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やばい、ひまわりの話。

長女。小学3年生。夏休みが終わって2週間。

「やばいさ」と言い放つ。

なにが?と聞く前に、長女話し続ける。

「やばいさ。Kちゃんのひまわり身長よりも大きく育ってた。」

ひまわりというのは、一学期、生活の授業の時に学校から配られたもので、
当時は、
牛乳パックの蓋の部分を鋏で切り落とし、箱になったところに、土を敷き詰めて、そこにタネを植えたもの、として持ってきてた。
いくつか植えたらしいけど、芽は、2つだけ出た状態で、その大きさ2センチくらい。
双葉からもう双葉くらい出ていただろうか?

それを、全生徒が家に持ち帰っていた。

その時私は
「なに?これ、育てるっていうこと?」
と聞いたんだけど、
「お家で育ててみてもいいし、育ててみなくてもいい。」
というような回答だった。

まぁでも、せっかく可愛い芽が出てるしね。育ててみようか!と、張り切って、
牛乳パックから、植え替えることにした。

この時、土、花関係に精通してる母にきいたら
「ひまわりは本来植え替えをしない前提なので、ほんとに、慎重にやるようにね!」
と教えてもらい、少々ビビりながら、長女と共に、
慎重に慎重に、植え替えをした。

で、2日後に、枯れた。

植え替えの方法が悪かったのか。
翌日すぐに雨が降って、かびっぽくなったのが悪かったのか。
そのどちらも悪かったのか。

とにかく、枯れてしまったもんは仕方ない。

長女はとても残念にしていたし、
そんな長女を不憫に思ったのか、次女は
「こおなると、よかったね🌱」
という文言と、大きな双葉が描かれた手紙を渡して、悲しみを煽っていた。

ほんと、こおなると、よかったよね🌱


ズボラな性格なもんで、枯れてしまった鉢をそのまんま放り出して、この夏を過ごした。
正直ひまわりのことなんて、忘れていた。
長女だって忘れていたはずだけど、

夏休みが終わって2週間が経過した頃

この話の最初のセリフに戻る。

「やばいさ。Kちゃんのひまわり身長よりも大きく育ってた。」

である。

「え、何がやばいの。だって、長女のひまわりは枯れちゃったんだから仕方ないじゃん」と私。

やーー…😅
という、この絵文字みたいな顔を浮かべた長女がひまわりをどうすべきだったかを、説明し始めた。

話はこうだ。

・ひまわりはお家で育てなきゃいけなかったということ。
・育てたらひまわりと一緒に写真を撮って提出すること。
・それ以外に…例えば絵日記とか観察日記は必要がなくて、ただただ花が咲いたひまわりの写真が必要なだけだということ。



「え、でも、枯れちゃったんだから…」
と、本日何度目かの文言を、言おうとした時に
長女が話を遮る。

「そうなんだけど!でも、やばいじゃん!!」

やばい…けど、やっぱり仕方ないと思うから、提案してみる。

「じゃあさ、ひまわりを花屋から買ってきてさ。“私は早々に枯らしてしまったので、花屋で買いました!”って言って出せば?私が教師なら丸にするよ。」

「やだよ!恥ずかしい。そのひまわり、育ててないじゃん」と長女。

いやだって、枯らしちゃったもんさぁ!!

そこに夫が参加する

「道端のひまわりの花の部分だけ撮影して、あたかも自分で育てたひまわりみたいにすれば?」

と、ズルへ導く。

やめなよ。それはズルだよ。と、私と長女で抗議すると

「いやだって笑。ひまわり枯らしちゃったんでしょ?」
となる。
そうなのよ。何度もしつこくアレだけど。枯らしてんだもん仕方なくない?

「わたし…もう一度植えてみたい…!そして写真を提出したい!!!」と長女。

無理だろうよ。今九月だぞ。と思ったけど、別にやってみたらいいなと思った。それも含め土の写真を撮ることになっても、やらないよりはやった方がマシだろう。

どーぞ。と促し、夫と2人ホーマックへ出かけて行った。

が。
なんか、嫌な予感がした。
夫と長女は、少し現実離れしていて、2人でいるとおかしな買い物をしてくることがある。
え、それいる?みたいな。
あとは、家庭菜園やガーデニングに1ミリも興味がない夫が、必要なものを買ってこれるわけがないよな、と。迷ったら店員さんに聞けるだろうか。シャイなんだよ、あいつ。など、思い始めたらソワソワしてきて、
なぜ、自分も一緒にいかなかったんだろうと、既に後悔していた。

車がガレージに停まる音がする。
帰ってきたなと思ったのと同時に、先に車を降りた長女が家に入ってきて
「ひまわりの種なかったー!」と報告。
それは仕方なかったね、時期的にね、と思ったのも束の間。驚くべき発言をする。

「だから、ハムスターの餌用のひまわりの種買ってきてみた!」

だ。

いやいやいやいや!ひまわりの種だけども!
え、餌用に加工とかしてるでしょ?
いや、どんなアイディアだよ!
と、長女の手元をみてみると、でかい箱を持っていた。
ニンテンドースイッチの本体くらいの大きさの箱に、ハムスターが描かれ
“海外で栽培された良質なひまわりの種のみが入っています!”
と、謳っている。
ニンテンドースイッチの本体くらいの箱の中にはみっちりとひまわりの種が詰まってるらしく、振るとマラカスよりいい音がする。

夫が家の中に入ってきて、ドヤ顔でいう。
「もう時期じゃないから、ひまわりの種としては、売ってなかったんだけどさ。俺、閃いたんだよ。ペットコーナーにあるってね!!」

得意げなその表情とアイディアにビブラスラップの音がカーーーンとなって、
私は一層クラクラした。

さらに、夫は続ける。

「実際、ハムスター用のひまわりの種が育った人のブログも見つけたから大丈夫!」

してなかったけど、ウィンクしてるようなくらいの得意げな言い方だった。

で、そのまま、夫と長女が庭でひまわりを鉢に植え始めて、今に至る。


私は庭につながる大きな窓を開けながら、これをスマホで書いている。
次女は家の中で
「次こそは、ひまわり大きくなるといいね」
と、期待している。
私は内心
“育つわけ、ねーだろが!”と、心の中で思ってるけど、その方がよっぽど心が乏しい気がするから、何も言わない。

2人は、箱の中に5000粒はあるであろうひまわりの種から、厳選した5つの種を植えたらしい。

本日…それは9月8日日曜日16:15のこと。

皆様には、咲いたら報告しますし、
ハムスターを買ってる方いたら、ご連絡ください。
残りの4995粒、差し上げます。

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