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もっと面白い本が読みたい。つまらない本には激怒したい。4月の読了本まとめ9冊

GWの10連休、とことん満喫した!

久しぶりにnoteを書こうと思うんだけど、ちょっとそわそわする。旅行中以外はモーニングページをつけていたから、書くことから完全に離れていたわけではないんだけども。

また少しずつ慣らしていこう。と、いうわけで、4月の読了本をまとめてみる。先月は9冊読んで、うち6冊が5段階評価で4以上。

面白い本が多くてしあわせだった!

「仮面山荘殺人事件」東野圭吾

8人の男女が集う山荘に、銀行強盗が逃げ込んできた。ついに人質のひとりが犠牲になるが、どうも強盗の仕業ではないらしくーー?

舞台化できそうな山荘ミステリ。上の短いあらすじだけでもそそられるじゃないか。上質な物語は短く要約できる、のお手本だな。

わりと早い段階でピンとくるものがあったけど、正直、こういうのでいいんだよ。むしろ、こんな話がもっと読みたい! と思えるTHE 王道。実は東野氏の作品って容疑者Xの献身しか読んだことなかったんだけど、他も読んでみたい。

「アイ・コレクター」セバスチャン・フィツェック

ベルリンを震撼させる連続殺人事件が発生した。犯人は母親を殺害後、子どもを誘拐する。そして父親が制限時間内に子を見つけ出せないと、片目をくりぬかれた子の死体がーー。

やめときゃいいのに、なぜか周期的にこういうサイコミステリが読みたくなっちゃうんだよな。人の過去が見えてしまう盲目の女性がキーポイントになっていて、ホラーっぽい雰囲気もある。だけど、伏線回収がきちんとされていて、終わり方がうまい。ちょっとキレイすぎるくらいに。

「ローレンス・ブロックのベストセラー作家入門」

読むことは書くこと。というのは恩田陸氏の言葉。物語の行間に、自分の書くべき物語が見えることがある、とも彼女は言った。

面白い物語を読むと、自分も書きたくなる。小さいころから小説家というのは一種の憧れだったけど、この本を読んでみると「自分の楽しみのために創作してもいい」と思える。

絵や写真を趣味にする人と同じように、物語を紡ぐことを日々の活動として楽しめるといい。

「こころ」夏目漱石

アラサーにして、はじめて夏目漱石の「こころ」を読んだ。人生のマイベストに入るくらい、心揺さぶられて、美しくて、繰り返し読みたいと思える1冊だった。

然し……然し君、恋は罪悪ですよ。解っていますか

「私」に遺書を残した先生。お金のことで信頼していた叔父に裏切られたこと、親友と同じ人を愛してしまったこと。遺書で明かされる先生の胸のうちは、ある意味でありふれていて、今の時代でも色褪せない。

読み終えてしばらくした今でも、ふとこの物語のことを考える。よくよく考えてみると、それはちょっと違うんじゃない? と先生(の遺書)に物申したくもなる。

けれど、そういう矛盾も含めて、人間らしさなのかなと思う。

「小説以外」恩田陸

その名の通り、恩田陸氏の小説以外。デビューから14年間のエッセイがすべて収録されている。目次を数えてみると、100編以上と読みごたえあり。

おこがましいけれど、恩田氏のエッセイを読むと読書への姿勢とか、物語の好みとか、勝手に親しみを覚えてしまう。

もっと面白い本が読みたい。つまらない本に会ったら激怒したい。

つまらない本に出会うと一生許さない、孫の代まで祟ってやろうと書いてある。

わたしはそこまで怒ったことはないけれど、それくらい憎悪できるのも愛情の裏返しだなと思う。この本を読んでいる最中から、早く新しい物語が読みたいと心がうずうずした。

「春にして君を離れ」アガサ・クリスティー

完璧な家庭を築き上げたと、人生に満足している女性。けれど、遠方に住む娘を見舞った帰りに砂漠で足止めにあい、ひとりぼっちでこれまでの生き方を振り替えってみるとーー。

物語も結末もまったく違うんだけど、夏目漱石の「こころ」を読んだのと同じくらい心が揺すぶられるラストだった。心が握りつぶされるような、刺されるような、なんとも形容しがたい痛みがある。

わたしは、それを「哀しい」のだと捉えた。けれど、この物語の受け取り方には、非常に個人差があるらしい。巻末の栗本薫氏の解説いわく、彼女の旦那さまは「これのどこか悲しいの?」という感じで、ためしに本作を知る我が彼氏にも尋ねてみると「……別に?」という感想が返ってきた。

男女差というよりも、物語をどこから見ているかによるのかなあ。

「六番目の小夜子」恩田陸

十数年間にわたり、学園で受け継がれる奇妙なゲーム。美しく謎めいた転校生。不慮の事故死ーー。

たしかに学生のころに読んだ記憶があり、「おもしろかった」のは覚えていた。久しぶりに読み返してみると、のめり込むくらい夢中になった。

見ているだけで懐かしさが蘇るセピア色の青春時代。美しいけど、触れたらすぐに壊れてしまいそうな、緊張をはらんだ人生の季節。

恩田陸らしいデビュー作、というか、これがデビュー作って怪物だよなあ。しかも仕事をしながら2、3週間で書き上げたというのだから驚き。しみじみ好きだ。

「不安な童話」恩田陸

すでに亡くなっている画家の個展で気を失った主人公。その際、首もとにハサミが突き刺さる強烈なビジョンを見て、それが世間に知られていないはずの画家の最期らしくーー?

画家の息子から「それを知っているということは、あなたは母の生まれ変わり。なんとか最後の記憶を取り戻してほしい、そして犯人を見つけたい」と頼まれるところから始まる。解説でも言及されていたけど、ミステリーともホラーとも言えぬ、ジャンルレスな物語だ。

このnoteは読了順にまとめているのだけど、「小説以外」を読んでからすっかり恩田陸作品読み漁りたいシーズンに突入中。文体、リズムが自分の肌に合っているというか、すぅーっと物語の世界にはまりこむ感覚が好き。

本当は早く次の恩田作品を手に取りたいんだけど、もったいない気もして自分をじらし中。

「子どもの王様」殊能将之

団地に住む小学生のショウタ。本ばかり読んでいる親友トモヤの恐ろしいつくり話が、現実に起こった! 残酷な“子どもの王様”に怯えるトモヤを守るため、ショウタは立ち上がる。

半日くらいでさらっと読める本を、と手に取ってみたけど、ストレスなく読みやすい作品。もとは児童向けのミステリー小説として作られたもので、文庫の厚みはかなり薄い。ミステリというよりは、大人が読んでも面白いおはなし、という感じ。

殊能作品はこれが2冊目だけど、そもそも文章が読みやすくていいな。


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