WONDER WATER
2023.8.11(金)
ロームシアター京都 【ノースホール】
「プレイ!シアター in summer 2023」
ひびのこづえさんによる衣装、川瀬浩介さんの手掛ける音楽、ホワイトアスパラガス【谷口界さん・長岡岳大(ハチロウ)さん】のおふたりのアクロバットやジャグリングによって表現される海の中の世界『WONDER WATER』。
ホワイトアスパラガス 谷口界さんの地元京都での待望の公演。情報が解禁された数ヶ月前からずっと楽しみにしていました。
私が『WONDER WATER』を初めて観たのは2021年。コロナ禍ともあり初見は動画でした。
それまでに『WONDER WATER』を知る方や実際に観たことのある方々からの良いお話をたくさん耳にしていたので、動画であっても全貌を観れることがすごく嬉しかったのを覚えています。
今でもこの動画を不意に観たくなることがあるのですが、そんな時はとことん『WONDER WATER』の世界に浸ります。
▼その動画がこちらです。
この度の京都での劇場の雰囲気にとても近い映像です。
30分くらいの動画です。ぜひお時間のある際に、海の中に遊びに行ったような、また、海の中を覗いているような、愉快な生き物たちによって鮮やかに繰り広げられる海のサーカスをゆっくりご覧になってくださいませ🐠✨
現代サーカスと言うと「解釈が難しい」などと敬遠されることも多いのですが、『WONDER WATER』は海がテーマになっていて音楽や衣装が物語へと誘ってくれるのでイメージが湧きやすく、海の生き物たちの愛らしい表情や生態がアクロバットやジャグリングやダンスで表現されるので、子供から大人まで誰が観ても分かりやすく誰もが惹き込まれる、観て触れて楽しい作品です。
お子様が夢中になっている間、親御さんたちもほっとひと息ついて一緒に安心して楽しめるそんな時間と空間。全体を包むこの作品の優しさと雰囲気が私は大好きです。
動画が公開された後の2022年5月、東京芸術劇場のロワー広場にてようやく生のパフォーマンスを拝見することが叶いました。
そして今年2023年の5月、同じく東京芸術劇場シアターウエスト ロワー広場にて、TACT FESTIVAL 2023 × ひびのこづえ ダンスパフォーマンスが開催され、『WONDER WATER』が帰ってきました!
行われる場所で作品への印象が大きく変わることも、京都の劇場を体験して肌で感じました。
東京芸術劇場では日の光のよく入る吹き抜けの明るい場所でしたので、この『WONDER WATER』の海の中の世界もまた光の届く明るい海中といった印象でしたが、この度の京都公演では私も初となる劇場内での『WONDER WATER』。
真っ暗な場内中央に浮かびあがる景色はまるで深海のようで、かなり神秘的でした。
東京芸術劇場ではひとつ上の階から登場。顔を覗かせ、エスカレーターに乗って地下まで泳いで現れたおふたり。
今回もどこから現れるのか、登場シーンから楽しみで、会場に静かに音楽が流れ始めるとキョロキョロ。毎回はじまりはわくわくしてしまいます。
「わ!ほらあそこ!誰か来た」とさっそく声が聞こえてきました。
微かに届く陽光に煌めく気泡と、自ら光を放って揺らめく海底の動植物のよう。
まるで一緒に幻想的な海の中を探索しているような気分になります。
先程まで吊るされ、美術の一部だった泡や海藻が衣装に変わる。
身に纏い、くるくると回転したり揺れ動いたり。
目の前で動く風船がたくさん集まったような不思議な衣装に、子供たちも身を乗り出して触れる。
前回の東京芸術劇場でのパフォーマンスの際から「桟敷席」という席が設けられました。コロナ前からあって、ようやく復活したということなのかどうかは正直分かりません。椅子の席より前がすべて桟敷席となります。
より迫力の演技や可愛いお衣装を間近で観ることができるようになった為、子供たちの純粋無垢な反応や絡みを以前よりもたくさん観られるようになって、大人たちの幸福度も格段に増した気がします。
