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キンモクセイの香りがわからない

「キンモクセイの香りがする」

そんなことをよく聞く季節になった。「キンモクセイ」という言葉を見ると「あぁ、秋だなぁ」と思う。思うのだけど、実は、わたしがちゃんとキンモクセイの香りを認識したのは、つい1年前のこと。

住んでいたお家の近くに、小さなキンモクセイの木が植えられていた。最初は何の木なのか、気にも留めていなかった。だけど、秋のとある日、玄関を出た時に何かがふわっと香った。今までに嗅いだことのない匂いだった。そういえば、気にも留めていなかったこぶりの可愛らしい木に、オレンジの小さな花が咲いていた。

「そうか、これがキンモクセイの香りなのか」

生まれて初めて、キンモクセイの香りを認識した。こんなに素敵な香りに、どうして今まで気が付かなかったんだろう。不思議に思うくらい、キンモクセイは「わたしはここにいます!!!」って主張するように香っていた。

そんなキンモクセイの近くにあったお家を出て、新しい住まいになった今。近頃世間では香り始めたらしいキンモクセイの香りを、わたしは感じることができない。このあたりには全く香っていない。というか、今の生活圏内に、キンモクセイの木が一切ない。そりゃ香るわけがない。

その時に気が付いた。去年初めて認識したあのキンモクセイの香りは、本当にわたしの中での初めての香りだったことを。今まで気が付いていなかったのではなく、本当にわたしが育ってきた中に、わたしの今までの人生の中に、生活の中に、キンモクセイが存在しなかったことを。

ってことは、地元が同じで同じように育った旦那もキンモクセイの香りがわからないのでは……?と思って聞いてみた。案の定「わからん」との回答。やっぱり。

「キンモクセイの香りが分からない人って、あの匂いを何の匂いだと思っているの?」なんてツイートをいくつも見かけたのだけど、そもそもの「あの匂い」が届いていないだけだったんだ、わたしたちには。

キンモクセイって、北海道と沖縄以外にはどこにでもあるみたいなんだけど、わたしの周りにはなかった。大阪なんだけどな。実家の近くにも、今住んでいるところの周辺にも、キンモクセイは1本もない。

だから、キンモクセイの香りが秋の香り、の気持ちがよくわからない。去年の秋のほんの少しの期間だけ認識したあの香りが、今となっては幻のよう。

きっと、わたしのようにあの香りがわからない人ってたくさんいるんだと思う。

「キンモクセイの香りがするね~」の話に入れないことが、ちょっともどかしい気持ちもするのだけど、別に引け目を感じることではないなって思う。



そんなわけで、今日もおつかれさまでした。




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