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表紙から美味しさが伝わってくる本

新刊情報でこのジャケットを見たときから
美味しそうな本だなーと思って気になっていた本。

内容も美味しいそうなパンが出てくるし、前向きにがんばろうと力をくれる本だったので個人的に大満足の本でした♪

美味しいパンの描写がある本が読みたい方。
毎日を鬱々と感じて過ごしている方。
オススメです!

縁結びカツサンド 冬森灯 

あらすじ

駒込にある昔ながらのパン屋さん「ベーカリー・コテン」。
そこには三代目を継ぐか悩み中の青年がいた。
父のパンほど売れない自分のパン。
コテンで愛されるパンはなんなのか。
お客さんとの交流の中で生まれるパンと三代目の成長。

こんなパン屋さんが自分の地元にあればいいなと思わずにはいられない本でした♪

全4章からなる小説。それぞれがベーカリー・コテンを舞台にした短編の繋がりなので、読みやすくて普段あまり小説を読まない人にも読みやすいと思います!

頑張る勇気をくれた言葉

どの話も好きだったけれど、個人的に一番ツボだったのは初代のおじいさん(音羽喜八さん)からの手紙。

人生ってやつにはいろんな波がある。うまく乗りこなすのも才覚だが、そんなにいい波ばっかり来るわけじゃねえ。日本人はノーと言えないとよく言うが、言えないんじゃなくて、言わねえんじゃないだろうか。それは弱さじゃなくて、強さだ。できねえと突っぱねるのはたぶん簡単だ。だが、最後まで可能性にかけてみるその心意気ってのが立派だと俺は思う。

ちょうど子ども向けの東洋思想の本を読んだ後だったからか、私にはすごく心に響いたんです。
断る勇気も大事。できない自分を認めることも大切。
だけど、その時の自分にできる精一杯で行動した先にしか見えてこないものがきっとある。
今まで挑戦をやり遂げることが少なかった私には、希望の言葉でもあり、羨望の言葉でもありました。
次に何かの挑戦をするときはこの本を読み返して、初代のおじいさんの手紙や試行錯誤して進んでいく三代目たちに頑張る勇気をもらおうと思います。

今、頑張っている人には共感する部分もあるんじゃないかな。

弱さを認めた先に

初代の喜八さんの手紙を読んでいて、すごく胆力のある人だなと感じた。
胆力を辞書で引いてみると

事にあたって、恐れたり、尻ごみしたりしない精神力。ものに動じない気力。きもったま。

とありました。

でも、なんとなくだけれど初代の喜八さんも最初から胆力があったわけではないと思うんです。長い人生の中でたくさん苦しいことがあって、その中で逃げそうになったこともあるんじゃないかな。
だけど、逃げずにグッと堪えて最後まで可能性にかけて乗り越えた。
一歩ずつ乗り越えたことで、尻込みしない精神力がついたんだろうな。

弱さを知っているから人に優しくなれる。
弱い自分を認めた先に、しなやかで強い自分に会えるのかもしれない。

そのためにも自分との約束、人との約束を守れる自分でありたいな。

書くことで登場人物とより仲良くなれる

今、noteを書いていてふと思ったのは、ここまで登場人物の背景を想像したとが私はあったかな。
子どもの頃は読書感想文の時くらいしか活字は読まなかったし、どちらかと言うと活字は嫌いだった。
本を読むことが嫌いというよりも読書感想文が苦痛で嫌いだったのだけれど。

私は、大人になって、よく小説を読むようになった。
小説は、普段会えない人たちに会えて、色々な世界に行けて、色々な経験ができる。
だけど、今までその世界観を楽しむことがほとんどで、物語の登場人物の背景を想像して言葉に残すことをしてこなかった。
想像することがあっても、言葉を綴ってこなかった。
今回、感想noteを書くために言葉を綴ったことで、より深く考えることができた。
初代の喜八さんの手紙の言葉から色々考えてみて、喜八さんがより身近で愛おしい存在になった。

もしかしたら、「読書感想文を書く」という行為は、登場人物とより仲良くなるための行為なのかもしれない。

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