私も1回目は迷わず桟敷席へ。
水色のボールを取り合ったり、身体の一部に乗せたり、身体を這わせて転がしたり、投げたり。コミカルなカウント音とアクションが刻まれ、戯れるおふたりの掛け合いのシーンは感情もそのまま見えて、人間的なおもしろみと魅力に目を誘われる。絡んだり横になったり回転したりしながらのジャグリングはかなり息のあったコンビネーションと技術で、ホワイトアスパラガスの真骨頂。おもわず唸る場面です。
イソギンチャクの女王様(…と勝手に私は思っている)のようなおふたりのそれぞれの仕草を悉に観てしまう。
音楽も変わりますが、衣装でキャラクターもガラッと変わります。
リングを落としてしまった場面ではお客さんに「シュッ!シュッ!」と、“拾って投げて”とアピール。
他にも、あれ?いま喋ってなかった…笑?という、クスッとしちゃう展開も。耳を傾けていると、イソギンチャクはよく喋っています。声色高めに発せられる短い言葉やオノマトペでのコミュニケーションに、観客も自然と笑顔に。
え!そんなに遠くから?というような客席後方の場所から、界さんがリングをランダムにヒュンヒュン投げ、舞台中央の長岡さんが次々キャッチ。感嘆と拍手が沸く。リングの中央に顔を出す可愛い決めポーズがここではおきまりです。
それからふわふわの衣装の中に隠れてしまい、もぞもぞ。そのままカサカサと移動したりもする。そのちょっと小気味悪い不思議で予測不能な動きに子供たちの視線も釘付け。
衣装の中に潜る時に長岡さんが吸い込まれるようにして最後に美しく片手を残しながら潜っていかれた瞬間が芸術的で印象深かった。
…あれれ?一方が動かなくなってしまいました。
長岡さんがポンポンと叩いてふわふわの衣装をどかしてみると─
この部分!どかすと稀に坐禅姿のことがあります。4回ある公演のうちの2回目にそれを観れて大笑いしました。まあまあレアなのだとか。嬉しかったです。
おふたりが捌け、ふわふわイソギンチャクの衣装が宙を回転。
次は何が出てくるのだろう?何が起こるのだろう?と、場内の期待も高まる。曲調も変わり、意味深で不穏な感じが漂う。
ん?なにかいる!すばしっこいぞ…!
客席の後ろを何かが横切りました。暗くて速くてよく観えません。
舞台上にその姿が現れると、なんとも鮮やかなお魚。
界さん扮する魚は前方転回をしてアクロバティックに登場。
俊敏さとやんちゃ感増し増しに現れた。動く度にひらひらなびく細かなプリーツの入った色鮮やかな鰭がとても愛らしい。
2匹で戯れていると、さっそく中央にあった珊瑚色をしたトゲトゲにぶつかり、被ってしまう。助けて…!と言わんばかり。
もう一匹が助けようとして近づき手を伸ばすと、急に動き出して追いかけてくる。逃げると停まって、近づくと動き出し追いかけてくる。
このドキドキハラハラな攻防にも子供たちはキャーキャー!
今度はそれを振り回しはじめ…?!
界さんの身体能力には大人たちからも「おおお…!」と驚きの声が漏れる。
最後は投網に絡まって2匹とも打ち上げられた魚のように仲良くピチピチ。笑
ぐるぐる身体に巻き付けて引っ張っては解く。このシーン、界さんがいつもとてもいい笑顔をされる。
お互いに端から巻かれてしまい…
怖くて顔を背けたり、親御さんの元へ逃げる小さな子も。
水色のボールが投げ込まれて転がる。
高く投げ上げ、それをきっかけに耳に楽しいWONDER WATERのテーマが流れはじめる。
いよいよふたりのサーカスは、アクロバットとジャグリングとダンスのオンパレードの展開を迎える。
始まってすぐのあたりで「帰るー!ぎゃあぁぁ😭😭😭」と大声で泣いていた子も、さっきまでウツボを怖がっていた子も、楽しい音楽とダンスにすっかりノリノリ。大人たちまで。
♪WONDER WATER SEA PARADISE
♪主演を紹介しますよ~
歌詞でおふたりそれぞれの名前が紹介され、特技を披露。
個々の技の見せ場です!
