見出し画像

走ることで昇華されるネガティブな過去。野生動物のように駆けていく自分。『第二話』

こんにちは。Ayari✼です。「人生のどん底から一本歯下駄ippon blade(イッポンブレード)に出会い大逆転した話」のブログに偶然にも出会ってくださり本当にありがとうございます。こちらの物語は第四話までのシリーズ編です。

第一話はこちら↓

前回までのあらすじ

離婚して最愛の娘と離れ、公私共に八方塞がりとなった40代女性Ayari✼が、ひょんな出会いから一本歯下駄に出会う。ランニングを全くしたことのない500mしか走れない女性が、たった11ヶ月で50kmウルトラマラソンの大会へ神様の創造物であるippon bladeという一本歯下駄を履いてスタートを切った!

画像1

走ることで昇華されるネガティブな過去。野生動物のように駆けていく自分。『第二話』


スニーカーランナーの最後尾に並び、私は、呼吸を整えながらマイペースに走ることだけに集中しました。震え上がるような緊張とは相反して、足は勝手に跳ねて進みまるで野生のカモシカに生まれ変わったかのような気分。

膝裏は気持ちよく伸び、腹部からうねるようにして両足が小気味よく足の指先まで動き、これまでの練習の集大成とも言えるほど、絶好調のスタートとなりました。

実は、今回のippon bladeでのマラソン大会出場は2回目で、1回目は走り始めて8ヶ月でippon bladeでフルマラソンに挑戦。不整地を含む公園の周回コースで制限時間が短かったこともあり、初心者には難しいチャレンジとなってしまい、37km地点で制限時間に間に合わず無念のリタイアとなりました。

コロナウイルス感染症の影響で、走りやすいコースの大きなマラソン大会は、この時期、ほぼ延期か中止になってしまっていて、今回の赤穂ウルトラマラソンも、公園の周回コースで細く小回りが必要なコーナーも多く、一本歯下駄には走りにくい凹凸のある路面が含まれていました。どれだけ小さい凹凸も下駄歯が捉えるippon bladeには、非常に難儀なコースとなりました。

が、コーチの小平天と私はその状況を想定して不整地や坂道、スニーカーランナーがスピードを出して走り抜けていくコースで心を乱されず走れるようになるために、日々、多様な練習を積み重ねていました。

そう言うと、かなり走り込んだのかと思われますが、小平天のippon bladeランニングレッスンは、実際は走る練習に入るまでの準備に相当な時間が費やされることになりました。深層部の筋肉と癒着した内臓をほぐすことや、糖質で動く身体から脂質で動ける身体に変えていくための生活習慣の改善、大腰筋のバネを開発していくトレーニング、脊椎の柔軟性や可動性を上げ全身を連動させていく体操など、小平天が100kmを一本歯下駄で完走した過程の中で深められた行程が私の身体の状態に合わせて、都度、効率よく行われました。

普通のランナーなら早く走らせてくれと痺れを切らすようなことばかりが続き、走る練習にまでなかなか辿り着かなかった。「あやちゃん、まだ走れる身体に至っていないよ。」小平天は、走ろうとする私に言いました。「走る前に、もっとやることあるから、、、。」

そしてこれらの奇想天外なセルフケアや生活習慣には、何回やれば良いとかどこまでいけば次に進めるなど全く答えがなく、途方に暮れるような地味さでした。「変化していく過程で、気づきを深めていくんだ。元々持っている機能を上げていけば、走り込まなくてもいつの間にか長く楽に走れるようになるんだよ。

離婚をして娘と離れ東京のシェアハウスで暮らす生活は極度なストレスがかかり、当時は、胃の上に手を乗せるだけでも吐きそうになるほど内臓が硬く痛かったのを覚えています。数ヶ月かけて内臓から全身をほぐし、酸化した身体をアルカリ化し、糖質で動く身体から脂質で動ける身体へと変えていくまでに相当な時間がかかりました。最初の1.2ヶ月は、からだの痛みが次々と表れ、全身の筋肉、関節、内臓がパーツごとに分解され、さらに細分化され、あるべき場所に整理整頓されていくかのようでした。食事をしないで走ると1km程度で貧血が起き、全身が底冷えし内臓が硬直しました。でも、確信は持てないけれど私の身体は着実に良い方向に向かっているような気がする。もし、これで間違った方向に進んでしまったとしても、これ以上、私の人生が悪くなることもないし、なんでもやってみればいいじゃないか。捨て身で取り組める状況であることが救いだった。

朝起きてから口に入れるものを変え、生活習慣を改め、小平天のトレーニングや施術を続けて、約4ヶ月後。

私は、ワラーチなど薄い靴で毎日5km程度は何も食べなくても走れるようになっていました。

信じられない!500mも走れなかったのに?

