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知覚能力と処理速度を最強にしたら、言語能力が最弱になりました

小学六年生のある日、担任の先生からお家宛に呼び出しがありました。大切なことなので、授業が終わった時間にお子さんと来て欲しいとのこと。

先生が言うには、先日の中学校入学前の知能検査(IQ検査)で、由々しき事態が判明したとのことでした。

「お宅のお子さんですが…検査の結果、知的能力と処理速度は満点の中学校レベルですが…言語能力は…小学校低学年レベルです!!!」

知的能力:○○○○○○|○○○○○○ WIN!
言語能力:○○●●●●|●●●●●● LOSE!
処理速度:○○○○○○|○○○○○○ WIN!

先生(この子には何か大きな問題が…)
母親(そのうち何とかなるかも。私読書家ですし)
わたし(スゴイ…こんな能力があったんだ…)←

春には入学ですし、具体的な改善策があるワケでもなく、装備すれば防御力が上がるアイテムもなく…日常会話ができているなら…いいかな的な。

当のわたしは、自分の中にステキな宝物を見つけたような気がして、とても嬉しくて、目をキラキラさせながら、グラフを見つめていたのを覚えています。

学校からの帰り道、
私「わたし、言葉は苦手だけど、他は満点なんてスゴイね〜!」
母「そうね、スゴイね〜」

今だったら"発達性言語障害"とか言われたのかも。人魚姫は"突発性言語障害"でしょうか。

春になり、言語能力最弱さんが中学校に入学。長身色白、貧血気味、日光苦手、授業が眠い、空を見るのが好き、全校朝礼で倒れる…先生の評価は×

スポーツ万能、音楽得意、美術パーフェクト。
英語60、数学95、国語70、理科90、社会90。合計395。学年40位。国語のバカ。進学校絶望的。

欠席裁判みたいな悪口が嫌いで、集団から距離を置くと、今度は自分が悪口言われてて。めんどくさいから、それでもいいやって思ってて。でも、結構ひとりでいるのが静かで好きだったりして。

今だったら"学習障害"とか"コミュニケーション障害"?でも"ギフテッド"の方がカッコいいかも。

わたしは言葉や文字が苦手です。

言葉や文字が、ただの記号の羅列に見えて、読もうとすると、喉につっかえて入っていかない感じ。もしくは、010110101…がテロップみたいに流れて…意味が入ってこない…無理…絶対無理…

でも、写真やイラストがあれば…乾いた喉に、冷たくて美味しい水をゴクゴク飲むように入ってきます。つられて注釈や解説も。短いフレーズなら簡単に。目を閉じるとまぶたに浮かんできます。

小学校でも中学校でも、昼休みや放課後に図書館で、図鑑とか、百科事典とか、画集とか、画像多めの本ばかり、大量に飽きるまで読んでました。

あっ、"文字だけの本"ですけど…辞書だけは読めました。読書…とは言えませんけど。

ある日、同じクラスのお勉強が超出来る男子に
「ねえ、どうやって勉強してるの?」
「だいたい教科書5回読めば覚えるけど」

無理無理無理…読めないから困ってるんですけど。頭の良い人は違うんだなぁと。ちなみに彼は、現役で超難関大学の医学部に進学しました。

そして、国語が得意で詩を書くのが上手な女子に
「授業で朗読していた詩を見せてくれる?…」

朗読でも、情景が浮かんできて、目の前に世界が広がったのですが、原稿用紙に描かれた文章は、絵みたいに自然みたいに、さらに輝いて見える…

「スゴイね!まるで絵画みたい!」
「あはは…絵みたいって初めて言われた…」

えっ?…わたし以外の人は…言葉を言葉として理解してる?…絵みたいに見てないの?嘘でしょ?

それが、わたしのターニングポイントでした。

書道も、絵画と思って描いたら展覧会で金賞。

文字だらけの本は、脳内スキャンして、キーワードをピックアップして、脳内で想像力で再構成。60%の補足率。再度スキャンして補足率アップ。もしくは、そのまま次のページを脳内スキャン。

人間光学文字認識。ヒューマンOCR。攻殻機動隊みたいですね。めちゃめちゃカッコいい!!!

