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【片付け】本の整理整頓の極意

※本記事では『購入前の本の見切りの付け方、また現在所持している本をいかに減らすか・残すか』に焦点を当てます。また、本棚の見栄えなどの議論は一切行ないません。それは取捨選択を実行してから各自、ご自身が『これからどういう生活をしていきたいか』を基準に実施下さい。


やや大袈裟なタイトルとなりましたが、この記事の読者の方々にとってそれなりに有益な内容になるのではと思いますので、是非お付き合いください。


前置き

さて、皆さんは自宅や職場で個人の本を大量に保管している方も多いと思います。その際、どうしても起こってしまう「本の片付けの問題」ですが、今回はこれについて議論します。

私は現在、ソフトウェアを通じて情報を整理する方法を調査・研究し、またそのためのアプリを開発していますが、その延長線上で、自宅やその他生活フロアなどでの「実際に大きさのあるモノの整理整頓」についての資料にもたまに目を通します。

そして、それらの資料・書籍でとりわけ悩みのタネとなるのが「本の整理整頓」についてです。皆様も本の片付けに悩まされた経験が1度はあるのではないでしょうか。

以下、私が拝読させていただいた情報整理や片付けに関する書籍を3つピックアップし、「本の整理整頓」についてどういう考え方か、もしくはアプローチをしているかを簡単にご紹介します。

・「超」整理法(野口悠紀雄 著・中公新書)

本・捨てられないから問題
―――本は、書類、雑誌と違って、捨てられないのだ。
―――1つは、本棚を探しているうちに、「こういう本もあったか」という発見をするから
―――必要なら図書館に行けばよいではないかといわれようが、そうもいかない。必要な本は、やはり自分で買わなければ駄目
(一部抜粋)


・整理収納アドバイザー公式テキスト 一番わかりやすい整理入門 第4版(澤一良 著・ハウジングエージェンシー)

本……家に本棚がなくても読書量が変わらない秘密とは!?
―――本棚そのものを家の中に置かないようにしています。
―――筆者は自分のカバンの中に本を置く指定席を作りました。―――自分が「今、読んでいる」本だけを置くようにしました。
―――読み終わった本は、1冊からでもリサイクルショップに売りに行きます。
―――自宅には読み終わった本を持ち込みませんので、本棚は必要なくなりました。
(一部抜粋)


・マンガで読む人生がときめく片づけの魔法(近藤麻理恵 著、ウラモトユウコ 著・サンマーク出版)

―――本は書いてある情報にこそ意味があります
―――時間ができたらいつか読む―――その「いつか」は永遠に来ません!
―――未読の本はすべて捨てる!
―――「殿堂入り」の本ならば迷わず残してください
(一部抜粋)


こうして見ると、本の整理整頓というテーマに対し、実に様々な考え方やアプローチがあることが分かるかと思います。逆に言えば、共通した決定的な方法が存在せず、人によってまちまちになってしまっているという状況です。


また、Web検索で「本の整理整頓」と調べると何点か詳しく書かれたサイトが確認できました。それらのサイトに記載されている内容としては「(読む頻度や重要度などで)仕分けをする」「ジャンルやカテゴリに分ける」「本の表紙で判断する」といった手法を取るものが多い印象でした。


以下では、私なりの本の整理整頓の手法を紹介し、(100%の問題解決にはならないかもしれませんが)より皆様に有益な内容となるよう努めたものとなります。それでは行きましょう。



判断基準(本の入手前)

最初に、現在ある本を整理する議論の前に『本を買う前に整理整頓を考える上で何を考慮すべきか』について議論します。

あなたは本屋の中(もしくは通販サイトの「本」のカテゴリの閲覧中)で、どの本を買おうかを迷っている最中だとします。それは「参考資料」のようなものでしょうか。もしくは「ストーリーのある小説」のようなものでしょうか。

もし「ストーリーのある小説」のような本の場合、通常であれば『本を最初から最後まで読む』ことが期待されています。(以下では、このようなタイプの本を『完読型の本』と呼ぶことにします。)このタイプの本は、一度読み終えたらしばらく読まなくなるタイプの本であり、それが理由で本棚の場所を取ることが多いです。また、(斜め読みをしない場合は)本の内容のすべてに目を通すため、読書に時間と体力のコストがかかるタイプです。

一方、「参考資料」のような本の場合、すぐに読破ができない情報量であれば必要な情報のみ探し出し、参考にする事が多いです。(以下では、このようなタイプの本を『辞書型の本』と呼ぶことにします。)すべてに目を通さなくて良い反面、いつその資料が必要になるか分からず、処分するタイミングが『完読型の本』以上に掴みづらい性質があります。