あれだけ血糖値に振り回されてイライラしやすかったのにそれも無くなってきていた。

5ヶ月後には、全く走ったことのないippon bladeで、15km程をいつの間にかゆっくりと走り切れるようになっていました。

これまでの辛い経験の一つひとつが、走る中で昇華され自分に少しずつ自信がついていくかのような日々。

娘と一緒に暮らせなくなったこと、離婚やこれまでの恋愛経験で受けた傷、社会の常識に上手く順応できない憤りや行き場のない怒り。子供の頃からの不遇な体験。

走っている時に思い浮かぶことと言えば、大抵、この類のネガティブな体験でばかりでした。

ippon bladeや薄い靴で走ると足裏からダイレクトに骨に振動がきて、骨にしぶとくこびりついている様々な思考と感情が、振動によって剥がされ、浮かび上がっては消え、また浮かび上がっては消えてを繰り返し、過去の辛かった体験が映画でも見ているかのように、走りながら勝手に脳内で自動再生され、複雑な感情が溢れ出しては、堪えきれずに意味もわからず走りながら何度も泣きました。

小平天は「あやちゃん、辛かった体験の全ては自分自身に向けるんだ。そして、自分で昇華するんだ。走ることの本質はそれなんだ。」行き場のない想いの数々は、こうして少しずつ着実に昇華されていきました。

走るたびに背負っていたものが一つずつ軽くなる。

凝縮されたその日々は、数ヶ月に渡り続きました。気がついた時には私の体重は5kgも落ちて体組成形では41歳の女性の平均筋肉量よりも、ずいぶんと低い数値になっていました。それなのに筋肉の密度である筋質量は大幅に平均値を超え、驚くほど長くゆっくりと走れるようになっていました。要するに筋肉量は減り筋肉の密度が上がったのです。

脚の筋肉は細く長い筋肉が足首から太ももまで自立した状態で連なり、それぞれが独立して働き協調して動く。久しぶりにショートパンツを履いて鏡に映った自分の足を見てびっくりしました。足は真っ直ぐに大地へと伸びて野生のカモシカのような足と脚になっていました。

__________

1周を5km、これを10周繰り返して50kmになる。

私は一気に15kmを走り切り、完走を確信しました。でも、安心はしていない。30kmを超えるとippon bladeランニングは全く足が動かなくなり、そこから一気にスピードが出なくなるのを知っていたからです。

9時スタートの制限時間は日没17時37分。

この日は、10月だと言うのにうだるような暑さで太陽がジリジリとランナー達を試すかのように正午にかけて熱くなっていきました。

エイドステーションに用意された大きなバケツには、冷たい水が満タンに用意され、ランナーたちは頭から水を被り苦しそうに走り去っていきました。

私もそこへ混ざり、頭から全身に思いっきり冷たい水をかけて暑さで熱ったからだを一気に冷やしました。すると、視界がまたクリアに広がり全身が軽くなりました。

小さな石が敷き詰められた凸凹した道、ゆるやかな坂、ランナーが混み合う細いコース、そんな場所ではストライド(歩幅)を小さくして、小刻みに跳ねるようにして走り、抜けた先に広がる広々とした舗装されたコースはまるでご褒美のようにストライドを大きめに跳ねて軽快に走り抜けました。走りやすい路面では自然とペースが上がり心拍数も上がる。でもいい時がいつも続くわけじゃない。必ずまた、走りにくいコースがやってくる。

1周ごとに私は、地図をからだで覚えていくこと集中し、どこに不整地がありどこで道が拓けるかを身体に刻み込み、一周5kmを3回繰り返した頃には、コースに合わせた走法と呼吸のリズムを楽譜をコピーするかのように身体で覚えました。

獲物を狩にいくチーターは、生き残るために本能が発動し仕留めるまで命がけで走ります。獲物の行動を予測し、留めを刺すまでその行動パターンを緻密に計算する。

生きるとは、本来、命がけなんだ。

私にとってはこの大会は、生きるか死ぬか、自分の人生がかかっている。

この50kmを完走できるか、完走できないか。

全く違う人生が用意されている。

完走できたら、この先の未来は多くの女性たちが、本来の自分に目覚め走り出すだろう。

完走できなかったら、それはそれでもちろん、結果ではないところの学びの体験を私は伝えられるだろう。

でも、そんなんでいいのか?何のために今迄の体験がある?

人の役に立つためじゃないか・・・。

ippon bladeの神様は、私を試験しているのだ。

私はそんな風に、走りながら思っていた。だから、絶対に完走する。神様は、ずっと私を見ている。ここまでの人生の軌跡も、今、この瞬間も。


第三話に続く


最後までお読みいただき、本当にありがとうございます。私をリアルで知る方は、分かりやすくするために少し時系列を割愛した部分もありますがご了承ください。

ご興味ありましたらフォローしてくださると励みになります。

コメントや感想など、お気軽にお待ちしています!

▶︎Ayari✼・Instagram
ippon blade にて50km完走までの道のりや、日々の様子を更新しています。

▶︎理にかなった身体の動きや、本質的な在り方を求める方へ「TENARI」

▶︎ippon bladeについてはこちら



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?