凄い!大量の情報が頭の中に、濁流のように流れ込んでくる!素敵過ぎる!文字だらけの本も、こんなに面白い!もう、本当に驚きでした!!!

"本"と"脳"が"直結"してる感、半端無いです。

速読法という手法らしいんですけど、わたしみたいな人には合っているのかも。「文字を読む」のではなく「文章を感じる」。Don't think, feel.

文字列の余韻や行間は、わからないのかもしれません。でも思索やら想像やら内容把握は出来るようになります。何事も訓練なのかもしれません。

すると今度は不思議な現象が起こりはじめます。

キーワードとか、幾つかの単語とか、今見ている情景とか、一定の条件下でインプットや脳内処理されると、それを象徴するような画像や映像が目の前に立ち上がるんです。目を閉じなくても。JJのスタンドみたいに。なんだかとっても不思議。

この現象を何て言うのかな…と調べてみたら

"白昼夢は、日中、目覚めている状態で、現実で起きているかのような空想や想像を夢のように映像として見る非現実的な体験、または、そのような非現実的な幻想にふけっている状態を表す言葉。願望を空想する例が多い。白日夢とも呼ばれ、英語では、デイドリームと呼ばれる。 映画や小説、歌などの題名として、多くの作品で使用されている。 ウィキペディア"

外から見たらそんな風に見えるんですね…結構便利なのにね…と、可笑しい気持ちでいっぱいでした。筆者さんは白昼夢を見たことがないのかも。

そんなある日、二年生の三学期末、担任の先生から職員室に来るようにとのお話しがありました。

「今回の期末テスト、クラスで1位だ…」
「だが…学年では8位だ…」

("だが"は引っかかるけど、余裕で進学校の合格圏内。しかも、その順位をキープすれば現役国立大学合格も見えてくる…やったね!わたし!)

"クラスデタマタマ1番ダカラッテイイ気ニナルナ"

うわぁ…先生が"カエル"に見える…何かに取り憑かれてるのかも。この人、何でわたしに怒ってるんだろう?普通は「よく頑張ったな」って褒めるところじゃないのかな?知らんけど。

先生の気分が晴れるまでお説教が続きました。大きな声で。周りにいる他の先生は助けてくれないし…騒動にしたくないし…イヤだなぁ…

たぶん、先生は養護学級の経験が長いので、言語能力に問題がある"わたし"のクラスの担任になったのだと思います。そして今回、もしかしたら、問題児の"障害者"が健常者の人達の進学の邪魔をしているように見えたのかもしれません。

思い返せば進路指導で「進学校だけが高校じゃない、志望校のランクを落とせ、無理をするな」と

もしかしたら、先生なりの親切心で、わたしにアドバイスしていてくれたのかもしれません。

受験が終わって合格発表。Congratulations! お勉強ができる子たちが集まる進学校は快適でした。

みんな独特で、いじめも無いですし。みんなわかった上で無関心を装う。もしかしたら、"他者を尊重すること"と、"あえて他者に無関心の素振りをみせること"は同じことなのかもしれません。

コミュニケーションが得意ではない子が多い感じでしたけど、話してみると、穏やかで優しくて楽しくて品の良い印象を受けました。悪口言う子もいないですし、卒業までのお付き合いですし。

わたしは、自分の言語能力が低かったことも含めて『ギフト=天賦の才』と思っています。

でも『ギフト』は、生まれた時に誰もが何かしら持っているもので、特別なものとは思いません。

みんな、自分自身がまだ気づいていない能力がきっとあるはず。欠点だって思ってることだって、見方を変えれば宝物かも。それに、この世界に生まれてくること自体が『ギフト』なのですから。

ちなみに、試しにHSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)の診断テストをしたら該当してました。やっぱり…一人遊びとか、お布団大好きですし。

noisyな場所や集まりは避ければいいですから。最近のわたしは、Noise Cancellerがちょっとだけ装備されたっぽいです。ダメな時はダメですけど。

わたしは"普通"よりも"自由"に生きたいです。
そんな時代が来ればいいのにって思ってます。

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