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桜又彩子
2020年5月12日 15:58
本書は、スイスのアスコナでの「エラノス会議」で1983年から1988年になされた5つの講義の記録である。エラノス会議とは、ユングが東西の思想の出会いを求めてはじめた学際的な会議である。ユング派の人たちのとっては「雲の上のような存在」の会議であると書かれている。そこに河合隼雄が5回も招待されて発表した内容が本書の元になっている。そのことからして、本書に取り上げられている「夢・日本神話・日本の昔話
2020年5月13日 13:37
第一章と第二章は、明恵や華厳宗を題材に、夢や自然(じねん)についての講義である。大変難しいテーマなのだが、象徴的と思われるエピソードはこのようなものだ。鎌倉時代、北条泰時は京都の六波羅探題となり、明恵に多大な影響を受け、明恵の世界観に基づく多くの大改革を行った。泰時は、明恵にどのように国を治めるのが良いかを尋ねたことがあり、それに対して明恵は、政治家たる者は、病の本当の原因を根絶させること
2020年5月19日 16:02
第三章「日本神話」で書かれていることは、「中空構造日本の深層」で書いた「古事記における神々の中空構造」の内容とほぼ同様であるが、本書では、「捨てられた神・ヒルコ」についてさらに詳しく考察しているので、その点はまとめておきたい。ヒルコは、日本のパンテオンである高天原に受け入れられなかった唯一の神である。イザナキとイザナミの婚姻の儀式の際、女神から先に言葉をかけたために、まっすぐに立てない不具