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最近、旦那さんの様子がめっぽうおかしい。絶対に変。女の勘がそう言っている。
我が家は、旦那さんと私と2歳になる息子の3人家族。それぞれを簡単に紹介するなら、旦那さんは40代半ばで、最近おじさんって言われると、「あやちゃんだっておばさんじゃん」と口をとんがらせる。年の差5歳ありますけども。彼は、身長185センチと長身で、その理由がよくわかる。とにかくよく食べよく眠る。そして細かいことは全く気にしない。だから大きく育ったんだろう。私の数少ない人生経験と統計データによると、背が大きい人には割と鈍い・・というか大雑把・・もとい、おおらかな人が多い。アニメでも何でもセコセコ、ビクビク、アクセクしている巨人をあまり見たことがない。うちの旦那さんも典型的な巨人気質なもので、基本的に地面からの距離が人より何倍もあるせいか、とにかく地面に何かがあっても全く気付かない。ゴミが落ちていても目に入りもしないので掃除もしようにもできない(のだと分析している)。きっと185センチもあるとかがむのもしんどいのだろう、特に朝起きた直後なんてぽけーっと感が極まりない。自然界に生きていたらとっくのとうに淘汰されていたに違いない。私は密かに彼をゾウさんと呼んでいる。
この前、息子が無邪気に仕込んだおもちゃのトラップをぽけーっと歩いていて踏みそうになった旦那さん。あっ、と思ったけど、たまたま日頃の鬱憤が鬱積して限界を超えたタイミングだったこともあってか、ふと、「踏めばいい」と魔が差した。悪魔の囁きが頭の中を駆け巡った瞬間、自分でも驚くことに「あ、危ないよ、踏むよ!」の一言を飲み込んだ。禁断のスイッチが瞬時に入った奥様は、「ぎゃっ、痛い!!何で俺がこんなめに!!」「いや、まてよ。そうか、これは俺の日頃の行いが悪いからだ。」「もっと天使のような奥さんに寄り添って、家事も育児も仕事ももっと頑張ろう!」「そして
あやちゃん、いつもありがとう。」という展開を大いに期待して固唾を飲んで見守った。
そして踏んだ!その瞬間…その期待はあっさり泡となって消え去った。何か起こるどころか、何も起こらなかった。ゾウさん、どうやら足の皮もぶ厚いようで、普通なら踏んだら最後、悲鳴を上げて大騒ぎする子供のおもちゃ(何度も経験しては毎回半泣きしたい気分になる)も彼にとっては何の刺激にもならないらしい。思わず、ケッという舌打ちを慌てて飲み込んだ。鈍い、もといおおらかってなんて幸せな素晴らしい能力なのだろう。

そして、そこにこれまた今度はチビちゃんなくせにのほほんとしているわが息子。2歳の息子はダウン症という障がいを持っている。最近はもっぱらお尻をずりずり擦って移動するシャフリングが様になっていて、家の中もシャフリングでヒョコヒョコと移動する。ダイニングテーブルの向こう側にたまに見える頭がシャフリングによってピョンピョンと上下に見え隠れする。どこに行くのかと見守っているとテーブルの奥からピョコピョコとこちらに回ってきて足元にやってくる。ふと手に持ってた絵本を目の前に出してきて、満面の笑みで「読んで?」と懇願してくる。読み始めるや否や、「あ、これじゃない」と思ったのか、人が魂込めて読んでいるその真っただ中に、クルリと方向転換し、これまた時間をかけてヒョコヒョコと本棚にもどり、また違う本を持ってやってくる…をエンドレスで繰り返す。彼が1冊を読み切る日は来るんだろうか・・そして私の魂込めた読み聞かせが彼に届く日は来るんだろうか。でもそんな姿も彼だから愛くるしい。

