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ハーバードのデザインスクールは何を学ぶところか?

今日は、私の所属するハーバードのデザインスクールについて、書いてみようと思います。

まず、ハーバードのデザインスクールは、建築とランドスケープ、それに都市計画/デザインの3つを基軸とした学校です。このことは、これら分野の界隈の皆さんにとっては、明白だと思うのですが、私自身は、2018年8月に本格的に受験準備を始めるまでは全く知りませんでした。

一般的な感覚だと、デザインスクールと聞いて思い浮かぶのは、美大で扱うような、絵画や彫刻、ファッションやプロダクトデザインを学ぶところかな、という感じかと思います。あるいは、ビジネス/ スタートアップ界隈の皆さんは、デザインシンキング系の学びを得られるところ、というイメージを持たれるかもしれません。私自身は、ソーシャルアントレプレナーの世界に長くいて、デザインスクールといえば、スタンフォードのd.schoolをパッと思い浮かべる、と言ったような感じでした。

そんな私が、ハーバードのデザインスクールを知るに至ったのは、、、

建築家の先生方の思想に、私がずっと関わってきた「文化継承」についてのヒントがありそうだと思って、建築を学べる大学院を調べ始めたのがきっかけです。私がEDAYAを通して行ってきた、様々な活動を、少数民族の文化を未来につなげていく表象(representation)だと捉えると、建築を場所や土地の表象(あくまでも建築の一面でしかないですが)と捉えた時、その背景にある思考プロセスを学ぶことは、とてもエキサイティングなことであるように思えたのです。原広司先生や、黒川雅之先生の著書に始まり、考現学の今和次郎先生の存在を知るに到り、ますます建築学的思考のあり方に興味を覚えました。(ちなみに、なぜ、その学問に興味を持ったかは、大学院出願のNo.1重要書類であるStatement of Purpose (SoP)でも重要になってきます。私の場合は、かれこれ1年くらい模索して、ギリギリの2018年8月になってようやく確信に至りました。これだけで山ほどかけることがあるので、またそれはおって後日。)

こうして建築に興味を持った私は、さらに調べを進めていきます。そして、アメリカであれば、建築の経験がなくても修士から進学することが可能だということを知り、ポートフォリオすら人生で一度も作ったことがなかったけれど、やってみることに決めました。

ハーバードのデザインスクールについて、より詳しく見始めたのは、その後からのことです。

ハーバードのデザインスクールは、最初に書いたように、学問領域の基軸は、建築とランドスケープと都市計画/ デザインの3つです。そして、1984年からデザイン学が、2016年からデザインエンジニアリングが、新たな学位/ 領域として加わりました。

デザインエンジニアリングは、私の感覚では、スタンフォードのd.schoolと近いテイストの学位になっているように思います。MITの授業をクロスレジスターしている人(メディアラボやビックデータ系のものを取っている人が多い印象)も多く、日本からも、電通や経産省の方など、実務系の経験がある方がきています。この学位に関心ある方は、私のフルブライト の先輩でもある、木田さんのブログがとても参考になると思います。

次にデザイン学に関して。基軸の3つの分野+デザインエンジニアリングでは、スタジオ(プロジェクト型で、1学期にひとつのテーマに取り組んでいき、ガンガン制作を行うタイプの授業)が必修になっているのに対して、デザイン学にはスタジオがなく、コースワーク中心なのが大きな違いかもしれません。というのも、デザイン学は、基本は、建築、ランドスケープあるいは都市計画/ デザインの学位をすでに持っている人が、さらに知識を様々な分野に応用させていくために作られたPost-Professionalの学位であって、コースワークを通して自分の興味を深掘りしていくことが重要視されています。

そして基軸である、建築とランドスケープと都市計画/ デザイン3分野のプログラムについてですが、紆余曲折があり、最終的に私は、建築ではなく、デザイン学に進むことを決めたので、これらに興味がある方は、都市計画/ デザイン分野を卒業された川島さんのブログなどが参考になると思います。

ちなみに、建築、ランドスケープあるいは都市計画/ デザイン、どの学位も持たない私ですが、デザイン学に進学できたのは、すでに1つ修士を持っていたこと、そして、やりたいことが明確だったことが理由だと思います。また、最終的に、建築ではなく、デザイン学に進学しましたが、実は、最後の最後まで、合格した中で最終的に絞った3つ、建築(UCLA)と建築/ 都市計画のDual Degree(University of Michigan)とデザイン学(Harvard GSD)のどこに行くか、迷っていました。デザイン学に決めたのは、私は建築的発想や建築的な思想の裏にあるセオリーには興味があっても、肝心の建物にあまり関心がなかったこと(なので、構造の授業などに興味を持てるかどうかが果たして疑問だった)そして、キャリアチェンジをするのを希望しているわけでもない(建築家になりたいわけではない)のに、3-4年の時間を費やすのは、30台前半からの挑戦であることを考えても、少し違うのではと思ったこと、そして私のことをよく知る先生や仲間などが揃ってデザイン学を勧めてくれたこと、などが挙げられます。

そんなこんな、最終的には、デザイン学に進学して本当によかったと思っています。私のアカデミックアドバイザーでもある Dilip da Cunha先生の The Idea of Environmentの初回の授業で、これこそを知的興奮というのだなというような、こういう話を聞きたかった、こういう考えに出会ってみたかった、というものに、出会うことができて、私の選択は間違っていなかったと実感したのを、思い出します。

というわけで、次回以降からは、デザイン学について、そして、その中での私の専攻 Risk & Resilienceについて、より詳しく書いていきたいと思います。知っている限り、日本人女性で、Risk & Resilience出身の人はいないように思うので、引き続き、色々と紹介していきます!








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