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ツルハとウエルシアが経営統合へ!イオン野望のドラッグストア再編とは?? 徹底解説。


記者会見したイオンの吉田昭夫社長㊧、ツルハHDの鶴羽順社長㊥、ウエルシアHDの松本忠久社長
  • イオンによる経営統合の秘策は?

  • ドラッグストア業界再編の背景とは?

  • 業界再編はいよいよ終盤戦か?

こんにちは、雨不足の場合です。現役東大生です。あり余った時間を使って、今日も経済ニュースの解像度を上げていきます!

本日取り上げるのは、こちらの記事。
2月28日、ドラッグストア国内最大手のウエルシアHDと2位のツルハHDが経営統合の協議を始めると発表した。

なぜこのような決定に至ったのか?ドラッグストアの再編ってどういうこと?
そんな経済のギモンを今日も紐解いていく!!!



NEWS

ドラッグストア国内最大手のウエルシアホールディングスHDと2位のツルハHDは28日、経営統合の協議を始めると発表した。ウエルシア親会社のイオンが香港投資ファンドから約1000億円でツルハHD株を取得し、段階的にツルハ株を買い増して統合を主導する。27年度末までに株式交換でツルハHDがウエルシアHDを完全子会社にする方針で、ウエルシアは上場廃止になる見通し。(日本経済新聞)

ツルハHDは昨年11月、買収受け入れによる非上場化を検討しているとして、TOB期待(株式公開買い付けの際に上乗せされるプレミアム価格期待)に株価が急騰した。しかし今回のイオンによる経営統合によって、非上場化の思惑が後退、売りを促している。一方、ウエルシアHDは、再編過程におけるプレミアムの付与・統合後のスケールメリット期待で好感されている。



イオンによる経営統合の秘策は?

−ツルハHDの統合に立ちはだかった壁

イオンがツルハに接触したのは、約30年も昔のことだった。1990年代、イオン前身のジャスコがドラッグストアを21世紀の成長分野と位置付け、95年にツルハと資本業務提携を結んだのである。しかし業務提携の内容は限定的で、ツルハはイオン系列とは合流せず独自路線を歩んでいた。

ツルハHDは20年にドラッグイレブンを子会社化するなど積極的なM&Aに取り組んだが、競争激化で2022年5月期に上場以来初めての減収となった。そこで横槍を入れたのが、香港の投資ファンド「オアシスマネジメント」である。オアシスは23年6月、創業家の株式保有比率が1割未満にも関わらず、創業家出身の取締役が4人いることについて、企業統治改善等の株主提案を行っていた。

同じくツルハの有力株主だったイオンは、23年12月オアシスに対し「ツルハHD株を買い取りたい」と打診、ツルハ側にも意向を伝えた。しかし、ここには大きな壁があった。それはツルハHDにとって「鶴羽家を維持すること」が絶対条件であるということだ。

そこでイオン側が繰り出した案が、売上規模で上回るウエルシアがツルハの完全子会社になるという今回の枠組みである。首位にも関わらず吸収されるウエルシア社内では反発の声もあったが、最終的には成長ドライバーとして海外進出が必要であるという点で見解が一致していたため折り合った模様。鶴羽順社長は28日の会見で「鶴羽が親会社となるのでその時の代表者が社長になる」との見通しを示した。


ドラッグストア業界再編の背景とは?

ーイオンが野心するアジア市場への挑戦

ドラッグストアは売上高総利益率の高い医薬品の販売で収益を確保し、食品や日用品を安く販売するビジネスモデルで成長してきた。日常生活に密着した商品ラインナップと価格帯で、コンビニやスーパーから顧客を取り込んできた訳だが、近年では人口減少と競合激化で店舗の飽和が指摘され、業界の再編がささやかれている。

実際に、21年にはマツモトキヨシHDとココカラファインという大手2社が統合、22年にはウエルシアHDがコクミンを子会社化するなど、再編が進んでいる。

ウエルシア・ツルハの経営統合について、イオン社長は「北海道や東北に強いツルハHDと関東や関西に強いウエルシアHDはエリアで補完関係にあり、国内最大のスケールメリットが獲得できる」としたほか、「イオングループの食品調達や物流網などを活かせる」と、巨大小売企業であるイオンとのシナジーを強調した。一方、鶴羽社長は「売上規模は2兆円を超え、統合後はアジアナンバー1のグローバル企業になる」と世界進出への強い意志を語っている

日本国内は人口減少が著しく店舗数はすでに飽和している。一方、東南アジア諸国は高齢化が徐々に進んでいる一方で、日本に比べ圧倒的に医療体制が整っていない。そういった地域は、医療サービスを補完する機能があるドラッグストアにとって残されたブルーオーシャンなのである。

今回の統合で、ドラッグストア業界で世界5位の規模に達する両社は、イオンのインフラ網を経由して、出遅れたアジア市場開拓に乗り出す。日本のレッドオーシャンから、20億人市場のブルーオーシャンへと上手く飛び込めるか、今日本のドラッグストア業界は大きな岐路に立っている。


業界再編はいよいよ終盤戦か?

ーイオンの次なる標的はクスリのアオキか

イオンの約30年にわたるドラッグ店再編は当面の最終形に近づいてきた。次の焦点はイオンが株の約10%を持つ北陸地盤のクスリのアオキHDかもしれない。

クスリのアオキは石川県本社の北陸地方トップのドラッグストアである。香港ファンドのオアシスは昨年5月にアオキ株の5%強を保有したことを明らかにしており、ツルハを巡る構図と似ている。クスリのアオキの取締役にはイオンの岡田元也会長も名を連ねる。イオンによる業界再編の食指はどこまで伸びるのか。


最後に

国内5位のサンドラッグは月内にも関西地盤のキリン堂HD(大阪市)を持ち分法適用会社にする。6位のスギHDも27日、調剤薬局を展開するI&H(兵庫県芦屋市)を8月に連結子会社化する方針を発表したばかりだ。
大手同士の統合以外に、大手による中堅企業の買収が活発で市場の寡占化が進む。
今後のドラッグストア業界の動きに注目が集まる。

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(参考引用:日本経済新聞)

presented by 雨不足の場合
経済・株式投資に専念する現役東大生です。有り余る時間を活用して、皆さんの経済への解像度を上げるお手伝いをしたいです。今日も昨日より少しだけ賢くなって資本主義に立ち向かいましょう。
資本主義を勝ち抜くのは、いつだって堅実な冒険家。





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