エッフェル塔@ブルガリホテル・ルーフトップ フランスの週刊フードニュース2022.05.16
今週のひとこと
フランスの名シェフの一人、ジャン・フランソワ・ピエージュの右腕として10年以上務めた宇佐美伸弥さんが、コロナ禍直前に独立されていました。ピエージュがシェフとして君臨したホテル・クリヨンに「トゥミュ」、そしてピエージュが独立して、次々に手がけた「クローヴァ」全店、「プル・オ・ポ」、「レピ・ドール」のシェフとして、そのクオリティを維持・管理して、いつも安心していただける丁寧な仕事は宇佐美さんなしには考えられなかったのではないかと思います。仕事量も想像を絶するものだったかと推定しますが、ちょうど40歳になった宇佐美さんの説得力は、もちろんご自身が持つ力と人格が基盤としながらも、そんな仕事に裏付けられているかと思いました。
その宇佐美さんが、昨年12月にオープンしたばかりの「ブルガリ・ホテル・パリ」のセカンドシェフに就任していました。
ブルガリとしては7軒目のホテルオープン。他ブルガリホテルも統一して手がける、Antonio Citterio Patricia Viel建築事務所がすべてにこだわり、イタリアと変わらぬエレガンスとホスピタリティで、お客さまを魅了しています。客室は76室と、他のパラスホテルと比べると小ぶりですが、ジョルジュ・サンク大通り30番地、目の前に佇むジョルジュ・サンクホテルと対峙するホテルとして申し分ない品格のあるホテルと思いました。
宇佐美さんにホテルを案内いただきました。皆からシェフと呼ばれ、指示をする宇佐美さんへの信頼は深く、清潔で合理的で働きやすそうなキッチン、半分以上がイタリア人で陽気でポジティブという、分け隔てのない和気藹々とした雰囲気は、現代らしい厨房ではないかと思いました。
最上階にある2階にわたるペントハウスはブルガリが誇る宝石箱といっていいでしょうか。階上に設けられた庭園には、イタリアを思わせる木々やハーブが植え込まれており、目の前にそびえるエッフェル塔は別世界からの眺めでした。感謝。
この春からとても嬉しく感じているのは、コロナ禍で連絡が途絶えてしまった友人や食関係者との再会が頻繁にあることでしょうか。
先日は女性料理人のManon Fleuryが弊社に訪れました。彼女が協同経営者としてシェフをしていたシャンゼリゼ大通り裏の「Mermoz」が好きで、よく通ったものです。「Mermoz」から独立して、このコロナ禍後の昨年は、モナコのオーガニックレストラン「ELSA」のシェフに期間限定で就任していましたが、パリに戻ったということ。
場所はまだ見つかっていないけれど、今年中には自身のレストランをパリにオープンしたいらしい。この初夏は、パリ11区のルーフトップでのシェフに就任しています。
ソムリエールのCécile Mace。「パッセリーニ」でも立ち上げからシェフ・ソムリエとして立っていましたが、彼女のセレクトするワインが気負いなくて素晴らしく、彼女がいれば、安心して食事ができると思っていましたが、独立。「パッセリーニ」が店の真向かいにオープンしたバー「パッセリーナ」に座っていたら、棚に置かれていた小さな冊子が気になりました。手に取ると、それは美味しいワインを飲める場所を記したパリのプラン「Le Voyageur Affamé - Le Vin À Paris」で、何と彼女も名前を連ねていました。早速電話すると、「On s'amuse!/楽しんでるわよ」と。
レストラン「イチネレール」から「Fleur de Pavé」に移転してミシュラン1つ星を維持したSylvain Sendra。奥さまのサラとは残念ながら離婚していましたが、私は2人と親交があったので残念に思っていました。ところがそのサラがレストラン「Les Parcelles」をオープン。早速足を運んで、10年近くぶりの再会をサラと祝い、食事を深夜過ぎまで楽しんできました。コロナ禍を生き抜いてきたパリの女同士、心をさらけ出せる友人たちに乾杯。
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