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桜又彩子
2020年4月10日 15:27
「中空構造」「中空性」ということが日本人の基層心理を説明するのに重要な観点であり、欧米の文化の基本的な在り方と明らかに異なる点である。この「中空構造」「中空性」について掘り下げているのが本書である。日本と日本人を考察しつづけた河合隼雄の論の中でも、この「中空構造」「中空性」という概念は大きなものだと思うので、本書を丁寧に紐解いてみたい。【神話的知の復権】本章で河合隼雄は、「科学の知」に
2020年4月13日 16:58
(前号の続きです)河合隼雄は心理療法家として、個人の無意識的な心的過程の表現としての、「夢」「自由連想」「絵画などの表現活動」を素材として取り上げるが、一方、日本人全体としての心の深層構造を知るために、「神話」を重視するという。ケレーニィいわく「神話は本来、『なぜ』に答えるものではなく、『どこから』に答えるのである」。神話に表現されるわれわれの無意識とは、個人の意識によって抑圧された心的内容の
2020年4月15日 16:24
【中空構造日本の危機】前回まで、古事記を題材に日本における中空性、中空構造について学んできた。今回は、中空構造がうまく機能しなくなったとき、私たちはどう対処すればいいのかを、河合隼雄の論をなぞりながら、考えていきたい。中空構造の中心が、文字通りの「虚」、あるいは「無」として作用するとき、この構造は極めて危険である。何事もないときには気づかないが、いざ、災害・事故などの有事となったとき、日本