うえのあゆみ

うえのあゆみ

最近の記事

ゆめのなかで

夢の中で見た美しい景色をあなたにも見せたくて カメラロールに必死に収めてみるけど いつも目覚めるとまるごと消えてしまう 夢から景色を持ってこれる便利な機能を 早く発明してよIT学者さん

    • うそつき

      たとえば 大切な誰かの 幸せを守るために 必要な嘘というものが あるとしたなら それを突きとおす強さを 私にください 死ぬまで守りぬける 強さをください じぶんの嘘に 殺される夜が あったとしても けして壊れない 強さをください

      • たしかなこと

        どの自分もほんとうな気がするし、 ほんとうじゃない気もする。 現実だったのか 夢だったのかさえ いまとなっては定かではないし、 まあどちらだったとしても さして問題はない。 確かなのは いまここに立っている、ということと さっきなにを食べたか、ということと あのときあの人に愛された、という ことだけだ。

        • 自分発見

          「また訳のわからないことを言って」 と言ってくれるあなたと出会ったおかげで、 いつも自分が 訳のわからないことを言ってるのだと、 知ることができました。

          19:57

          19:57。 しとしとと雨が降りだす。 濡れたコンクリートの埃っぽい匂いが、私の季節を急に動かしはじめる。 空を仰ぐと、頬やまぶたで受ける雨が心地よく、少し湿ったぬるい空気がスカートの裾をふわりとかすめてゆく。 ああ、なんて素敵な夜。 私は自由で、このままどこまでだって行けそうな気がする。 雨の音がすべてを包むこの世界で、 たった一人の、誰も知らない私。 私だけが知ってる私。 おかえり。 また会えて嬉しいよ。

          秋に会う

          いつも前ぶれなく訪れる秋の匂いにハッとする瞬間が心底好きで、私は毎年この時が来るのを心待ちにしている。 夏が終わるその瞬間までは夏に夢中なので、さっぱり忘れてしまってるのだけど、それがまた良いのだ。 ハッとして見上げると、いつのまにかぐんと高くなった空に、水彩画のようにサラサラと気持ちよさそうに流れ、ゆるやかに形を変えていく雲。 一度それに気がついてしまったが最後、どうしたって目が離せないので、まっすぐに歩けない。 すんと澄み渡った清らかな空気を肺いっぱいに吸い込むと

          demo tape

          「君の曲を書きたい」 徐につぶやいて 弦を弾く長い指 さらりと乾いた声が 今も耳に心地いい 埃が燃える匂いと コーヒーの香りが こんなにもギターの音色に 合うことを教えてくれた あなたはいつも 私の前から突然いなくなる 飲みかけのマグカップがふたつ 置き去りのワンルームに 私は今でも取り残されている 未完成のデモテープ 深い青のメロディが 白に溶ける午後 あの日の体温が ゆらゆらと匂い立つ まるでまだ隣に居るみたいだ

          うたう理由

          だれのものでもないわたし だれのものでもないあなた 自由は素敵だ、そして寂しい だからきっとうたを歌うのだ 体温を抱きしめるように

          弔いの花束

          幼いこの首に 手をかけた、 その手の生温かさを 今でも憶えている。 救いかたなんて わからなくて、 声も出せず 悲しみにのまれた夜が あったとしても、 今日この歌を 歌えるのなら。 愛も憎しみもぜんぶ 花束に込めて 海へ放てばいい

          夏の夜の雨のように

          優しくてかなしい そのメロディは まるで夏の夜の雨のように 私にしとしと降り注ぐ どうかそばにいてと 泣いているかのように 愛しているよと 小さな声をあげているかのように

          夏の夜の雨のように

          water cage

          その声が その肌が その瞳が 僕をやさしく 水の檻に 閉じ込める 君と出逢ってから もうずっと僕は 自由に泳げない 気づけば こんなにも二人 深い青に 溺れてたんだ 永遠のような一瞬 もっと もっと深いところまで このまま 混ざりあって 泡となるまで

          ピアニッシモ・フラン

          不健康な生活は絵になる。ロックスターの生き様なんかは、その象徴だとおもう。 どこかで耳にした「秋はたばこの煙が恋しくなる」という、その大人だけが使うことを許された気だるくどこか感傷的なフレーズは、少し背のびをしたい年頃の女の子を誘惑するには十分だった。 その背徳感に胸を高鳴らせ、たばこを手にとったのは、かわいた風と高い空に傾いた陽がセンチメンタルな秋の頃。私は短大生だった。 年齢的に言えばすでに合法だったけれど、幼いころ身体があまり丈夫ではなく病院のベッドによくお世話にな

          ピアニッシモ・フラン

          道が覚えられない

          私は空ばかり見て歩いているので、道が覚えられない。 昔からどうして人より道が覚えられないんだろう、と我ながら不思議だったけれど、最近になって人から「あなたは空ばかり見ているから道が覚えられないんだよ」と言われて、すとんと腑に落ちた。 でもそれは不可抗力だ。 空があまりにも魅力的すぎるのがいけない。 嘘みたいに抜けるような青空。 水彩画のように流れる表情豊かな秋の雲。 雨あがりに染まる黄金の夕焼け。 ぷっくり太った満月に、ミステリアスな下弦の月。 いまにも手に届きそうない

          道が覚えられない

          とるにたらないもの

          とるにたらないもの、という表現が私はとても気に入っている。 いま風に言うと「映えない」もの、になるのかもしれない。 写真に切り取られなかった側のもの。 選ばれなかったもの。 フューチャーされなかったもの。 見向きされなかったもの。 でも確かに「そこ」にあるもの。 移ろいゆく世の中に圧倒されていると、時々、そんな「とるにたらないもの」と自分の存在が重なったりもする。 だけど、とても愛おしいと思ったりもする。 日常にそっと寄り添っているその何気ない存在が、さりげなく日

          とるにたらないもの

          my dear

          そうだなあ 僕が死んだら きっと手に入る魔法で 真っ先に キミの記憶を消そう 僕との記憶を消そう キミには笑っていてほしいんだ 隣にいるのが僕じゃなくても そんなのは綺麗ごとだと思うかい? 欲を言えばふとした時に あの日一緒に行った海で 忘れてしまった僕を風に感じて 少し泣いてくれたらいい それだけでいい 最後に笑い合えたのが キミでよかった ありがとう だからどうか どうか笑っていておくれ 僕が惚れたその笑顔で

          宇宙最強の相方

          そうだ、作詞をしよう!と思ったときは、だいたいノッているときなので、大抵10〜30分以内に、フルコーラスぶんをいっぺんに仕上げることが多い。 そしてそれをすぐ、作曲・アレンジ担当である相方のアラチャンに送るという流れだ。 アラチャンの手にかかると、私が描いた世界観が、曲になって出てくるので本当に驚く。 「ああ、これだ!」という感覚なのだ。 なので当然、今までボツになった曲というのもない。今のところは、だけれど。 これはもう、アラチャンと私が「リンクしてる」としか考えられ

          宇宙最強の相方