「Dr.パルナサスの鏡」(2009年/テリー・ギリアム)を思い出しました。誰かが祈りを唱えないと世界が終わってしまう、と思い込んでいる僧侶たち。そんな世界にも少し似ているような気がします。
ピクニックしてお喋りしたり、スキーしてみたりと、彼らも同じ人間なんだけど、どこか違う存在のような。あまりにもかけ離れた生活を送っているからなのでしょう。
しかし長かった…169分という長さで、途中疲れと空腹で少しだけ寝てしまいました…無念。

☆2014年8月14日鑑賞
(懐かしの岩波ホールにて)


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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