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台風が連れてきた、深夜1時すぎの大都会

道端のアスファルトから、1日中部屋で干していた私の洋服と同じ匂いがする。

それだけで、私はひとつ思い出すことがある。

高校生の夏休み。

講習や部活動の練習で、瞬く間に過ぎ去っていたあの夏の終わりに、訪れるのは2回目の土地、そして行ったことのない場所ばかりの予定された行く先に心を静かに踊らせていた。

スーツケースに入れるものリストを随分前から作り、リュックとスーツケースにはどんな感じで何を入れるのか、紙に何度も書いて、その時を想像していた。

しかし待ちに待っているその日に、テレビの向こうで台風が来る、なんて知らせている。

「いや、まさかね。なんとかなるやろ。滅多に来ない県だし。」

そうやって半ば願いを込めるように現実逃避する気持ちをよそに、

台風は、その日に限って我が地元に訪れた。

家の外が洗濯機の中のように、空から落ちてくる水分が盛大に踊り狂っている。

どれだけ豪雨の予報が出ようとも授業をする学校だったから、なんとか行けるだろう、そう思っていた楽観的な私の望みは、テレビの報道と手元の端末に表示されたメッセージとで、いとも簡単に打ち砕かれた。

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かみつれ

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