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学ばない酒好きは、豚汁で過ちを繰り返す(後悔はしてない)

人生何百回目かの二日酔い。ホントいい加減にしてほしい。食欲なんてゼロだけど、いつものルーティンでその日の朝に夕飯を決める。ええい、今日は呑むもんか。夜はやさしい豚汁で決まりだ。

食べるスープの起源は、ごろごろ具沢山の豚汁だと思う。ごぼう、にんじん、蒟蒻、大根、しいたけ、生姜。そして豚肉。たっぷりの食材をほろっと煮て、汁でやさしく胃まで届ける。

豚汁の決め手は、出汁だ。ちょっと格好つけて言ってみた。ただ沸かした水で作った豚汁では、もはや納得できない体である。豚汁作りは、出汁取りからはじまる。

小鍋に水、だし昆布、水面が見えなくなるくらいの大量のかつお節。強火で沸かしたら、フタをして弱火で5分。キッチンペーパーを敷いたザルでこして完成。

出汁を小鍋に戻し、水にさらしておいたゴボウ、アク抜きしておいた蒟蒻、にんじん、しいたけ、豚肉エトセトラ。すりおろした生姜汁含む食材全部入れて、火にかける。

まったく、仕事終わりの平日夜には不向きな手間の多さだ。しかし弱った胃腸は、やさしい豚汁をまっている。

沸騰したら弱火でフタをして約15分。最後に味噌を溶き入れて完成だ。

むくむく。むくむく。

黒いどんぶりにたっぷり注いだ豚汁を見て、ビール欲求が顔を出す。いやー、これは呑めるぞ!

まずは豚汁をひとすすり。まるでパリッパリに乾いた大地にすぅっと染みわたっていく生命の源。味の向こう側を見せてくれるダシの奥深さ。味噌なんていらないといったらウソになるが、私はこの出汁を欲していたのだ。

箸ですくい上げた具材をアテにビールをぐびっ。なんてこった、うまみの洪水!かつて、おでんの名店ですすった汁と日本酒のペアリングを思い出す。うまいものは、酒のおいしさを引き立たせる。

ああ、結局今日も呑んでしまった。口先だけの反省なら、するまい。

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