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苔のように生きる

最近、苔テラリウムのワークショップに参加した。
小さなグリーンで自分だけの箱庭を作ることに実はずっと興味があったのだ。
ワークショップの冒頭では、講師の方が簡単に苔について教えてくれる座学の時間があり、そこで聞いた苔の生態に興味を持った。

・苔は根を持たない
・維管束も持たない
・だから葉っぱの部分で水を吸収する
・苔は胞子で増える
・もしくは新芽が出てクローンで増える

苔は、高等植物のように乾燥した土地では深く地中に根を張って水を得る、というような進化をしてこなかった。
ではどうするかというと、乾燥を受け入れ、葉っぱがチリチリになって一緒に乾燥してしまう。
でも枯れたわけでも死んだわけでもなく、水を与えるとまたぷるるんと葉がみずみずしく生き返る(死んでないんだけど)
そういう仮死状態になって生き延びるしぶとさが、なんだか好ましいなと思った。
変化に抗わず、一旦受け入れるしなやかさ。

私はヨガや瞑想をすると、「戻ってきた」という感覚になり安心する。
落ち込んだり、もうどうでもいいと投げやりな気持ちになることもあるけど、そうして体を動かすことや呼吸に集中すると落ち着くことができる。
迷ったり嫌になったりしてもいいんだ、また戻ってくればいい、と思うと、ネガティブな自分も受け入れられる。
苔の話を聞きながら、そのことを思い出していた。

心の中にある苔むす森が、カラカラに乾いてしまうことは誰にでもある。
コントロールできない外の状況に、どうしても影響を受けてしまうから。
もしそこでネガティブになってしまったら、葉っぱの様子をつぶさに見てみよう。
受け入れなくてもいい。今こんな感じか~と知るだけでいい。
そのうち雨が降って潤うかもしれないし、自分のタイミングで水をあげてもいい。
元に戻れるから、大丈夫。それを知っているだけで、大丈夫。
苔のようにしなやかにしぶとく、生きられる。

私が作った苔テラリウム

苔テラリウムを作るという体験の中には、創作、夢中、没頭、自然(緑)など、人が幸福を感じる要素が詰まっている。
作った後も緑を眺めて癒され、お世話は楽だけど少しの水やりやメンテナンスは必要という点もちょうど良い。
最近、消費や受動ばかりだなぁという人はぜひ、主体的な創造の時間を。

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