ここで、これらのような本を購入する判断基準の1つとして、特に『完読型の本』の場合は、その本を最初から最後まで目を通せる『約束』ができるかどうか、言い換えると『読むことをスケジュールに組み込めるかどうか』が判断基準となると思います。(このアプローチは私が今まで確認した、どの整理術やサイトでも見かけたことがありません)

当たり前ですが、本を通読するのはそれなりの時間や体力が必要です。しかも、1度途中まで読んだ後にしばらく時間が空いてしまうと内容を忘れてしまい、そのまま積んでしまう、という経験も皆様にとってはあるあるなのではないでしょうか。

「1冊の本であればすぐに読める」といった方でも日頃の生活が突然忙しくなってしまい、途中で読まなくなってしまう可能性があることを考えると非常に多くの方に該当するパターンだと思います。


つまり、『完読型の本』を購入する前に、『本を読むスケジュールを組み込めるかどうか』を確認することが本の整理整頓の第一歩です。(書店で一目惚れして購入したとしても、時間的に読めなくなってしまえば必ずあなたの本棚を無意味に圧迫します

ここで、購入前の本は通常、「まだ読んでいない本」なのですから、読み終わるまでにどれぐらい時間がかかるかなど普通であれば分からないものです。そこで、スケジュールに組み込む上で、さらに以下のことを実施します。

  1. 本を読み始めた日付を記録する(本に直接書きたくないのであれば、メモの用紙を用意し、本の最初に挟んでおく)

  2. 1日にどれぐらいの時間読むのかを記録する(「何日おきに読む」などであればその情報も記録する)

  3. 読み終えたらその日付を記録する

  4. スケジュールが上書きされて読めなかった日があればその日付を記録する

上記4つの記録があれば『自分がその本を読むのにどれぐらい時間がかかるか』が明確な数値として算出できます。(途中経過でも読んだページ数からある程度の目星をつけられます)さらに、『その時期どれぐらい忙しく、読書に使える体力が残っていたか』もスケジュールからある程度分かるかと思います。

もし、複数の本に渡って内容が続いている(シリーズ化している)場合は1巻にそのメモを挟みます。

このように、『1日(or 何日おきか)にどれぐらいの時間その本を読むか』を決めておけば、あなたのスケジュール帳にそれを記録し、無理なく読み続けることが可能なはずです。

※なお『辞書型の本』は皆様の経済状況と相談し、かつ必要であれば購入する方針で問題ないと思います。(『完読型の本』と違い、スケジュールに落とし込む必要がないからです)



判断基準(本の入手後)

本を整理する上で最も悩みのタネとなるのは『今ある本が、これからの自分にとって必要か(or 読めるか)どうかの判断がすぐにできない』点だと思います。
さらにまだ未読の本であれば、いちいち本の内容を確認し、それが自分にとって必要か(or 読めるか)どうかの確認作業を実行すると途方もない時間がかかります。(他の整理術を提案されている方でもその方法を取る方はほとんどいません)


『完読型の本』の場合、先程ご紹介したメモが存在し、記録があれば、その内容から判断します。つまり『その本を読むのがどれぐらい大変か(時間がかかるか)』が1つの判断基準となります。

ー補足ー
『完読型の本』を初めて読む場合は、『その本を読むのがどれぐらい大変か(時間がかかるか)』は通常は分かりません。なので、とりあえず周期的なスケジュールを立て、読んでみることから始めます。そして、読破するか途中で積んでしまうまで、先ほど説明したメモに様々な情報を記録することを続けていきます。(スケジュール通りに読んでいけば、時間に関する情報の記録は少なくて済みます)

なお、読んでいる途中、もしくは読み終えた後に、同じメモ用紙に『本の評価点』『重要なフレーズ』『感想』『まとめ』など、時間的なコスト以外の判断基準を記録しておくとそれも整理整頓の際に有益な情報となります。

しかし、「未読のまま積んでいた本」は、これからの自分にとって(特にメモがない場合)必要か(or 読めるか)どうかを判断するのは多くの場合、難しいです。(私が確認した他の整理法では、積んでいた本は思い切って処分する方に舵を取るものがほとんどでした)

「途中まで」もしくは「最後まで」読んでいたとしても、普通であれば表紙とにらめっこしたりして、その本を処分するかどうかの判断を行なう方が多いと思いますが、やっぱり難しい場合もあるかと思います。その場合、先程のメモなどを基準に判断をしていきます。

(未読含め)メモがない場合:スケジュールに組み込めるかどうかを確認し、無理でかつ処分しない理由がなければ処分する

メモがある場合:スケジュールに関する記録から読書にかかった時間を計算したり、それ以外のメモなどがあればそれを含めて処分の判断基準とする。

私個人の意見ではありますが、『完読型の本』で、読み切っていないもののほとんどは思い入れが浅いと思われますので、スケジュールに組み込めない、かつメモ書きの内容などから処分しない理由が思いつかないのであれば処分すると良いでしょう。


