見出し画像

バルセロナを訪れる前に(後でも!)観ておきたい映画・ドラマシリーズ

今回は、バルセロナに旅行へ訪れる前にぜひ観てほしい、お勧めの映画やドラマシリーズを紹介したいと思います。
 
【初級編】
 
まずは、『Citas』。これは、2015年にカタルーニャの地方テレビ局「TV3」で放映が開始したドラマシリーズで、3シーズンあります。オリジナルはカタルーニャ語ですが、スペイン語吹き替えバージョンもあり。タイトル『Citas(デート)』の通り、エピソードごとにオンラインで出会った男女が登場し、それぞれの物語が展開されていきます。バルセロナで撮影されているので、毎回見覚えのある街並みやお店が登場するのも嬉しい。ドラマなので、もちろんありえないシチュエーションもありますが、わりとリアルな生活や会話を楽しめると思います。ちなみに、2023年には新たに『Citas Barcelona』が放映されました。ですが、やっぱりだいたいにおいて、人気が出たから製作された2作目よりもオリジナルのほうが面白いように、『Citas Barcelona』よりも『Citas』のほうがストーリーに無理がなかったり、現地色が強かったり(前作のほうは主なキャストをがっつりカタルーニャの俳優で固めているけれど、新作のほうは“スペイン人”が多く出演していたり)するので、『Citas』のほうが断然お勧めです。
 
2作目はイザベル・コイシェの『Foodie Love』。パンデミック直前にHBOでシーズン1がスタートしたのですが、その後続きが出ていないのが悲しいところ(明らかにこれから続きます、という感じで終わっていたのに)。オンラインで出会ったライア・コスタ演じる「彼女」とギジェルモ・フェニング演じる「彼」が、ひたすら食べて喋って、微妙な恋愛感情を発展させていきます。何が面白いって、これもまたバルセロナ(もしくは周辺)にある飲食店に2人が繰り出すので、「ここ行ったことある!」「今度行ってみたい!」というところがたくさん登場するところです。エスプレッソからラーメン、クロワッサンにカクテルやトルティージャまで、すべてがおいしそう。観終わる前から、お腹が空くこと間違いなし。彼らの会話や独り言も、楽しい。バルセロナで、デートしたくなるかもしれません。
 
またバルセロナを舞台とした定番映画といえば、ウッディ・アレンの『それでも恋するバルセロナ』でしょう。とはいえ、この映画はカタラン人だけでなくスペイン人からも非常に不評です。なぜなら「ありえない」から。いきなりナンパしてヘリコプターでオビエドに女の子を連れて行ったりしないし、スペイン人女性が半狂乱になって怒鳴り散らすこともないし、そもそもフラメンコギターはカタルーニャ発祥じゃないし──と、いろいろ言いたいことがあるようです。たしかにおっしゃる通りですが、彼らにいくらごちゃごちゃ文句をいわれようと、日本人の私は好きな映画です。
 
【中級編】
 
好きすぎて何回も見返してしまう映画に『Barcelona, nit d'estiu(バルセロナ、夏の夜)』があります。いろいろな恋人、夫婦、家族、友人などが登場するオムニバス形式の作品です。カタルーニャで超有名な歌手ジョアン・ダウザのJo mai mai』という曲の歌詞から、この映画のインスピレーションを得たそうで、まさにこの歌詞通りのシーンが登場します(Jo mai mai』というのは、直訳すると「私は、決して、決して」という意味のゲームです。一人が「私は今まで〜をやったことがない」と言って、それをしたことがある人はお酒を飲まなくてはいけません)。また、『Barcelona nit d'hivern(バルセロナ、冬の夜)』という2作目もあるのでこちらもお勧めです。
 
シリーズものなら『Merlí(メルリ)』を外すことはできないでしょう。2015年に放送が始まった本作は、高校教師のメルリが、生徒たちに哲学を通して人生を教える、というものです。日本でいう『金八先生』的な感じでしょうか。これは、バルセロナの雰囲気を楽しむ作品ではありません。ですが、カタルーニャ的ユーモア(どんなものかといわれても説明ができませんが)だったり、高校の生活だったりと、全体的に垣間見るには良い作品だと思います。こちらも人気だったため、大学生活を描いた続編Merlí: Sapere Aude』も製作されました。
 
【上級編】
 
もっとカタルーニャという地域やカタルーニャ人を理解したい。そんな人には映画『Ocho Apellidos Catalanes(オチョ・アペジードス・カタラネス)』がお勧め。これは、スペイン北部バスク地方出身のアマイアと南部セビージャ出身のラファを通して、その土地に住む人々のステレオタイプを面白おかしく描いた『Ocho Apellidos Vascos(オチョ・アペジードス・バスコス)』の続きものです。『Ocho Apellidos Catalanes』では、アマイアがラファと別れてカタルーニャ人の彼氏パウ(この名前からしてカタルーニャ)と結婚する、というところから始まります。もはやバカにしているといってもいいくらい、カタルーニャ人のステレオタイプいちいち表現しているのですが、それが結構リアルで笑えるのです。
 
最後に紹介したいのは、いま最もカタルーニャで注目されているといってもいい、若手監督のカルラ・シモンの作品です。『Verano 1993』(邦題は『悲しみに、こんにちは』)では、両親を亡くした少女が叔父夫婦に引き取られてカタルーニャの田舎で一夏を過ごす様子を描いた映画です。そして2022年に公開された『Alcarràs』では、農家の暮らしをリアルに描写し、最後のシーンでは胸が締め付けられる思いがします。
 
上記の映画やドラマシリーズのほんとんどは、スペインの「ネットフリックス」や「アマゾン」「HBO」もしくは映画館で観たので、日本版では用意されているのかわからないのですが……映画であれば、四ツ谷にあるセルバンテス文化センターの図書館にDVDが置いてある可能性もあるので、そちらのほうも確認してみてください。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?