お互いの演技中、相手を端から応援したり曲にノッて技を見届ける姿が微笑ましくて大好きな場面です。
曲が終わりおふたりが舞台から捌けてゆき、静まり返る場内。
ミラーボールが動きはじめ、場内はカラフルでキラッキラに✨
浮き輪をつけたおふたりが再登場、割れんばかりの手拍子に包まれます。
私が観た日は2回とも時間超過。たっぷり魅せていただきました。
夏休みともあってお子様がたくさん観にいらしていて。盛り上がりも元気な反応も感嘆も笑い声も笑顔も驚きも、過去一番の『WONDER WATER』でした。
音楽と衣装と身体が織りなす作品。そこに最高な時期と場所と観客が加わり。どれかが欠けたら為せなかったこの劇場での雰囲気を味わえて、観に行って本当に良かったと思いました。
トークタイムも嬉しかったです。作品の中に登場する海の仲間の問題だったり、この『WONDER WATER』の制作秘話(奥能登のお話)などをちょこっと聴くことができたのも楽しくて。
さすがは関西、子供たちが計算無しに天丼やボケで返してくる答え(?)に丁寧に誠心誠意ツッコむホワイトアスパラガスもおもしろかったです。笑
照明が入ったことで、海の物語に表情と濃淡が添えられ、海の中に広がる活き活きと暮らすユニークな生き物たちの戯れがより豊かに彩られ、とびきり愛らしく鮮やかな生態をたっぷりと観察した気分になりました。
まだ小さな男の子が身体を上下に揺らしながら満面の笑みで手を叩いて喜んでいる様子が本当に可愛らしく、ホワイトアスパラガスとその子とを交互に観てしまいました。笑
ホワイトアスパラガスをとても気に入ったようで、最後におふたりが捌けていくその後を全身全霊で追いかけて走って行くのが見えました。入り口で係の方に止められていた光景があまりに尊く忘れられません。きゅんとしてしまいました。
まだ暫く居ていいという場内に残り、余韻に浸りながら、先程まで衣装だったものが再び美術へと戻っていく作業の工程をぼんやり眺めました。
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1回目と2回目の間に、以前京都へ来た際に友人が探してくれた「ホーボー堂」というヴィーガンカフェに行きました。前回買えなかった玄米のおはぎがどうしても買いたくて。
インバウンドや夏休みの影響で激混みを予想していましたが、行ってみると空いていて、ありがたくそこで昼食も取ることにしました。
お品書きを見ながら、どんな食材が使われているのかひと品ひと品味わっていただきました。無花果とナッツと紫蘇の春巻きは、デザートのような美味しさでした。
変わった種類もあって、珍しいおはぎが取り揃っています。
また、2回目の終わりにはもうお一方知り合いの方をお誘いして、細見美術館併設のCAFE CUBEへお茶しに行きました。着いて階段を降りはじめると、目の前に急に広がった世界がまるで地下帝国のようで、その構造に「うわあぁぁぁあ!!!」と声もテンションもあがる。表の通りからは全くそんな気配は感じられなかったので余計に。写真を取り忘れてしまうほどの素敵空間でした。
なんの情報もなく行くことの楽しさと感動を覚えた体験でした。
モルゲンタオという、初めましてなお茶を選択。
煎茶をベースにバラと矢車菊の葉がブレンドされているという説明書き。
直感で選んで大正解の好みの香りと味わいのお茶でした。蒸らしたあとに蓋を開けた瞬間の幸せな香りが忘れられません。
なにもかもがおしゃれに見えてきて、砂時計も真っ青な砂が上にあがるタイプの砂時計でした。
先程までいた、海の中が浮かびました。
今回、個人的な最大のミッションがありました。
前回7月22日に京都を訪れた際に落としてしまったお気に入りのイヤリングが、その後親切などなたかが拾って届けてくださり。京橋駅にて特別に長く保管していただいていました。
朝イチの新幹線で新横浜から新大阪まで行き、電車を乗り継いで京橋駅へ。
イヤリングを受け取ってトンボ返り、『WONDER WATER』1回目に間に合うように京都へ戻って来るというものでした。イヤリングは私のもので間違いなく、無事に回収できました。
行ったことのない場所ではいつもすぐに迷子になってしまうのですが、この日は終始スムーズにいき、予定時刻よりも早く「ロームシアター京都」の最寄り駅の東山駅に到着(歓喜)。
友人とも良いタイミングで合流できました◎
そしてその友人とは、昨年より京都を一緒に訪れることが増え、京都へ来たら必ず寄る特別なカフェもできました。
8月いっぱいは夏休みとのことです。キッチンのタイルも階段も床もトイレの中まで、店内のすべてが素敵で、天然酵母で作るもちもちの手作りパンがとっても美味しいカフェです。
2階では展示会も開催されます。お葉書にてご丁寧なご案内をいただくので、数ヶ月に1回のペースではありますがそちらを観に訪れるのが今ではとても楽しみになっています。毎回視点の変換や刺激をたっぷりといただいて帰ってきます。
『麦ねこ風ねこ』のロゴの入った、ポケットと仕切りがたくさんある可愛いトートバッグをようやくお迎えできて、お出掛けがより楽しくなりました♪
最後に、東京芸術劇場『WONDER WATER』でのワンシーン、谷口界さんの美しきスタン宙をご案内して終わりたいと思います。
かなりお気に入りの動画です🤸♂
一時停止をしたり再生をしたり、また巻き戻したり、もう一度はじめから通して視たり。今はもうVHS📼の時代ではないから言わなくなったかもしれませんが、引き上げの角度や抱え込み、首の返しのタイミングなどを研究するのに、擦り切れるほど視ました。
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早朝からドラマチックな良い1日となりました。
明日もここにいられたら…と思ってしまったけれど、でもその1日が自分にとって2日いるよりも意味のある時がある。
この日はそんな日でした。
ホワイトアスパラガスでの『WONDER WATER』、
またお目にかかれる日を心待ちにしております。
私はあともう少しだけ、
海の中の余韻と安らぎに浸っていようと思います𓆉𓈒𓂂𓏸