次に『辞書型の本』の場合です。この本は先程も申し上げましたが最初から最後まで読まないことも多いタイプの本です。こちらも同様にメモ用紙を用意し、そこに『購入日』と『参照頻度』を記すことにします。

『参照頻度』とは、具体的には『参照した日時』をメモに記録していきます。(面倒であれば、参照したらその回数分だけ『正の字を書く』などでも良いのですが、『特定の時期に頻繁に参照していたが最近全然参照していない』といったような細かい判断ができる情報が抜けてしまうリスクがあります)

『購入日』と『参照頻度』が分かれば、その『辞書型の本』がどれぐらいの頻度で自分が必要としていたかが明確に数値化されます。もし参照頻度が低い『辞書型の本』であれば、普段から参照する内容を別のものに記録し、その本自体を処分してしまうという手法も取れます。

また、本の一部の内容を参照するという性質上、頻繁に参照する情報をメモに書き足していくという方法もあります。これでいちいちページを捲らずに必要な情報をすぐに得ることが可能です。

なお「そんなメモは今までの経験上、図書館での本の管理などで使用しているのを見たことがない」と思われる方も中にはいらっしゃるかもしれません。しかし今回の議論は個人用に買う本が対象であり、『個人のモノは個人の判断基準で整理整頓をする』ものですから問題ありません。




メモの一元管理

先程ご紹介したメモを1冊毎に用意し、最初のページに挟んでおく方法ですが、これは本を1冊ずつ確認しながら整理整頓をするのであれば問題ないのですが、一括で管理、処分の判断をしたい場合には適さない手法です。

なので、各本ごとにメモを用意する方法以外にもこれらの情報を管理する方法をお伝えします。それは『電子データへの一括メモ』です。

記録する内容は今までと同様ですが、本ごとに分けるのではなく、『PCなどに、同一のテキストファイル(もしくはその他記録可能なファイル形式)に一括で記録する方法』です。(もちろん、この方法では本のタイトルも併せて記録してください)

こうすることで、どの本を処分すべきか、残すべきかを一覧で判断でき、『本の処分の判断』と『実際の処分の作業』の行き来が(うまく行けば)一回で済みます。

なお、実際に本を手にとってみて、メモ以外の情報(例えば本の見た目など)と併せて処分するかどうかの判断する必要があるのであればこの方法はあまり適さない(『電子データのメモ』と『本』の往復で余計に体力を使います)ので、皆様のスタイルに適した方法をご採用ください。

もしメモの内容に『図』が含まれるのであれば、PowerPointに記録する方法も有用です。(PowerPointを使用した情報整理の方法は『How to 情報整理(PowerPoint編)』を是非参考にしてください)


一括でメモを取る方法は『完読型の本』だけでなく、『辞書型の本』でも有用です。
例えば、『辞書型の本』が分野ごとに分けられる場合、その分野ごとに電子データのファイルを分けます。そして、参照したことがある情報がメモに記録されていれば、本の枠を超えて一括で検索をかけて調べる方法が取れます。(前提として、調べ物をしたらその情報のメモを電子データのファイルに逐一記録する作業が必要になります)

特に参照頻度の低い『辞書型の本』は、この方法によって処分するかどうかの判断の難易度が劇的に下がるはずです。調べ物もすぐに行なえるようになりますので、是非ご活用ください。

なお、「電子データと紙のメモを併用する方法」はオススメしません。同一の本なのに(記録ミスなどにより)内容が異なる記録が2つ生まれる原因になりますし、両方を行き来するのも手間だからです。



便利なサービスの紹介

なお、今回の記事を書く上での調査で見つけたのですが、本棚に並べた本の背表紙をまとめて写真で撮影し、それを検索にかけることで買取の査定額を検索できるサービスもあるようです。こちらも処分の際に便利だと思われますのでご紹介いたします。(下記リンク)



最後に

いかがでしたでしょうか。本の購入前、購入後で普通より少しだけ手間が増える方法ではありますが、本の処分をする上ではかなり強力な方法だと思います。それは、『その本がこれから必要なのかどうかの判断基準』がすぐに確認できることに由来します。

そして本の購入日、読書開始日、終了日は『その人だけの思い出』にもなります。楽しみながらそれが継続できたら何よりかと思います。



ー宣伝ー
私は現在、iOS(iPhone、iPad)向けにアプリを開発しています。
情報整理や音声、モーションセンサなどを利用した様々なアプリを開発しておりますので、もしご興味があれば是非見てみて下さい!
ご意見もお待ちしています。


以上でこの記事は終わりです。最後までお読みいただきありがとうございました。


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