って、これで終わればダウン症児を抱える家族のちょっとおとぼけなハッピーエンドな物語なのだが、そこで終わってなるものか。
父も子も基本的にものすごくのんびり。に対して、その時間軸にせっかち母はイライラが止まらない。我が家は、チチ・息子VSハハ、で進んでいく。私だったらものの8秒でやるようなことをチチと息子は何十分もかけてやり遂げようとする。問題は彼らにそれを改善する気がさらさらないということ。どんだけ暇なのかと彼らのスタンスを疑うが、彼らにしてみたら「何をそんなにいつもアクセクと動いているのよ」、「まあまあ、ちょっと座ってお茶飲んだら?」くらいにしか思っていないのだろう。あれもこれもして、でもこっちとあっちを同時にできるから、これはアレをやりながら・・なんて人生、彼らにはアンビリーバボーなのだろう。電話をしながら子供にご飯をあげつつ、終わった食器を片手に流し台に置きながら、戻ってくる途中にごみ箱を経由してごみを捨てながら、その横にあるお花も花瓶から抜いてゴミ箱にすてつつ、その延長線上にあるソファの上の洗濯物を洗濯物籠に入れに行く・・とかそういう一瞬一瞬に詰め込んでなんぼの世界観には心底共感できないらしい。こちとら、遊ぶ、寝る、食べる、着替える、本当にどれをとっても超スローな男子たちに、プンプンマルのスイッチはいともたやすく入ってしまう。
という全くもって不協和音な我が家な上に、さらにこれまでのブログを見てくださっている方々はきっと知ってくれているはず。我が家がほぼワンオペということを。ほぼハハがすべての業務の大半をこなし、療育・子育て・家事・仕事の4-5足の草鞋を履きながら、毎日あっちへこっちへと冷や汗と鼻水を垂れ流しながら飛びまわってはヘトヘトになっているということを。仙人級の心の持ち主であればいざ知らず、人としての器がお猪口レベルの私には、当然旦那さんに対する「不公平感」は増すばかり。子供は100歩譲って良しとする。子は宝。そりゃ言いたいことはたくさんあるが、まあまあ彼はそれなりにできることも増えつつある。我が息子はダウン症の特徴で成長発達が本当にゆーっくりなので、そもそも我が息子にスピード感を求めるのは、セッカチ母から大好きな仕事のPCを奪うことくらいに酷なことかもしれない。頭ではわかっている。でも、頭でわかっていることと、できることは全くの別物であって。それができたら今頃世の中の全員がスポーツ選手なはず。

つまりそういうことなので、当然日々のオペレーションはぐっちゃぐちゃのゴテゴテで、かろうじてほんのちょびっと残っているプライドと見栄を駆使して表に見えるところだけは何とか取り繕って体裁を保とうとしている。

なのに、ここにきてこの数日、旦那さんの様子が本当にとんでもなくおかしい。10月の頭、私が仕事のイベントで朝から夜まで出かけていた日があった。ご飯の準備とかお風呂の準備をして家を出たが、基本的に旦那さんに息子っちの面倒を全面的にお任せした。いつもそんなときは、夜帰宅すると大抵おもちゃは床に散乱し、食べたものはそのまま机の上、保育園から持って帰ってきた汚れ物はそのままそこにありのまま、という顛末なので、どんなに遅く帰宅しようとも、どんなにヘロヘロに倒れこむように帰宅しようとも、ここから家をリセットする時間が発生する。これはほんとにげんなりで仕事で疲れて帰宅して家のことをゼロからまたやる、というのは心底辛い。でも翌日に持ち越すとさらなる悲劇は目に見えているし、実は痛いほど知っている。だから、老体に鞭を打ってでもその日中に綺麗に原状回復をせねばならない。

なのに、その日は帰宅したらおもちゃは片付けられて、食器は洗って乾かして拭いて元の定位置に戻っていた。洗濯物は畳まれて分類されている上に、保育園から持ち帰ってきた汚れ物まで綺麗に洗われ、乾燥され、しかも何と翌日保育園に持って行く荷物とともに鞄の中に収まっているではないですか。
相当やましいことがあるのか、好き勝手書きまくりのこのブログの存在がばれたのか、もしくは、何か変なものでも食べたのか、はたまた遅ればせながらイクメンブーム到来か、何が原因だかわからないが、この家に帰ってきたときの完了感に不信感が止まらない。それでもこれが続いてくれと願う一心で、ゾウさんにはお礼を伝えまくっておだてまくって、褒めまくった。その後、さらにある土曜日のこと。平日の疲れがたまってヘロンヘロンな私に、「少し息抜きしにマッサージにでも行って来たら?」とゾウさんがおっしゃった。耳を疑った。明日は槍が降るんじゃないかと戦々恐々としながらも、結局美容院に行って髪を切り、友人と夜からあって散々に久々のプライベートを愉しんだ。調子に乗って夜遊びが過ぎたハハは、慌ててシンデレラ帰宅した。あーまたここからゼロリセット作業か、とため息を付けながら家の玄関のドアを開けた瞬間、衝撃を受けた。家がめっちゃ綺麗!おもちゃ一つ落ちていないリビングに、洗濯物一つおいてないカウンター。台所にいくとすべての食器がきれいさっぱり片付けられていて、我が家の強力な相棒の洗濯機はガンガン一人で回っていた。
やっぱり旦那さんの様子が極めておかしい。なぜこんなに家事をしてくれるのか、しかも似つかわしくないハイクオリティで。予期せぬ突然変異に動揺する日々は続いており、いつまでこの変異が続くのかとふと不安になるのでした。

カミカミしたい時期らしい。
オノマトペカードにドはまり中

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