見た目を揶揄する空気に、NOを

こんにちは。

東京都議の木下議員が、無免許運転かつ当て逃げしていたことがニュースで取り沙汰されていますね。都議会による辞職勧告決議を受けているものの、辞職を否定していること、3年で5回の免停を受けていることなどが火種になっているようです。


昨日、木下議員の謝罪会見を踏まえた報道を眺めていたのですが、「心労で食事も喉にを通らなかった、と言われる割には、こう、太って、いやふくよかでいらっしゃいますよね」というコメントが。「!??」と思わずテレビ画面を確認してしまいました。

その後も、同じ趣旨のコメントをした男性が一人。「他の人は言いにくいかもですけど、みんな思っているはずなのでズバッと切り込んじゃいますね!」と言わんばかりの、面白がっている表情。そしてスタジオで起こった下卑た笑い声。嫌気がさして、思わず別のチャンネルに切り替えました。

ところが、別チャンネルでも木下議員のことを扱っていて、またしても、彼女の体型や服装が、明らかな悪意をもって追及されていたのです。


やれやれ。だから安心して見ていられないんだ。信頼できる番組の、ごくわずかなこと。


無免許で当て逃げし、議員として居残ろうとしている。そのこと自体は、私も人として、議員として不誠実な行為だと思います。しかし、だからといって、彼女の体型を揶揄するようなことを無遠慮に言い放っていいわけではないでしょう。

ストレスがたまることで、過食してしまう人もいる。彼女もそういうタイプなのかもしれない。食事も喉を通らず、という言い回しは適していなかったかもしれない。が、おそらく心労から外見に変化が生まれているであろう人に対して、行っていい仕打ちだろうか。これがストレスで髪が薄くなっていた場合、軽々しくいじれただろうか。顔色が見るからに青かったら?どうして体重が増えていることは「揶揄してよい事柄」だと判断されたのか?


また、「視聴者の需要にお応えしています」のポーズが取れる安全な場所から、誰が見ても明らかな失態を犯した人に対して、いらぬ揚げ足取りをして集中砲火を浴びせるのは、とんでもなく意地が悪い行為だと思う。どれだけ「オフレコですけどね…」的顔してたって、全国に流れてるんだ。本人が目の前にいたとしてもなお、堂々と言えることだけを言いなよ。


服装だって、TPOを弁えたものでなかったのは間違いないが、そんなことは枝葉であって、本質的な問題ではない。大々的に扱うようなものではない。本当にどうでもいい。周辺の要素について、人員や時間などの様々なリソースを割いて調査し報道している分、本来報じるべき事柄が無かったことになっているんだぞ、と思う。年を重ねるにつれ、メディアって信用できないのでは、と思うに至った理由のひとつである。


ちなみに、彼女の体型を揶揄していたのは、3人とも男性だった。他の局のことまでは把握していないし、偶然だという声もあるでしょうが、個人的な経験として、太っていることを理由に男性が心底見下される場面は、これまで数えるくらいしか遭遇したことがない。対象が女性の場合は、それはもう、うんざりするくらい経験してきた。仕事ができても「まあでも、あの見た目だしな。ププッ」と男性社員に陰口を叩かれている人もいた。

もちろん女性にも、見た目を理由として女性を馬鹿にする人もいる。が、女性の場合、そこそこの割合で、自身の見た目について、思春期なんかに不躾にいじられて、嫌な思いをした経験を持っている。大人になる過程で、外見についてコンプレックスを持たずに来れた人などほぼいないと思う。「太っている・痩せている」の基準だけじゃなくて、ブス!とかタイプじゃない!とか面と向かって言われたり。男性よりも、美醜の判断ステージに勝手に乗せられて傷つく場面が圧倒的に多い。そういう痛みを知っている人が多い。だから、少なくとも公的な場では、外見の変化に悪意でいじるようなことは避けるのだと思う。


なぜ女性が太っていることについて、これだけカジュアルに馬鹿にしていいと思っている人が多いんだろう。自分=男性から見て性的魅力が少ない女性は「女性」には該当せず、見下してよいと思い込んでいるから?(この場合、この男性が女性に優しいのは「女性として魅力があるから」という点に依拠するので、真にフラットな姿勢で女性に接しているとは言えない。こういう下心は読み取れるものだし、全然有り難くないことだ)

ハリウッド女優みたいに、女性は自己管理を徹底してこそ「女性」だと思い込んでいるから?

それとも、私には思いつかない、何か別の理由が?


理由がないなら、逆に立ち返ってみてほしい。なぜ、女性となると外見について言及されることが増えるのか、馬鹿にしてもよいと判断されることがあるのか。

男性の場合、「太って貫禄出てきたね」とか言われることすらあるのに。よう分からん。


他人の見た目を揶揄する人にはなりたくないものだ。自戒もこめて。

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