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先生を尊敬します

Yちゃんが「おばあちゃんの家に泊まるの」と言って幼稚園を休んだ。
先生は、「明日、Yが幼稚園に来たら、みんなで囲んで『ズル休み』って言うんだよ。」と言い、
みんなが「はい」と手を挙げた。

次の日、先生は、Yちゃんがくると手拍子を打ちながら、「ズル休み、ズル休み」と言いい、みんながYちゃんを囲んだ。

私は遠くから、字を書く練習をする手を止め「なんてことだ」と見ていた。
当のYちゃんは泣くばかりで何もしない。

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帰って母に話すと憤慨した母は、即日、先生に怒りに行っていた。私はYちゃん自身が「辞めて」と言うまでは、動かない姿勢を貫いた。
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色んなことがあった幼稚園だった。先生は、私のことが嫌いだろうなと思っていた。

しかし、先生は卒業文集に、
「りりいは、とても頭の良い子で私の心の中も全て見抜いている」
と書いてあった。先生は私を否定しないどころか、正面から向き合ってくれたのだ。

今思うと、「先生、すごいな。もっとちゃんと話したかったな」と思う。
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社会に出て、理不尽な誹謗中傷、嫌がらせ。
成果の横取り、能力の搾取、意味不明な異動。
すごいものを見てきた。
あらゆる犯罪が是認され、他人の能力は、認めるものではなく、奪うもの、ずるい人が勝つのか、
そう感じてきた。

先生は、そんな中で生きてきて30歳も年下の幼稚園児の能力を認めている。

楽しいことに休みをつかうのがズル休みに該当するかしないかは置いておくとし、
先生の行なった集団で袋叩きにすることを私は肯定しているわけではない。

しかし、その点は別として、年下の能力を認める勇気、しかも自分の悪い心を見抜いて憤慨した人を評価することや認めることは、容易いことではない。

あらゆる点で、先生は、教育者だったのだ。

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E先生、お元気ですか?
今、自分が社会に揉まれて、あのときの先生の思いに私は、敬服いたします。

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