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おいしいものは、おいしい。日本酒のすすめ

電気がなぜ光るのか知らなくても使えているように、日本酒が何たるかを知らなくてもおいしいものはおいしい。

とくに蕎麦屋でいただく日本酒。店主のおすすめを、炙った干しホタルイカや旬野菜の天ぷらとコクッとやれば、口福の時間。

後楽園「舞扇」さんのそば焼味噌、愛してる~!

なんといっても、そばの実と味噌をしゃもじに塗りつけ、直火で香ばしく焼いた「そば焼味噌」で一杯は格別だ。

おいしいものは、おいしい。それで十分と思うけど、そこに“好き”が芽生えれば「ちょっぴりは知っていきたい」欲も出てくるもの。呑んで好きと思った日本酒の備忘録をとっておく。

頭で飲むな、心で飲め。秋田の山本酒造「山本」

オミクロンめ……。

最初の1杯目でおすすめされた「山本」。グラスでくれと思うくらい、すっきり甘く飲みやすい。

おいしさの奥行き、とでも言うのか、普段自宅で飲んでいるお安い日本酒に比べて、舌に残るうまみの持続時間が長いように感じた。かといって、変にべたつくこともなく、延々と呑んでいられる。

今回いただいた「山本」は、お店でしか飲めない限定酒。3種類の酵母で醸した1回限りのお酒なのに、去年の12月、うっかりコロナ終息前提のラベルで作ってしまい、一般では販売されなかったのだそう。

そんなうっかりな山本さん。公式サイトを見てみると、実は2007年に倒産の危機に瀕していて、後継者の山本さんが背水の陣で生み出したのが「山本」というヒストリーがある。

製品の裏ラベルや、公式サイトの商品説明は堅苦しさがなくて「全国の山本さんが本気で買えば1日で完売するのだが、現実は甘くはない」「日本酒は頭で飲むな。心で飲め。」など、思わずクスッとできて親しみやすい。

ピリッ、とろり。埼玉の北西酒造「彩來 sara うす霧」

サラちゃんって名前、かわいい!

瓶の雰囲気といい、白くにごった色合いといい、女の子らしいネーミングといい、愛らしい1杯。口にいれるとほんのりとした酸でピリッとして、それからとろりと広がる甘さ。

甘さの広がり方がすーっとではなくて、はんなり、という言葉がピッタリ。甘酒を日本酒にしたらこんな感じ? いやいや甘酒自体がお酒やないかーいっとド素人な感想しか湧いてこないが、最初のピリッがクセになって、ちびちび何度でも舌に運びたくなる。

公式サイトを覗いてみると、「文楽」というお酒が有名な酒造らしい。日本伝統の文楽をこよなく愛した創業者が、人形浄瑠璃の舞台における義太夫・三味線・人形遣いの三位一体の精神を、米・麹・水で造り出す日本酒にも生かしたいという想いが由来になっている。

山本と、彩來。思わず「さん」や「ちゃん」をつけて呼びたくなるネーミングも、親しみやすいお酒だなと思う。

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