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#1-18 プロジェクトマネジメントの本質

仕事でも、学校でも、個人的な活動でも……
共通するプロジェクトマネジメントの本質って、何でしょう?

これまた色んな回答があると思いますが、私の答えは「失敗から学ぶこと」です。

人間は他人の経験から学ぶ能力を有しているという点で(動物の中では)ほとんど唯一の存在である。しかしまた、学習することを驚くほど嫌がる生き物である。

ダグラス・アダムス

プロジェクトとは、「限られた時間の中で、ユニークなモノやサービスを創造する活動」です。

プロジェクトマネジメントの教科書的な本「PM BOK」でも、開発(創造)中試行錯誤(修正や変更)や開発が終わった後の「振り返り」を重要視しています。

開発中の変更に対してコストが設けられていることは普通なのですが、意外にも、振り返りの活動にコストを設られているケースは、あまりありません。
(あくまで私のキャリアの経験上で、ですが)


ちなみに、振り返りは打ち上げや飲み会とは全く性質が異なるモノです。

振り返りは唯一、活動したプロジェクト自体ではなく、他のプロジェクトにとって有効な成果物になります。

しかし、どんなに有益なナレッジとして仕上げても、作成元(提供元)のプロジェクトには、報酬は還元されません。

例えば、先輩が後輩にアドバイスや指導することには、教育という業務があり、その成果としての報酬はあります。
しかし、過去の教訓を体系的にまとめて、他の新規プロジェクトへのアドバイスとして提供するような仕組みは、あまりありません。

振り返りは結構メンタルにくるモノです。
「上手くいかなかったことを、後からグチグチ言わない」という精神からも、振り返りがあまり活発でないのではないかもしれません。

なので、あらかじめ振り返りを設定しておいて、それ相応のコストを用意しておかなければ、なかなか適切な振り返りは実施されないことが多いです。

振り返りをしないと、プロジェクトの経験値は個人にしか蓄積されません。それが続くと、かなり属人的な組織になっていってしまい、キーとなる人が抜けると途端にアウトプットの質が悪くなっていくリスクがあります。

私自身もこれまで属人的な企業にしか勤めたことがないのですが、日本に限らず多くの企業は、属人的な企業だと思います。


しかし。
振り返りをすることで、失敗から学ぶことが出来ます。
失敗は、何かを学ぶ機会が得られるコトです

例えば、飛行機には「ブラックボックス」というのが搭載されていて、飛行時の様々なデータが記録されています。
事故が起こった際には、ブラックボックスを解析して、
 ・どうして事故が起こったのか
 ・それまで前提としていた何かが間違っていたのではないか など
事故の原因を分析して、二度と同じ失敗が起こらないように、失敗を活かします。

失敗は、自分自身のブラックボックスを見直すチャンスです。
そして、失敗から得た学びをその先に活かすことで、成長につなげることが出来ます。

成長するというのは、それまで出来なかったことが出来るようになることです。

以前、『プロジェクトの土台は「ヒト」』という記事を書きました。

プロジェクトの土台はヒトなので、人材育成である「トレーニング」が問題解決の一つの糸口になることがあります。



そして、自分自身もトレーニングの対象です。できれば周りの方と一緒に成長できると望ましいですが、自分自身の成長だけでも問題解決できることもあります。

#1-16 『プロジェクトの土台は「ヒト」』より

失敗から学んで成長することは、「プロジェクトの土台」に繋がっていきます。

とはいえ。

時には、何度も似たような失敗を経験して、落ち込んで嫌な気持ちになることもありますよね。
あと、自分ばかり失敗していて、周りの人は全然失敗していないように見えたり。

けど、失敗は自分に能力が足りてない、ということではなくて、何かが適切ではなかったというだけです。
自分の考え方、選択、情報の過不足、タイミング、環境、自然……要因は様々です。


失敗に対するプロジェクトマネジメント的な対応は、以下の通りです。

失敗したとき、自分なりの答えで良いので、一番の原因を決めます。

そして、その失敗は、自分に何を教えたかったのかを言語化します。
出来れば、何かに書き残しておくのが効果的です。人間って、忘れるので。

あとは、その教えを受けて、自分の行動で変えたいと思うことがあれば、変えていくトライをします。

プロジェクトマネジメント的な対応というか、ただのPDCAサイクルですね。



例えば、私はよく英語の勉強に失敗します。
(勉強の場合、失敗というか挫折という感じですが)

TOEIC750点くらいなのですが、900を超えたいとずっと思っています。

けど、せっかくTOEICの受験の申し込みをしても、勉強を全く出来なかったからと、受けなかったこともあります。

この受験料を無駄にしてしまったことで、私はまた英語の勉強に失敗したとわかりました。
わかったというか、自分で失敗を認めて一区切りつけようとした感じです。


この直近の失敗で学んだことは、一気に身に付けようとしているスキルの数が適切ではないかもしれない、ということ。

英単語、リスニング、文法、読解……
あれもしなきゃ・これもしなきゃで、全く勉強するモチベーションが湧きません。
結果、一番大事な毎日学習の習慣が全く身についていません。

そこで、直近の失敗を受けて、下記のトライをすることにしました。

  1.  『金のフレーズ』だけ取り組むこと

  2.  毎日30分を目標にすること

以前、勉強時間をスマホアプリで管理していたのですが、面倒くさくて準備に時間がかかることも、失敗の原因でした。
そこで、英語の勉強用にキッチンタイマーを1つ用意してみることにしました。

隙間時間でちょっとずつ勉強した時に、スマホアプリよりキッチンタイマーを利用する方が面倒くささが減って、達成率を上げられるかな、と思いったのです。

この新たなトライで上手くいけば、次は文法、その次は精読……
と少しずつ勉強時間とジャンルを増やしていきたいと思っています。

この新たなトライも失敗したら、またそこから学べばよいのです。

追記:習慣がなんとなくついたので、
今は、またスマホアプリで学習時間管理しています

「失敗を恐れずに、何にでも挑戦すべき」といった提言をよく聞きます。

少しプロジェクトマネジメント的に補足をするなら、
 「失敗を恐れずに、失敗から学ぶことを前提に、何にでも挑戦すべき」
という提言になるのかな、と思います。


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